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がん治療しながら働くデザイナーの話

この記事は freee Designers Advent Calendar の21日目です。

こんにちは、tokuminです。
去年は、UXデザインはじめたら移住してfreeeにはいった話を紹介しました。
今年もデザインの話題には全然触れていませんが、普段はfreee人事労務のプロダクトデザイナーをしています。

プライベートでは、女子力の高い4歳児とfreeeエンジニアの夫と柴犬とで、瀬戸内海の大三島で暮らしています。

近所の浜辺で今年10月に撮影してもらった家族写真

なぜ、このテーマにしたのか

妊娠したときは、育児中の働くママたちの体験記を読んで、復職後のイメトレをしていました。
でも、自分のがん治療がはじまるとき、働き方のイメージが全然もてませんでした
ぐぐっても体験記の数が少なく、今後の生活や仕事に不安があったので、自分の体験記を紹介してみます。
病気になったときの1つの参考事例になると嬉しいです。

なお、仕事以外の乳がん治療の話は以下の記事にまとめていますので、よければご一緒にどうぞ。

  1. 乳がん治療と副作用の体験記

  2. 乳がん治療にまつわるお金の話

治療と仕事

前提として、私はフルリモートで在宅勤務をしている顧客対応なしのデスクワーカーです。
出社必須の職場だったら、同じ仕事を続けるのは困難だったかもしれません。
freeeは相談しやすい環境だし、人それぞれに柔軟に対応してくれるので、がんが発覚時や治療がはじまってからも仕事を辞める発想は出てこなかったです。

会社への共有のタイミング

がんが発覚した翌週から治療開始することになったので、検査結果が出た翌日には、上司のデザイン事業本部のマネージャーのkambeさんとチームメンバーに報告しました。
業務に関わる別チームのメンバーには翌週に、他の関係者には手術による休職予定期間が見えてきた6月に報告しました。

みんな「治療と家庭を優先してね」「無理しないでね」「できることあれば言ってね」という温かい言葉をかけてくれましたし、上司は労務担当者に連絡してすぐに治療に関する会社のサポート(休職等の手続きなど)の説明を受けることができました。

デザイン部門への共有メッセージに優しいスタンプいっぱい

治療しながら仕事を続けるのに困ったこと

freeeはダイバーシティが浸透していて、個々を尊重し合っている雰囲気があるので、病気になっても精神的な安心感はばっちりでした。
しかし、慣れない治療のため、困ったこともいくつかあります。

治療スケジュールがはっきり決まらないので、勤怠や業務の調整がやりづらい

主治医から、治療が順調にいった場合のスケジュールは教えてくれますが、化学治療による体調の変化や副作用が人それぞれなので、予定は常に変更される可能性があります。
休職期間や通院のための勤怠調整を事前にできず、1週間先の予定くらいしかわからない状態でした。
予定を確定させることができず、常に勤怠や業務調整を気にしないといけないのが、地味にストレスでした。

体調の変化が予測できない

治療開始前は、化学治療の点滴の後は家に戻って業務に戻ろうと思ってました。
しかし実際は、1日中だるくて眠くて仕事どころじゃなくなることも、治療を開始してはじめてわかりました。
他にも副作用による体調不良が続く日があったり、皮膚病が発生したときは原因がわかるまで病院を転々とするハメになり仕事を急に休んだり抜けることがありました。

ケモブレインによる仕事に対する不安

治療開始からしばらくすると、頭のもやがかかって言葉が出てこなかったり、思考が働かない状態が続きました。(この状態をケモブレインというのを、後から知りました。)
当時はマネージャーだったのですが、このまま
ではメンバーのサポートや評価が正常にできない不安に強く駆られました。
また、複数プロジェクトに関わっていて、毎日1日中ミーティング予定が詰まっている状態だったのですが、コンテキストスイッチが大きく、働きの悪い脳みそではつらめでした。(普段もそんなに回転よくないのにー)

