『やがて君になる』全巻を再読した感想(2023/1/20の日記)

※『やがて君になる』のネタバレが書いてあるので注意

今Amazonでやっている電子書籍のポイント還元セールで百合漫画を大量に買ってしまった。その流れで百合漫画熱が再燃し『やがて君になる』を再読したので今回はその感想を書いていこうと思う。

やっぱりやが君は良い。初心者向けの百合漫画だという紹介をSNSで見たけど確かにその通りだと思うし、ある程度百合漫画を読んでいる人でもバイブルというくらい崇めている人もいるんじゃないかと思う。自分もその一人でこの作品は本当に良いとしか言えない。

再読してみて感じたけど最終巻の受けとめ方が以前読んだ時とは変わっていた。というのも前に読んだときは侑と燈子が付き合った後ってそんなに尺いるんだろうかと思ったからだ。数年後の学祭の話って必要なのだろうかと前回読んだときに思った記憶がある。

だけど今回読んで普通に必要だと感じた。というのも侑が「好き」という概念を会得できたのって燈子が好きだということを選択したからであって、この作品の主題がその選択に当たるからだ。燈子が劇を通じて知ることができたというのも自分を選択するということだし、ラストの侑の将来の話も自分で選択していけるということを語っている。この「選択」という文脈を前回読んでいた時にとらえきれていなかった。なので絶対に必要だし今回読んだときは普通にそれに気づいて感動した。

こういう感じで「好きってなんなんだろう?」というテーマを「選択」という風に解決策とともに抽象化して広くとらえる感じがとても良いなぁと思う。シャニマスとかにも感じるけど何食べたらこんな発想になるんだろうか?(凄すぎる……)

あとやっぱり槙くん好きだなーと思った。この作品において槙くんはどこか浮世離れしていて超越してるという感じがする。完全に物語の外からこの漫画を俯瞰しているという立ち位置でその異質さが個人的には好きだ。登場頻度はそんなに高くないけどちょっとした出番でガッツリ記憶に残る立ち振る舞いをしてくる。

7巻での侑とのバッティングセンターで言ってた「君と僕を一緒にしないでよ」というセリフが作中では結構大事だと思うんだけど、あまりにも達観しすぎててシュールで笑えてくる感じがある。だけどその感じがとても良い。槙くんは個人的なキャラランキングで言えばTOP5くらいには入ってくると思う。

全体的にそれぞれのシーンが前回読んだ時とは全然違う印象を受けたというか、「前回はこんなに読み取れてなかったのかー」と落胆すると同時にこの作品の奥深さがすごいと感じた。百合漫画どころか漫画の一つの到達点なんじゃないかと思う。個人的にはそれくらいにはすさまじい作品だと感じる。

なので是非アニメ2期をやってほしい。昨今のリコリコ→水星の魔女→転天の流れで百合ブームが加速してやってくれないかなぁと思っている。

(ついでに『きたない君がいちばんかわいい』、『君と紡ぐうたかた』、『熱帯魚は雪に焦がれる』、『あの娘にキスと白百合を』もアニメ化してほしい……)


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