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乳がんになったから9ヶ月間の治療体験を書くよ

唐突ですが、今年の春に乳がんが発覚して、現在治療中です。
会社のアドベントカレンダーで、乳がん治療しながら仕事している話を書こうと思い立ち、ついでに乳がん治療にまつわる経験を残しておこうと思います。(ちなみに治療はまだ終わってない)

全部で3つの記事になる予定です。

  1. 乳がん治療と副作用の体験記(この記事)

  2. 乳がん治療にまつわるお金の話

  3. 乳がん治療しながら働くデザイナーの話

軽く自己紹介

愛媛県今治市の大三島という島で、プログラマーの夫と4歳の娘と柴犬と暮らしています。島ですが、瀬戸内しまなみ海道という道でつながっていて、本州へも四国へも車で移動が可能です。
職業は、freeeのデザイナーで、普段は在宅勤務しています。
また、大三島では副業でオオミシマスペースという、ワークスペース付きの宿を経営しています。

OMISHIMA SPACE HANAREの前で撮った家族写真

島ぐらしに興味持ってくださった方は、こちらをどうぞ。

どうやって発覚したのか?

私は乳がん家系で、祖母も母も乳がんを発症してました。なので、自分もそのうちなるだろうと思ってたし、10年前から経過観察中のしこりがありました。
毎年、健康診断でひっかかっていて、去年11月の診断でも要検査という結果でした。
今回もどうせまた経過観察だろうと高をくくっていたので、重い腰をあげて専門クリニックに検査に行ったのが今年の4月。すぐに手術可能な別病院を紹介されて当日中に精密検査をしてくださり、2週間後に陽性とわかりました。

地域や病院によっては、検査までに数ヶ月待つこともあるそうなので、当日にすべての検査をしてもらえたのはラッキーでした。

乳がんのタイプ

ステージ2のサブタイプがルミナルB( HER2陽性)
サブタイプは大きく4分類されていて、タイプによって効果のある治療が異なります。
ルミナルはホルモン療法に効果があり、HER2はハーセプチンという分子標的療法に効果があります。
私のタイプは、乳がんの約1割で、どの治療も効果があるということで、治療内容は抗がん剤治療も手術も放射線もホルモン治療ありのフルコースでした。(まだ終わってない)
ちなみに標準治療のみで先進医療はしていません。

なお、主治医からは、ステージやサブタイプ名を使わずに病状や治療提案を丁寧に説明いただきました。なので、サブタイプという言葉は、乳がん治療を開始してから、本を読んで知りました。

ざっくりとした治療の流れ

ルミナルB( HER2陽性)は、ハーセプチン・パージェタという分子標的療法が効果があり、術前に抗がん剤治療が推奨されます。
術前に抗がん剤することで、しこりが小さくなればその療法が効果があるので、術後も続けるかどうかを判断する材料になるそうです。
なお、癌が小さくなっても、もともとあった部分は手術で取り除きました
(医療は常に発展しているので、5年、10年後はまた違うでしょう、と主事が言ってました)

4月上旬
- がん発見

4月下旬〜7月下旬:抗がん剤治療1フェーズ目
- CVポート(化学治療の際の点滴針を指す器具)を入れる軽手術
- 化学療法剤(パクリタキセル):週1×12回
- 分子標的薬(ハーセプチン・パージェタ):3週間ごとに1回×4回

8月上旬
- 乳房部分切除手術

8月下旬〜12月:抗がん剤治療2フェーズ目
-  化学療法剤(EC療法):3週間ごとに1回×4回

1月〜:抗がん剤治療3フェーズ目(来月からなので詳細は未定)
- 分子標的薬(ハーセプチン・パージェタ)再開(4月まで3週に1回予定)
- 放射線治療(16日間予定)
- ホルモン剤(5〜10年予定)

副作用や体調の変化

抗がん剤というと、嘔吐が激しくて食べることができないイメージでしたが、今は吐き気を抑える薬があって、食欲低下することはありましたが、吐くことはありませんでした。
とはいえ、いろんな副作用や不調はありました。副作用は人によって全然違うそうなので、私の場合はこうだったという参考程度に紹介します。

