連載漫画の一話切りをどう回避するか?

雑誌や漫画アプリ、出版社のサイトで漫画を連載する場合、数か月や場合によっては一年以上連載準備をしてからようやく連載が始まるという風になっています。
こういう風に連載開始までの準備にかなり時間がかかっても、実際に掲載された一話目の内容によっては「もう一話目で読まなくなった」という読者を多く生み出す事もあります。

特に今の時代はすぐ一話目で切ってしまう人もかなり多い。
他にも娯楽が大量にあるので時間に余裕が無く、少しでもつまらなさそうと思ったらその時点で見切って続きを読なくなったり。

数々のヒット曲を生み出してきた小室哲哉さんも「今の時代はもう曲の開始すぐにサビを聴かせるなどしてユーザーの心をつかまないといけない」みたいに以前テレビで言っていました。
今の時代に漫画を連載する場合は「最初の10ページ以内で何らかの方法で読者の心をしっかり掴まないといけない」みたいになっています。
雑誌や漫画アプリ連載作品だけでなく、kindleインディーズで自分でシリーズ漫画を出している人もこれには気を付けないといけない。

今回の記事では、「漫画の一話目切りを回避するためには何を一話目の序盤に仕込むべきか」というのを書いていってみたいと思います。
これは漫画だけでなく小説などでも同じように意識しておかないと、「頑張って書いたのに最初の一話目で読まれなくなった」みたいな事になってしまいます。
小説投稿サイトやnoteなどで連載小説を書いている人の参考にもなるでしょう。

<何があればその漫画を読み続けたくなるのか?>


読者が一話目ではその漫画を切らず読み続けたくなる理由としては

・過去に名作を生み出した漫画家の連載
・一話目序盤でキャラクターに魅了された
・物語の謎が気になった

などがあります。

<ベテランへの期待で読書継続>

NARUTOの岸本さんがジャンプでサムライ8という漫画を連載した時、一話目の出来がかなり悪かったにも関わらず一応二話目以降を読み続けたという人は多いでしょう。
知名度のある漫画家の場合は「この作者は過去に面白い作品を生み出した人だから、一話目はあまり面白く感じなかったがとりあえず読み続けるか」みたいに有利になる事があります。
しかし新人やその読者にとって読んだ事がない漫画家の場合はこのような効果はありません。

<キャラクターにはまると読み続ける動機になる>

一話目序盤から読者を魅了するようなキャラクターが登場すると、そのキャラにはまった人達は確実に今後も読み続けてくれます。
最初の10ページ以内で絵的に魅力的な、また言動でも興味を引くようなキャラクターの投入をしていくべきです。

一体のキャラだけでなく複数のキャラを同時にすぐ投入して色々な読者の心を掴むのも良いでしょう。

週刊少年マガジンは新連載の一話目で女性のややHなシーンを入れる漫画がわりとあります。青年雑誌の新連載漫画とかも。
これは一話目で読者を性的に気持ち良くさせて、「二話目以降もこのキャラや他のキャラのややHなシーンがあるかも?」と期待させて読書を継続させるためにやっているのだと思います。
これも一種の「キャラにはまらせる行為」だと言えます。

<謎があると答えが知りたくて読み続けたくなってしまう>

人間というのは謎を提示されると、その答えがつい知りたくなります。
youtubeの動画などでもサムネイル画像で謎を提示し、その答えが知りたくて動画を再生したくなるという事が多いでしょう。
「実は『アレ』危険なの知ってました?」みたいなサムネイル画像とか。
「『アレ』って何なの?」と思って動画を再生してしまう。

連載漫画で一話目の冒頭から何らかの気になる謎を提示すると、ほとんどの読者はその答えを知らないともやもやし続けるためついその作品を読み続けたくなってしまうのです。
昔の漫画でもこの手法を使っていて、たとえば鋼の錬金術師はいきなり最初の一ページ目で主人公の体に大変な事が起きている姿が描かれ、それで読者は「え?なんでこんな凄惨な事になったの?」と思い、読み続けざるをえなくしています。
おまけに一話目ではきちんと説明しきらず、その後の話も読み続ける動機にさせています。

<逆にどういう一話目の構成だと一話切りされやすいか?>

一話目や二話目以降も読み続けたくなるような漫画は上記の通りです。
あとはギャグ漫画で「一話目がかなり面白かった」というのもあるでしょう。
癒し系漫画で心地良かった場合とかも。

逆に「こういう一話目の構成だと一話目途中で切られやすい」というのがあります。

・絵柄に癖があって一般受けしにくい
・キャラクターに魅力が無い
・キャラクターが魅力的な者がいても一話目の後の方に出てくる(序盤の方は魅力のないキャラしか登場していない)
・物語の展開がのんびりしている。展開が遅い。

これらがあっても何故か読み続けたくなる独特の不思議な魅力がある作品もありますが、基本的にこういうのは一話目途中で切られやすくなります。

<一話目で切られた後もまた読んでもらうためには?>

今は漫画アプリなどで連載中の作品の多くが1話目から10話目くらいまではいつでも無料で読めるようになっています。
一度1話目でその作品から離れた読者も、ふとした機会にまた戻って来てくれる事があります。

・読者を魅了するようなキャラクターを途中で投入する
・印象的な物語展開やシーンを入れる

というのが一話目以降もあると、漫画アプリではたまたま表示されたコマ画像を使った宣伝を見た時に「この漫画一話目で切ったけど、ちょっとしっかり読んでみるか」みたいに思って序盤数話を一気読みしてくれたり。
自分好みのキャラのコマ画像を見たり、気になる謎のコマを見るとこういう風に思ってしまいます。

紙や電子書籍で雑誌を読んでいる人も、パラパラとページをめくっていてふと自分好みのキャラや印象的なコマが目に入ると、その作品に興味がわいて読んでくれるようにもなったりします。
 
漫画を元に話してきましたが、今回の話は小説にも通じる物があります。
もし小説をnoteだったり小説投稿サイトなどで連載している人は、一話目の序盤の方で読者の心をしっかりつかむ事を入れた方が良いでしょう。


今回の記事のような漫画家やkindleで漫画を出している人向けの記事は以下のマガジンにまとめています。
色々参考になると思うので良かったら見てみてください。