インターネット、ギャンブル、セックス

数年ぶりにマクドナルドにやられてしまった。ソフトツイストをここ数日ほぼ毎日購入している。乳脂肪分がたっぷり練り込まれた濃厚なソフトクリームは、俺の脳内に一時的な快楽をもたらし、「明日も此処へ来い」と悪魔の手招きをしている。

これはいわゆる砂糖依存症というやつだ。砂糖には、アルコールやドラッグと同様に、脳内にドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質の放出を促す効用がある。それらの神経伝達物質は体に快感を覚えさせ、濃度が薄まると禁断症状が現れたりする。当然、砂糖の取りすぎは体に悪い。肥満、高血圧、糖尿病など様々な健康被害をもたらすことが、既に研究でわかっている。

そもそも「中毒」とは一体何か。辞書的には “ある種の物質を体内に摂取することにより機能障害をひき起こすこと。” といった表現をする。「何かを体内に摂取する」とあるが、何かを口にする以外のことも、中毒と表現するケースがいくつかある。インターネット、ギャンブル、セックス、ワーカホリック、etc...
これらに共通することは「快楽と引き換えにある」という点である。快楽と引き換えに体や精神を破壊し、少しずつ人生が壊れていく。何か深みにはまっているときは、常にこの中毒状態にあることに対して自覚的でなければ、と身を引き締める思いだ。

スティーブ・ジョブズがLSD中毒者だったことは有名な話だが、彼を真にAppleを導くスターへ変貌させたのは禅だった。LSDの幻覚作用や超意識と呼ばれる全能感は、禅をしている時に限りなく近いといい、現在ではマインドフルネスという形で、グーグル、インテル、IBM、フェイスブックなど欧米大企業が導入するほどにまで至った。きっと、ドラッグの破滅的効用がなければ、アンディウォーホルもグレイトフルデッドもiPhoneもTempestも誕生しなかった。

人は何かの犠牲なしに何も得ることはできない
何かを得るためには、それと同等の代価が必要になる
それが、錬金術における等価交換の原則だ
その頃僕らは、それが世界の真実だと信じていた

なんてアルは言ってたけど、まさにこの中毒というやつは等価交換のど真ん中をいく性質を持つ。一瞬の快楽を得るたびに、どんどん体が蝕まれていく。当たり前な話になって小っ恥ずかしいけど、健康が何よりも大切だ。ジョブズは最期の病室で、ティムクック(現Apple CEO)にこんな言葉を残した。

You can employ someone to drive the car for you,
make money for you but you cannot have someone
to bear the sickness for you.
   
あなたのために、ドライバーを誰か雇うこともできる。
お金を作ってもらうことも出来る。
だけれど、あなたの代わりに病気になってくれる人は
見つけることは出来ない。
  
Material things lost can be found.
But there is one thing that can never be
found when it is lost – “Life”.
   
物質的な物はなくなっても、また見つけられる。
しかし、一つだけ、なくなってしまっては、
再度見つけられない物がある。
人生だよ。命だよ。
   
When a person goes into the operating room,
he will realize that there is one book that he has
yet to finish reading – “Book of Healthy Life”.
  
手術室に入る時、その病人は、まだ読み終えてない
本が1冊あったことに気付くんだ。  
「健康な生活を送る本」
  
Whichever stage in life we are at right now,
with time, we will face the day when the
curtain comes down.
  
あなたの人生がどのようなステージにあったとしても、
誰もが、いつか、人生の幕を閉じる日がやってくる。
   
Treasure Love for your family,
love for your spouse, love for your friends…
     
あなたの家族のために愛情を大切にしてください。
あなたのパートーナーのために、
あなたの友人のために。
  
Treat yourself well. Cherish others.
  
そして自分を丁寧に扱ってあげてください。
他の人を大切にしてください。
   

何者にもなれない自分が何よりも怖くて、すがる思いで快楽に溺れそうになることが、たまにある。でも、死んでしまっては元も子もない。誰がための命か、何がための人生か、常に見つめながら燃やしていきたい。一瞬の快楽よりも、長く続く小さな幸せが、ずっといい。

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