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1972年新潟県燕市生まれ。 製缶工場での見習いの後、1996年父が創業した株式会社ト…

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1972年新潟県燕市生まれ。 製缶工場での見習いの後、1996年父が創業した株式会社トクニ工業入社。2004年代表取締役社長に就任。働くスタッフ一人一人が自立した、筋肉質な会社を目指す。現在1日20件、年間約5000件のプログラムを作り出す。 趣味は読書とランニング。

最近の記事

地の利を活かす:燕三条の町工場の一例

・金属産業の集積地 ・東京まで300キロ ・越後平野・田園地帯 ・日本海側 燕三条地域は金属産業の集積地として知られ、数多くの金属産業の企業があります。トクニ工業は精密板金加工をコア事業として行っています。 燕市は洋食器の街として発展してきた過程があり、フォーク・スプーンなどのカトラリー、調理器具である鍋・フライパン、そして厨房機器。包丁。ステンレス製のパネル。アミ・ザルなどのワイヤー製品。ワイヤーを使った生活雑貨。商品陳列棚・商品陳列用フック。鎚起銅器などの銅製品。さまざ

    • 残業は利益を生むか:燕三条の町工場の一例

      働き方改革によって残業時間が制限されるようになってきましたが、残業は利益を生むのでしょうか? 残業とは、所定労働時間(8時間)を超えて働くことを指します。 36協定を結んでいる企業は、所定労働時間(8時間)を超える残業時間の上限が設定されています。 ・1日4時間 ・1か月42時間 ・1年320時間 上記を超える場合は、労働基準法に抵触するため、罰則の対象となります。 所定労働時間は週40時間(8時間×5日)×52週-最低5日間の週休休暇取得義務(40時間)で、年間2040時

      • ITの活用:燕三条の町工場の一例

        CADを用いて図面を描き、プログラム作成をする。経理事務ソフトを使って納品書・請求書を発行する。それらのこともITの活用になるのでしょう。 今回の議題は、経営課題と結びついたITの活用 IT技術を活用してどのように経営課題と向き合うかということ。 まず、経営課題について。 経営課題は「成長」と「継続」 会社の成長は、経営資源「ヒト・モノ・カネ・情報」を増やしていくことです。 会社の継続は、売り上げを立て、利益を出して一年ごとに決算期を迎え、続けていくことです。 それらにつ

        • 町工場の棚卸し

          一年に一回、決算の際に棚卸しをします。 主な項目としては、材料在庫と仕掛品になります。 数年おきに行われる税務調査の度に、実施項目が細かくなっていきます。 私どものような町工場にとっての棚卸しとは、決算書の貸借対照表に載せる棚卸資産の金額を算定するためのものです。個別項目として棚卸資産の計算内訳もあります。 まず材料在庫ですが、工場内にある材料在庫を材質・板厚・寸法に分け、数量を記入していきます。今回はおよそ110項目ありました。そして仕入伝票を基に購入価格を調べていきます

        地の利を活かす:燕三条の町工場の一例

          働き方改革?:燕三条の町工場の一例

          「働き方改革」の掛け声のもと、ものづくり企業でも長時間労働が問題視されるようになっています。 トクニ工業では、昨年、労働基準監督署の立ち入り検査があり、監督官から長時間労働に対する是正勧告がありました。 36協定を結んでいる企業は、所定労働時間(8時間)を超える残業時間の上限が設定されています。 ・1日4時間 ・1か月42時間 ・1年320時間 上記を超える場合は、労働基準法に抵触するため、罰則の対象となります。 以前、燕三条地域には「産業カレンダー」という双方の商工会議所

          働き方改革?:燕三条の町工場の一例

          自社商品を作ってみたものの:失敗事例

          当時10年以上前になりますが、燕三条地場産業振興センターの教育プログラムで、自社商品の開発を行うというものがありました。10名弱の人が参加し、それぞれの企業に適した商品開発案を出し合いました。 薄型の金属製のプランターを作って、パーティションや壁面埋め込み式のプランターでした。タイミングよくNICO(にいがた産業創造機構)で商品開発に対する補助金を募集していました。そこで、まだラフなアイデアだったのですが、金属板でモックアップを作成し、NICOの審査会でプレゼンを行いました。

          自社商品を作ってみたものの:失敗事例

          設備投資について

          設備投資は、生産設備の新陳代謝です。 継続的に走り続けるために、定期的に設備投資を行っています。 設備投資には大きく ・新規分野の開拓のための設備投資 ・既存の生産設備の更新 があります。 今回は既存の生産設備の更新に的を絞って話を進めます。 トクニ工業が行っている精密板金加工は、切る・曲げるなどの用途に特化した加工機を用いて行われます。切断・折り曲げ・ロボット溶接機はCADで展開図形を作成し、機械ごとにプログラムを作成し、加工します。 切断に用いられるレーザー加工機は、

          設備投資について

          中途採用選考のキモ

          人材の補充や増員のため、中途採用を募集することがあります。 専門的な技術を持つ経験者を募集することもあれば、未経験問わずで製造全般を担うスタッフを募集することもあります。 人材不足の今日、一人の募集に対して一人の応募であれば、選択の幅は絞られ、応募者とじっくり面接し評価し採用の検討をすればよいでしょう。それに対し、複数の応募があった場合は更なる検討が必要になります。 一定の採用基準を満たしているか。 一定の基準とは何になるのでしょうか?  心・技・体 ・一緒に仕事をしたい

