西武の2022ドラフト戦略を予想してみる①
はじめに
こんにちは。気付けば2022ドラフトまであと4日です。
今回はライオンズに焦点を当ててドラフトを見ていこうと思います。
流れ的には
まず現有戦力を確認しながら補強ポイントを明確にし、
次に実際のドラフト市場を見て需要と一致する候補を探り、
最後にまとめとして指名例を提示する、といった形を取ります。
尚、wRC+やWARなどの指標を利用して客観的に分析するのにはあまりにも時間(と余白)が少なすぎたため個人的・主観的な見解を述べるに留めます。
現有戦力分析
[1] 年齢構成から考える補強ポイント
まずはじめに、選手の実力などは度外視して単純な選手の絶対数という観点から編成上人数が足りていないポジションを見ていこうと思う。
以下は年齢別の編成チャートである。(2023満年齢で表示)
まず目立つのは若い捕手の少なさ。古賀より下の世代は育成の古市とTJ手術をした牧野と層の薄さが際立っている。岡田の怪我も響き、昨シーズン中にはファーム捕手運用が困難となり駒月BCを緊急で育成契約した。そのため素材型の捕手を獲得することは急務と言える。ちなみに森はFAしない。
次に気になるのは投手のそもそもの人数の少なさ。支配下登録の投手は昨年時点で31人と12球団最少であり、更にそこから十亀・武隈・内海の3投手が引退を表明した。近年は深刻な二軍投手不足が指摘されており、ファーム戦にも関わらず3連投や151球完投などを強いられるケースも。若い才能を潰さないためにも高校大学問わず、ある程度の人数は指名しておきたい。
高校生外野手も補強ポイントの一つである。表を見ると23歳以下の外野手は長谷川と仲三河しかおらず、そのうち長谷川は内野併用でもあるのでここも層が薄い。外野手自体の人数はかなり多くなっているため慎重な判断が求められるが、次世代の外野の中心を担える強烈な存在の確保はしておきたい。
一・三塁を守る長距離砲タイプの高校生も補強ポイントか。現状パワーヒッター候補の内野手は25歳前後に固まっており、若い世代には一人もいない。長距離砲育成は西武の十八番とはいえ時間がかかるもの。来季のドラフトの方がこのタイプの人材は豊富ではあるとはいえ(佐々木麟太郎など)、目を見張る選手がいれば今季からでも獲得を目指したいところ。
最後に外崎や山田の去就次第だが仮に彼らが退団ということになれば即戦力セカンドの補強は最優先事項となってくる。一番のデプスを誇っていたこのポジションが補強ポイントになるとは夢にも思っていなかったが、、頼む、残ってくれ(願望)
まとめると
① 高校生捕手
② 投手全般(できればイニング食える先発タイプ)
③ 高校生外野手
④ 高校生長距離砲(一・三塁を守るイメージ)
(⑤ 即戦力セカンド)
以上が選手の年齢構成から考えるライオンズの補強ポイントとなる。
[2] チームの課題から考える補強ポイント【投手編】
ここからが主観の入る場所。チームの弱点を洗い出し、補強の優先度を探る作業。異なる意見もあるかと思うが、一個人の見解として読み進めて頂けたらと思う。
まずは投手から。
今季のライオンズの投手陣は目覚ましい活躍を見せ、昨年リーグ最下位だったチーム防御率をなんと1位にまで押し上げた。特にブルベン陣は抜群の安定感を誇り、最優秀中継ぎ賞を分け合った水上・平良を中心に強固な逃げ切り体制を築き上げた。中継ぎ転向して覚醒した本田や左キラーとして圧倒的な存在感を醸す公文、獅子の守護神・増田(なお終盤戦)も大きくAクラスに貢献し、佐々木・ボー・宮川らも確かな成長を見せている。
