歴史、思想すべてぶち込んで

数ある漫画キャラクターの中でも、ハンター×ハンターに出てくる幻影旅団のクロロ団長(ケロロ軍曹みたいで可愛い)がかなり好きで、彼のセリフを見るために読み返すことが、たまにある。

旅団(クモ)ではオレが頭でお前達は手足、手足は頭の指令に対して忠実に動くのが大原則だ。それは機能としての話で生死の話ではない。例えば頭が死んでも誰かが跡を継げばいい、場合によっては頭より足の方が大事な時もあるだろう。 (クロロ=ルシルフル/12巻・流星街回想編)

思想のない組織はトップが崩れると仲間はどうしたらいいか分からなくなる。これは、企業や部活、バンドなど、全ての”組織”に言える話で、例えば圧倒的なカリスマストライカーがいるサッカー部も、思想がハッキリしていないと、ちょっとしたことで揉め事になったりして、いとも簡単に人間関係が壊れチーム崩壊みたいなことがある。高校サッカーなんかは案外地味な選手で構成された思想の強いチームが決勝まで行ったりすることが多々ある。(思想が勝ち上がる理由の全てではないけれど)

思想って言うとなんか高尚なもののように聞こえるけれども、"大切にしてる価値観"くらいのニュアンスに置き換えて差し支えない。「ルールは守ろう」とか「相手の立場になって行動しよう」とか、その程度のやんわりした言葉で十分思想になりうると僕は考えている。大切なことは、これをみんなで共有できている状態をつくることで、共感する必要はないということ。肌感覚として、この共感を強要する組織って少なくないんだろうな〜とか塚田農場でバイト(OPEN前にクソでかい声で社訓を読み上げる洗脳じみた行事がある、毎日)をしてた学生時代を思い出した。あくまでも「この組織における思想」であって、そこに属する人全てにその思想を日常にまで強要することは完全に悪手である。(もちろん、その思想を気に入ってもらえてその人の当たり前になれたら、嬉しかったりするんですけどね)

日本では90年代以降、過激派新興宗教のエキセントリックなプロパガンダや”とんでもない事件”のおかげで、信仰や思想みたいなものに強烈なレッテルが貼られた気がしていて、こういったテーマを深く議論すること自体タブーとまでは言わないけれどなんだか語りづらい空気感が出来上がってしまったなあと悲しく思うことがたまにある。

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