          中途採用選考のキモ

          ジョブローテーション:燕三条の町工場の一例

          先日、曲げ工程専属のスタッフが、新型コロナウイルスに感染して、1週間ほど休みました。その助っ人として、10数年ぶりにベンダーを扱いました。他の作業者にセッティングしてもらって曲げることはたまにありましたが、自身でセッティングするというのはひさしぶのことです。 機械メーカーは同じアマダ製ですが、昔と比べNCが異なっています。タッチパネルも少しずつリニューアルされて、変更点の方が多いくらいです。 ベンダーは金属の板を折り曲げる機械です。板の厚みによって使う金型が異なってきます。て

          ジョブローテーション:燕三条の町工場の一例

          永く働いてもらうために:燕三条の町工場の一例

          永年勤続表彰は社内表彰制度の一種であり、勤続年数が長い従業員を讃えるための制度です。 トクニ工業では、勤続年数5年ごと(5年、10年、15年、20年・・・)に永年勤続表彰を行っています。 それは長く継続して勤務に従事してほしいという要望とともに、これまで継続して勤務していただいたことへの感謝の気持ちが込められています。 対象は社員・パート分け隔てなく行っています。 製造業はものを作ることを主な生業としていますが、製造に従事している時間以外にも時間を使っています。作業の準備・

          永く働いてもらうために:燕三条の町工場の一例

          失敗の原因は思い込み:燕三条の町工場の一例

          三面図で描かれた部品を作るときは、お客さんからCADソフトで書かれた図面をもらいます。図面はDXFやDWGの形式でデータを渡してもらい、そのデータを使ってプログラムを作ります。 データ作成の際、多くのCADソフトは1分の1で作成されます。また、三面図で作成されたCAD図は、正面図・底面図・側面図など3方向からの図が表記されます。正面図を修正した場合、それに連動して他の部分も連動し修正されていきます。若干のソフトにより違いはあると思いますが。 紙で出力する際には、A4,A3など

          失敗の原因は思い込み:燕三条の町工場の一例

          エコ事業の失敗:燕三条の町工場の一例

          エコロジーやSDGSに関連した事業は、耳障りも良く惹かれますよね。 トクニ工業でもリサイクル機器の製造販売に携わった時期がありました。 現在は行っておりません。 10年ほど前になるのですが、ある取引顧客さんがリサイクル業者向けのガラス瓶破砕機を作っていました。その金属部品の加工をお手伝いさせてもらっていました。 ある時、そこのお客さんの担当責任者の方が、60歳で定年になるということで、雇用延長されず退職することになったということで相談がありました。 本人は気力・体力ともにまだ

          エコ事業の失敗:燕三条の町工場の一例

          棚卸資産:燕三条の町工場の一例

          会社の決算書には棚卸資産という項目があります。 トクニ工業では、主に2つの項目で計上しています。 原材料 仕掛品(半製品) 原材料は主に鉄板になります。 鉄・ステンレス・アルミ・チタンなどの材料になります。 常時ストックしているものと、特注オーダーした材料の残りなどです。 材料の在庫は、年間売り上げの約5パーセント程度になります。 材料単価にもよりますが、多くはステンレスの材料になります。 定尺板と呼ばれる材料をストックしているのですが、材料屋さんにあれば1日2日で入荷され

          棚卸資産:燕三条の町工場の一例

          事業撤退:燕三条の町工場の一例

          10年近く前になりますが、照明器具の事業から撤退しました。 大きな理由は、担当責任者の定年退職です。 小さな理由としては、後任の不在と照明器具事業の利益率低下と先行きの悪さです。 もともとCさんは、トクニ工業の顧客企業で、同じメーカーの照明器具の組み立てをやっていました。ところがその会社が業績不振で、倒産してしまいました。そのためCさんは、照明器具製造の仕事をもってトクニ工業に入社しました。 照明器具の組み立てという仕事は、様々な部品を調達し、それを組立て完成品にし、顧客倉

          事業撤退:燕三条の町工場の一例

          新規顧客への対応:燕三条の町工場の一例

          新規顧客との取引に際し、注意すべきはお金のやり取りになります。 ステンレスの磨きの板を鏡のように使いたいという依頼を受けたことがありました。 取引実績がなく、県外の企業で面識もなく事業規模も不明なところからの仕事の依頼は、相手先の取引条件をそのまま受けるには躊躇してしまいます。 20年以上前になりますが、取引条件をあいまいにしたまま、仕事を受注し大きな鏡に見立てた製品を納めてしまいました。それ以前の新規の取引では、製品納入後、料金を振り込んでもらっていたのですが、その時のクラ

          新規顧客への対応:燕三条の町工場の一例

          会社での朝のルーティーン:燕三条の町工場の一例

          毎朝、会社に来ると10分から15分くらいかけて掃除をします。 月水金は事務所、火木は現場。 毎日同じタイミングで掃除をしていると、その日によって加工している製品が異なっていたり、担当者ごとの持ち場が混んでいたり空いていたりといったことが、肌感覚で伝わってきます。 また、自分で掃除していると汚れているところが気になるようになります。長時間にわたって掃除をするわけではないですが、朝の限られた時間の中でもできることはあるわけで、少しでも現場で作業するスタッフが働きやすいようになれば

          会社での朝のルーティーン:燕三条の町工場の一例