先発に目を向けると高橋はリーグで山本由伸に次ぐ存在となり、今井・松本も離脱こそあれどシーズン終盤には見事な投球を見せていた。貴重な新戦力としては制球力に磨きのかかった與座と新外国人左腕エンスが加わり本格派右腕だらけの陣容に変化が訪れた。残る一枠は最後まで埋まらなかったが、負け数に拠らず投手指標がチームトップ(らしい)のドラ1・隅田が来季の本格化を控える。
主力投手の年齢はかなり若く、近未来は概ね安泰だと言えよう。しかし層の薄さは懸念事項であり、一軍で各投手が好投する裏で二軍ではめぼしい昇格候補がほとんどいなかった(良い若手が既にほぼ一軍にいる事情はあるものの)。主力投手の離脱が続けば一気に弱体化する恐れがあるため、補強の手を打っておきたいところ。
それでは来季の投手陣を見ていこうと思う。
2018基準で考えると「投手王国!補強いらん!」と言いたくなるところだが、あいにくあんな打線はもうないので補強は必須だ。
最優先はやはり先発だろう。ローテの一枠に関しては正直どのドラフト候補よりも隅田の方が期待値が高いので「一軍即戦力」を無理に獲得する必要は無さそうだが、何と言ってもファームを回す枚数が足りない。投手不足→酷使→TJ→更に投手不足という負のスパイラルは即座に食い止めるべき。特に羽田・黒田・豆田の3人は将来のローテを担う存在なだけに彼らだけは無理させず大事に使いたい。現時点での完成度というよりはやや素材に寄った、でもファームですぐに投げられる大社投手の獲得が急がれる。
救援陣は層が厚い。リリーフは消耗品と言うが、それでもかなりの余裕が見える。来季の新戦力候補としては二軍で高い奪三振能力を見せる松岡がおり、かなりの期待感がある。先発と比べてやや平均年齢は高めなので、育成要員として素材型の高校生を育てておくことは必要か。しかし外国人補強もしやすいポジションがゆえ、即戦力リリーバー獲得の優先度は低いだろう。
まとめると
① 大社先発型投手(やや素材寄り)
② 出力の高い高校生投手
以上がチームの投手課題から考えるライオンズの補強ポイントとなる。
[3] チームの課題から考える補強ポイント【野手編】
次に野手。いやぁ課題だらけだ。今季はまさに山川ゲー。チーム打率はリーグ最下位で出塁能力も低い。塁に出ても機動力がないので各駅停車。気づけば頼みは山川の一発しかなかった(基本ソロ)。台頭した新戦力も少なく、かろうじて鈴木と平沼が若干の結果を出したか。でもそれくらい。FA流出の可能性を含めて未来像がなかなか見えてこない野手陣だが、どこから手をつけるべきだろうか。問題点を洗い出そう。
【1】外野どんぐりーず
ライオンズ永遠の課題。外崎のセカンド転向と秋山のMLB移籍以降、外野三枠は常に空いている。熾烈な若手による定位置争いも期待されたが、どの選手も抜け出せずにどんぐりの背比べを続けている。そして気づけば若手外野手の数だけが増える一方。守備に定評のある愛斗、巧打成長中の鈴木、強肩強打の川越あたりがややリードしてきたとはいえ非常に物足りない。かつて所沢遊撃隊を一掃させた源田のような圧倒的な存在を松井政権は作り出せるのか。
【2】森・外崎の打撃不振
思わずFA就活下手くそか、と言いたくなるほどふるわない打撃成績を残した両者。森は三塁側ファールゾーンへのポップフライを打つ癖が最後まで治らず、復活を遂げた昨年から打率をかなり落とした。とはいえ代わりの三番打者もいなかったため、山川の前にランナーが溜まらない状況がシーズンを通して続いた。外崎はこれが不振なのか実力なのかはもはや知る由もないが、襷にも帯にも短い成績で今年もまた終了した。コア4がこれではチームの打撃も落ちていくのは必至だ。
【3】出塁能力の低さ
ライオンズ=フルスイング。この方程式に間違いは無いし、この伝統は続けていくべきものだと思う。だが繋ぎに徹する選手もいないと打線は散発に終わってしまう。更に浅村と秋山が抜けて森外崎中村の本塁打が激減している現在、もはや散発ですら無くなってしまっている。だが平沼や鈴木をはじめ繋ぎの意識が見える若手は増えてはいる。アプローチ面の改善をしつつ、球を選べる選手を育成することで打線のバランスは飛躍的に良化するだろう。
