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新規顧客への対応:燕三条の町工場の一例

新規顧客との取引に際し、注意すべきはお金のやり取りになります。
ステンレスの磨きの板を鏡のように使いたいという依頼を受けたことがありました。
取引実績がなく、県外の企業で面識もなく事業規模も不明なところからの仕事の依頼は、相手先の取引条件をそのまま受けるには躊躇してしまいます。
20年以上前になりますが、取引条件をあいまいにしたまま、仕事を受注し大きな鏡に見立てた製品を納めてしまいました。それ以前の新規の取引では、製品納入後、料金を振り込んでもらっていたのですが、その時のクライアントは製品を納入したにもかかわらず、いっこうに料金を支払ってもらえませんでした。結局納品後、40日ほど経って料金は振り込まれました。たしか3万5千円だったと思うのですが、当時の私は踏み倒されたのではと気が気ではありませんでした。今考えると単に月末締め翌月末払いだったのでしょうが、当時の経験の未熟さを露わにする一例です。

企業のホームページの会社概要では、その会社の売上や利益などの業績を知ることはできません。与信管理では、帝国データバンクや東京商工リサーチなどから、企業情報を得る事が出来ます。主要取引先や2年から6年程度の売上や当期純利益を知る事が出来ます。そしてどちらの企業情報でも評点が記されています。
評点とは
TDBが企業を100点満点で評価した点数で、企業が健全な経営活動を行っているか、支払能力があるか、安全な取引ができるかを第三者機関として評価したものです。(帝国データバンクホームページより)
点数は高いに越したことはないのですが、町工場が点数高いわけでもなく、50点から60点の間であれば、充分優良企業でしょう。
あまりに点数が悪いとD判定になったりします。
ただ、調査会社から一定の評価を得ていた企業が倒産することも間々ありますので、過信しすぎるべきではありません。
またあまりに小さい会社や社歴が浅い会社、調査会社に協力しない会社などは、企業情報を得る事が出来ません。あまり怖がってばかりでは、新規の取引先との仕事は始められませんので、何らかのルール作りは必要です。

現在では、基本的には新規の取引先に対しては前金をご請求させていただいています。新規の取引先を調査し、業務内容を確認した上で営業活動を行い、受注を得た場合には、取引先の支払い条件に従って取引を開始することなります。しかし、加工先を探している企業が、トクニ工業にたどり着いて仕事を依頼したい旨を伝えられたら、支払い条件にこだわりはないでしょう。
新規の取引先の場合、これを契機として継続的に仕事の依頼をいただくこともありますが、一回限りの依頼ということもあります。たまたま金属の板加工をするところを探していて、その案件が解決すれば金属の板加工を必要としない会社もあります。製品の品質よりも、お金を払ってもらえるか心配するというのは、本末転倒と言えるかもしれません。
安心してものづくりができるようお金の流れに関するインフラ整備は重要です。

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