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ライトノベル『死亡遊戯で飯を食う。』の感想

※『死亡遊戯で飯を食う。』1巻のネタバレがあるので注意!

元々タイトルすら聞いたことがなかったが『このライトノベルがすごい 2024』の総合ランキングで2位だったということで知った『死亡遊戯で飯を食う。』という作品を読んでみた。今回はその感想を書いていこうと思う。

まずは本書の内容について話すと、この作品は端的に言えばデスゲームである。ただし普通のデスゲームものとは少し違う斬新な設定もある。デスゲームものといえば、ゲームが開始されて外へ脱出するまでが1本の作品として描かれることが多い。しかしこの作品はデスゲームに何度も参加する常連が主人公として描かれる。なので1巻においても複数回デスゲームが行われるという比較的短いスパンでゲームが終わる稀有な設定となっている。

1巻では2回ほどデスゲームが行われるが、どちらも複数人死者が出る内容となっており、人がバンバン死んでいく。なので主人公以外は基本的に入れ替わりで新キャラも大量に登場する。一応生き残ったキャラクターもいるのでもしかすると再登場する可能性もあるかもしれないが、そのあたりは続きを読んでみないとわからない。

1巻の前半部分におけるデスゲームでの参加者は6人だが、2巻では300人となっており、ゲームごとに参加人数にばらつきがある模様。参加者には初参加もいるし何十回も参加している常連もいるという不思議な設定である。

幽鬼という17歳の少女が主人公なのだが、この主人公は掴みどころのない性格をしていて面白い。幽鬼は人を殺さざるを得ない場面ではあっさりと人を殺すという非情さを持っているが、たまに温情を見せたり人の遺志を継ぐアツい心も持ち合わせているという描写もある。この一見矛盾した性格は単に作者の中でキャラクターが定まっていないだけという風にも見えるけど、妙な生々しさがあるようにも見える。一貫性の無さが逆にリアルというか実際に生きている人間の気持ちってこのくらい場面ごとに違うようにも思うので、それを実直に描いている感じが妙に生々しく感じられる。

本作は文章が笑っちゃうレベルで稚拙だし設定も細かい点が無茶苦茶だったりするんだけど上に書いたような生々しさが妙にリアルで謎の魅力がある作品だと思う。なので欠点は多いけど個人的には結構好きな作品ではあるし面白いと思った。そのうち続きも読もうと思う。

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