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ITの活用:燕三条の町工場の一例

CADを用いて図面を描き、プログラム作成をする。経理事務ソフトを使って納品書・請求書を発行する。それらのこともITの活用になるのでしょう。

今回の議題は、経営課題と結びついたITの活用
IT技術を活用してどのように経営課題と向き合うかということ。

まず、経営課題について。
経営課題は「成長」と「継続」
会社の成長は、経営資源「ヒト・モノ・カネ・情報」を増やしていくことです。
会社の継続は、売り上げを立て、利益を出して一年ごとに決算期を迎え、続けていくことです。
それらについてどのようにIT技術を活用してくかということです。

経営資源を増やすには、現状把握する必要があります。「ヒト・モノ・カネ・情報」の中には数値化しやすいものとしにくいものがあります。漠然と増えた減ったではあまり意味がありませんので、何らかの基準を据えて一定の期間ごとに定点観測していきましょう。
・ヒト
人材をどのように評価するか。
技術・生産力・勤勉性・協調性・健康・年齢・勤続年数など。
本人の自己採点や一緒に働くスタッフ、上司などから多角的に評価してもらったほうが良いでしょう。一年ごとに確実に増えていくものもありますし、一定のレベルに達すると変わらないもの、環境の変化などによって下がってしまうものもあるかもしれません。なかなか時間を採りずらいかもしれませんが、直接のヒアリングもコミュニケーションの要素です。
・モノ
生産設備や作業現場などの生産環境など。
生産設備に関しては、機械の台数にこだわるのではなく、一台一台の生産能力を評価しましょう。古くなってろくに動かない加工機を1台と数えて、台数の過多で評価するのは得策ではありません。古い機械2台を新しい機械1台で賄える方が、必要とされる作業スペースも節約できますし、担当するオペレータの負荷も軽減する事が出来ます。
トクニ工業で行っている金属の板加工は、案件によっては使用する板が大きくなり、それに見合ったスペースが必要となります。加工前の材料、加工中のスペース、加工後の製品を置くスペース。一つの工程を行うのに、製品の約3倍のスペースを必要とします。
1年ごとに生産機械も年を取るわけですから、毎日稼働していれば故障個所も増えてきます。それに伴い、修繕費もかさんできます。トクニ工業では主にアマダの機械を使っているのですが、レーザーやタレパンなどの切断系の加工機は、メーカーから年間の保守契約を求められます。確かに故障すれば生産工程が中断されますし、一刻も早く復旧が望まれます。また作動オイルや発振器のメンテナンスなど、安定した生産には欠かせない保守項目もあります。費用対効果を加味しながら慎重に検討する必要があります。
・カネ
運転資金は企業の血液ですから、枯渇してしまうと、会社を経営していく事が出来なくなってしまいます。決算書の数字も大切ですが、現預金として現在幾は会社が資金を保有しているかを把握しておく必要があります。次に直近1か月でいくら支払いの義務があるのか、そのための予算は確保できているのか確認しなければなりません。その上で、1年間におよそいくらくらいの経費が必要となり、損益分岐点の設定ができるようになります。
成長のために必要な設備投資の予算はいくらか?自己資金で賄うのか?銀行から長期借入をおこして資金を調達するのか?長期借入なら何年で返済して、月の返済額はいくらか?返済完了した数年後にはどのようになっていたいのか?
お金は最も数値化しやすいです。そして最もシビアに会社を評価してくれます。予想したような売上・利益の数字が得れないのであれば、内容を精査する必要があります。利益に関しては、売上だけに影響されるのではなく、仕入れにも影響されます。そして経費。非効率な仕入れはなかったか?経費は適切に使われているか。
およそ経費は、毎月毎年使われるものと、イレギュラーに発生するものがあります。毎月毎年使われる経費は、必要の有無も含めて年に一度は検討するべきです。
・情報
会社の共有財産である技術情報やノウハウ、実績など。データベース化した方が良いものはデータベース化し、重要度が低いものはあまり時間やコストをかけないようにほどほど管理が良いと思います。
端から端まで把握しようと執拗にデータベース化しても、使わなければ意味がありません。判断は微妙になりますが、一定のルールを定めた中でのデータベース化作業が良いでしょう。
時代の変遷とともに得られる情報もそれに対する評価判断も変わっていきます。フレキシブルに対応しながら、時代の波を乗り切っていきましょう。

決算期でも年初でもよいですが、一定の期間ごとにこれらの経営資源を数値化してみて、企業目標を定めてみてはいかがでしょうか。

優先順位の1位は会社の継続です。

そのためには、何をするか。できる事から取り組んでいきましょう。

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