【4】機動力の欠如
山賊全盛期は機動力に打線の真の強さがあった。秋山・源田・外崎・金子・木村を中心に塁上を掻き回し、相手バッテリーの配球に影響を与えた。しかし今ではどうだろうか。盗塁数は1位ロッテにダブルスコアをつけられる60個でリーグ最下位。若林・金子の怪我や源田・外崎の疲労で盗塁を仕掛けられる選手がゼロといっていいほどになった。そして勝負所の代走でも呉が使われたりと走力でプレッシャーを与えることはできず。滝澤・長谷川ら俊足の若手に期待だが、盗塁能力が備わっているかは疑問。足のスペシャリスト、獲ってもいいかも。
他にも「山川しか打たない本塁打」とか「小技下手すぎ」とか幾らでも出てきそうだが、まぁ超打低リーグで西武だけの課題じゃなさそうだし割愛。
というわけで様々な課題があるわけだが一旦来季の野手陣を見ていこう。何回でも言うけど誰もFAしないよ、、しないよね?
第一に第二に外野手補強だろう。平均的な選手でもダントツの外野一番手になれる層の薄さが大きな課題である。多くの試合に出場した愛斗・鈴木を含め、高木・若林・西川など殻を破れていない有望株は複数いる。しかし待たれど出てこないうちにコア4がFA期、骨牙が40代となりチーム力は弱体の一途を辿っている。泣かぬなら新調しようホトトギス。ここは一つ圧倒的な打力を持つS級即戦力を獲得し、定位置争いを激化、いや終わらそうではないか。その選手はチーム課題3か4に当てはまる、選球ができるタイプか盗塁のできるタイプであれば尚良い。またローレベルの外野手は仲三河のみとやや迫力不足なため、ロマンあふれる素材型高校生の獲得も同時に狙いたい。
次に狙いたいのは一・三塁の高校生スラッガーか。中村の高齢化、山川の怪我癖やFA取得から世代交代は視野に入れなければならない。しかし渡部とブランドンが空いたポジションを埋める青写真は怪我や不振で現状厳しいものとなっている。だが本来この二人には一軍で頑張ってもらわないといけないわけで、来季はそうであってほしい。ならば二軍でじっくり育成するロマン砲を早いうちに獲得しておき、アーチストの伝統を絶やさないようにするべきではないか。まぁ平沼でもいいけど。
次に捕手。育成欄を見ても分かる通り、二軍にとにかく有望な捕手がいない。柘植・古賀もやや決め手に欠ける印象を持っており、万一森がFAにでもなると一軍も二軍も見ていられない惨状となってしまう。森の去就次第だが残留しそうであれば次世代の高校生捕手を、懸念があるのなら打てる大社捕手(柘植・古賀との差別化のため打撃優先)を獲得したい。
最後に大学生の二遊間。山村・長谷川・滝澤が次世代を引っ張っていく未来は見えやすいが、彼らが大成するまでの間に源田・外崎の後釜となりえる存在は必要になってくるだろう。山田の去就も不安なため実戦向きなタイプが妥当か。なんなら不振の続く外崎からポジション奪っちゃってもええよ。
まとめると
① 即戦力外野手(できれば選球型or機動力)
② 高校生捕手or打撃型大社捕手(森次第で変わる)
③ 素材型高校生外野手
④ 高校生ロマン砲
⑤ 実戦向き二遊間
(⑥ 足のスペシャリスト)
以上がチームの野手課題から考えるライオンズの補強ポイントとなる。
現有戦力の分析と補強ポイントの考察は以上です。
おさらいすると
と言う形になりました。
次回はこれを利用して実際に球団需要にあった指名候補をリストアップしていこうと思っています。乞うご期待、②に続く↓
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