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デジタルによって何もかもが効率化されている一方で、本気で手間をかけているものに人が集まってくる時代

昨年のアドテック東京2017初日最後の基調講演は、ほぼ日の糸井重里さんと、JR九州でななつ星を手がけた唐池さんという異色の組み合わせのセッションでした。
メモを発掘したので、こちらにもシェアしておきます。

「楽しいがすべてを超える」というテーマだったので、一体何を議論するのかなと気になってたのですが、糸井さんがメインテーマとしてあげたのは「メディアを作る」とはどういうことかをあらためて考えるということ。
漫談的な軽妙なトークも交えつつ、いわゆるデジタルマーケ業界を支配しがちな「効率」という価値観に対し真逆の「手間をかける」ことの重要性を強調するという、糸井さんからアドテック参加者への問題提起という印象のあるセッションとなりました。

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テーマ:楽しいがすべてを超える

・ほぼ日 糸井重里
・JR九州 唐池恒二

■今日話したいことは「メディアを作る」ということについて
 メディアって言うと昔からのメディアを前提にして話すが、メディアというのは作るモノでは無いかと思っている。

■生活の楽しみ展(糸井)

・展覧会の形をした町づくり
・雑貨の展覧会をやろうと思ったが、それだけでなく趣味のものや絵の即売など、楽しみと呼ばれるものをみんな集めて実施した
・例えばモンベルの傘を傘の店として出してみるなどお店を編集する感覚
・ここに働くシンボルである軽トラックが飾られるような未来をイメージしている

■ななつ星(唐池)

・ななつ星もメディアではないか
・走り始めて4年になるが最初の年に日本PR大賞をもらった
・旅の始まりはラウンジ「金星」(一番星という趣旨)から始まる
(命名ルールとして全て星をつけている)
・沿道の方が手を振っている
 10万人の人が初日は沿道で応援してくれた
 沿道でななつ星の通過を10数秒みていた人たちの半分が涙するという出来事があった
・3泊4日の九州の旅の中で泣く人が多い
 関わった人達の思いや熱意が「気」となって詰まっているのでは無いか
 その「気」が感動のエネルギーになっているのではないか
・昔からあったローカル線の線路を使って新しい価値を提供している
 しかも出発したところに戻ってくると言う意味で移動はしていない
・湯布院では、こんな生活があったらいいなと思うものを提供している
(ディズニーランド的な非日常を提供しているのではなくて、こんな日常があったらいいな、を提供している)
・ななつ星も同じくこんな日常があったらいいなと思うものを提供している
 走るホテルではなく、走る街ではないか
・14組の顧客がいるが食事の時は同じダイニングカーに集まる。
 これは昔の長屋に近いはず。
・ななつ星は公正な抽選で選ばれている。
 王さんから連絡をいただいたときにも断った。
 その後、ななつ星に乗りたいと政治家や経済人から連絡があっても、王貞治を断っていると聞くと諦めてくれる。
・詳細は下記の本参照


■おいしい生活(糸井)

・ハレとケのケの部分が楽しくなることが大事という趣旨。
   「(よくある)非日常の提供」に対比しての「こんな生活・日常があったらいいな」という毎日あっても嫌じゃない・飽きないもの
・西武百貨店の打ち合わせで、堤さんがご飯を食べさせてくれた。
 その際提供されたのが、普通のご飯に味噌汁とポテトサラダみたいな、普通の料理だった。
・従来は仕事の興奮を重視していたが、ただの人としてどれぐらい素敵だったかとか、普段の生活が楽しくなることの方が大事なのではないかと思った。
・そういうことの方が大事な時代になるのではないかと思って、いろんなことをやってきた。
・例えば井戸を作ること自体もメディアかもしれない。 町内で犬を飼ってそれが話題になればそれもメディアかもしれない。
・メディアはコンテンツを呼び寄せるし、その事実がインターネットによって見えやすくなった。
・ある意味、ネット上にメディアを作るだけというのは、本質ではないのかもしれない。

■思いと時間をかけた掛け算の結果(糸井)
・実はななつ星を作る行為というのは労働集約型。
 デジタルによって何もかもが効率化されている一方で、本気で手をかけている労働集約型のななつ星のようなものに人が集まってくるという点が面白い。
・手編みのセーターのビジネスを手掛けたことがあるが、効率的に作れるようになったセーターをわざわざ手編みで編みたいという人があつまり、それを買いたいという人が集まってくる。
 これはどういうことなのかを、もっと考えるべきかも。

・手間をかけて手作業で手差しをしていた焼き鳥屋が、効率が悪いということで東南アジアからカットされた冷凍肉を輸入するようになった。(おそらく人件費のコストをカットするための判断だったと思われる。)
 でも、もはや家で作れるような料理を外で食べたくなる人はいない。自分では作れない手間のかかった料理を作ってくれるレストランにこそ行くのだと思う。
・ななつ星でも料理を決める際に、手間のかかった料理を出せる料理人を選ぶことにした。味は人によって好みがあるけれど、手間がかかった料理というのは必ず伝わる。顧客は手間に対して料金を払ってくれるのだと思う。
・ほぼ日もコンテンツを作るのに手間をかけている こだわって手間をかけるのと、ブラック企業にならないことのバランスを苦慮しているが、人が真面目に手間をかけることこそを読者は喜んでくれると思っている。
・人類が生まれてからこんなに人類が便利になったのはついこの数百年の話。人間自体はこの数百年でそんなに大きく進化していない。
 実は人間が喜びを感じる原点というのは、もっと人間の根本的なところにあるのではないか。

Q:手間をかけるときのポイントは?
・手間をかける方向を自分の好みに合わせて考える。わたしマーケティング。わたしは、わたしが喜ぶ方向でやります。自分は鉄道が実はあまり好きではないが、そんな自分がどうすれば鉄道の旅を好きになれるかどうかという視点で考えた。(唐池)
・珍しさが無いものはやはりダメではないか 珍しさと手間のかけ方の組み合わせではないか。
手間をかけること自体が珍しくなっているので、なんだろうと思って近づいてもらえる。そして、ああ、と共感してくれる。珍しさと共感が両立したときに感動してもらえるのだと思う。(糸井)


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徳力基彦(tokuriki)

アジャイルメディア・ネットワーク アンバサダー/ブロガー。ピースオブケイク noteプロデューサー/ブロガー。 ビジネスパーソンや企業の、ブログやソーシャルメディア活用の可能性を日々試行錯誤してます。 書籍「顧客視点の企業戦略」や「アルファブロガー」を書かせて頂きました。

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