抗がん剤治療1フェーズ目

パクリタキセルは元気な細胞を攻撃する強い抗がん剤なので副作用が強く、ハーセプチン・パージェタは副作用はそれほど強くないと説明を受けました。

病院でもらった抗がん剤の治療スケジュールと副作用の予測が書かれた表

私の主な副作用は、脱毛、下痢、体力低下、ケモブレイン(記憶力、思考力、集中力の低下)、むくみ、手足の湿疹(かゆい)・腫れ、すぐ疲れる、だるい、不眠、食欲低下、お酒飲むと頭痛など
がん治療がはじまるまでは、風邪すらめったにひかない超健康体だったので、免疫力低下のしんどさをはじめて経験して、それに慣れるまでがしんどかったです。(いまは免疫力ない生活スタイルに慣れた)
また、パクリタキセルは週1だったので、ずっと何かしら不調がある状態でした。

あと、化学治療は数時間かけて点滴するのですが、パクリタキセルは手足のしびれを防止するために凍った保冷剤を入れた手袋・足袋で1時間ほど手足を冷やすのが、地味に痛くて辛かったです。

凍った保冷剤が入った手足袋をはめた様子(冷たくて痛い…)

乳房部分切除手術

私は左乳房の下側にがんがあったので、そこを切除する手術をしました。全摘出ではなく、乳房温存かつ切除部分が凹まないように形を整えてくれました。
術後は移動したお肉が固く形もアンバランスでしたが、4ヶ月たった現在は柔らかくなってきて形も違和感なくなりました。

なお、5泊6日の入院中はコロナのため面会もできないので、kindleを持ち込んでキングダム全巻を読みました。

抗がん剤治療2フェーズ目

ECのE(エピルビシンNK)とC(エンドキサン)は、パクリタキセルより強いらしい。
術後の病理検査結果では、発見されたがん細胞は点々ほどに小さくなっていて、転移も見つかってないけど、徹底的にがん細胞になる可能性をつぶす予防的治療として実施。

投薬から10日目を底辺に免疫力が下がった(好中球が減少)あと、また10日かけて戻る、体調不良サイクルが繰り返されます。
この期間に私に起きた副作用は、脱毛、便秘、貧血、すぐ疲れる、だるい、胃痛、不眠、頭痛など

病院からもらったEC療法スケジュールと副作用の目安の表

そして、EC療法時に投薬する好中球減少を抑えるG-CSF(ジーラスタという注射)が、スイート病というマイナーな皮膚病を誘引してしまい、顔に湿疹がいっぱいできて痛くて辛かった...。
最初に皮膚科で処方された薬でさらに悪化し、大きな嚢胞になってしまい、湿疹が治まった今も色素沈着が残ってしまいました(泣)
主治医も初めて見るケースとのことで、この副作用はかなりレアなようです。

治療3フェーズ目

年明けからスタート予定で、まだハーセプチン・パージェタの抗がん剤治療は続きますが、パクリタキセルやECと違ってがん細胞のみに働くそうなので、副作用は強くないはず。
また、同時に放射線治療とホルモン治療がはじまる予定です。

放射線治療は毎日16日間、ホルモン治療は5〜10年間行うそうです。来年からの治療や副作用については、また気が向いたら書いてみようと思います。

治療中のたのしみ

治療がはじまる前と後では生活が一変して、お酒飲むと頭痛くなるし、おでかけもしんどいし…いいこと1つもないと、凹んでました。
けど、数ヶ月経つと治療生活にすっかり慣れて、お酒の代わりにハーブティーや紅茶を楽しんだり、部屋を居心地よくしたり、休日は娘と夫だけでおでかけしてもらって自分は本や漫画を読んで引きこもったり、手術後の抗がん剤が抜けていて元気だった時期は娘と2人で母娘旅にいったり。

また、家族がいたことが精神的支えになっています。特に4歳の娘は、私がハゲようが、顔中に嚢胞ができようが、変わらず全力の愛をぶつけてくれるので、外見の変化があってもほとんど凹むことがありませんでした。

人間は変化があっても慣れる強い生き物ですね。治療しながら仕事も家事育児もしつつ、それなりに楽しく生きています。

では、次は乳がん治療にまつわるお金の話をしようと思います。


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