自分がボトルネックになる業務がある

当時はマネージャー兼リードデザイナーで、デザインのレビューやチームの窓口的な業務もありました。また、複数のプロジェクトのプロダクトデザインも担当していたので、自分が休職中に開発がストップしてしまわない準備が必要でした。

どう対処したか

マネージャーからメンバーに戻してもらう

上司に相談して、その四半期いっぱいでメンバーに戻してもらうお願いをしました。
すぐ受け入れてもらえたので、精神的にめっちゃ楽になりました。

属人的な業務をなるべくなくす

デザインレビューをリードデザイナーのみがするのではなく、チームメンバー同士で実施するようにしました。もともと、私のデザインはメンバーにレビューしてもらってたのもあり、すんなり運用できました。

設計書の最終チェックはくじでレビューするようにしています

体調不良は正直に伝えて無理しない

しんどい日は「今日は体調不良日なので、ゆっくりめで稼働します。ミーティングは別日にずらすかも。」と朝会等で連絡して無理せず自分のペースで仕事してました。
freeeは風邪等での体調不良で「在宅勤務します」とか「午前はちょっと休んで午後から稼働します」とかは、普段から言いやすい環境だったので、同じノリで伝えてました。

体調不良を伝えるメッセージに「お大事に」スタンプつけてくれる同僚たち

頼もしい同僚に甘える

治療予定の変更や体調不良時は、無理せず抱え込まず、頼りになるメンバーの優しさに甘えて、その都度業務調整しました。

先週も副作用で体調不良が続いたので、先月入社したてのryotakeくんが、ユーザビリティテストのモデレーターを交代してくれました。(入社したてなのに安定の進行ありがたい)

ユーザビリティテストの代打を申し出てくれる優しいryotakeさん

他にも、手術入院による休職中は、hinachannagomunが業務を引き継いで対応してくれてました。
まじ、ありがとう。

できないことは諦める

プロダクトデザイン以外にも組織的な活動にも参加していましたが、すべて今までと同じように仕事が出来なくなったので、強弱をつけて仕事してました。
主業務のプロダクトデザインのプロジェクトは休職中に開発が止まってしまわないように、先んじて設計を進め、それ以外は「できればやる」「できたらすごい」くらいの気持ちで取り組んでいました。

これで評価が下がっても仕方ない…と思ってましたが、「治療しながらでも主業務は進捗させていたから目標通り」という評価をしてもらいました。これまでと同じように仕事が進められないことによる不安があったので、このフィードバックはとってもありがたくて安心しました。
元気になったらまたバリバリがんばるぞーって思えます。

ちなみに、副業で経営しているオオミシマスペースは、問い合わせや予約対応のみで現場業務はスタッフにお任せしています。

有給や休職や、裁量労働制のメリットを使いまくる

freeeは年次有給休暇に加えて年5日の疾病休暇という、体調不良や家族の看病等に使える有給休暇があります。治療第一フェーズの週1日×12回通院日は、疾病休暇と有給休暇をフルに使いました。ちょうど期をまたいだので、新たに有給休暇が付与されたのもラッキーでした。
また、裁量労働制なので、前述したとおり働く時間の調整を通院や体調不良に合わせて調整させてもらってました。

休職制度ももちろんあるので、手術入院時は約1ヶ月間休職しました。
なお、休職可能期間は、各会社の就業規則によります。私はfreeeに所属して2年未満だったので、休職可能な最長期間が2ヶ月でした。

休職に入るときのSlackにも優しいスタンプいっぱい

さいごに

がん治療とともに働くデザイナー体験記、tokuminバージョンでした。
来年のアドベントカレンダーこそデザインの話を書きたいです。

まだ治療は続きますが、きつい抗がん剤は終わったので、体調はゆるやかによくなっていくことを期待してます。freeeのみなさん、引き続きよろしくおねがいします!

明日は、新卒2年目のkibachanが、毎日在宅勤務の私と正反対で「毎日出社してる話」をしてくれる予定です。お楽しみに!


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