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【FC徳島】➄「阿波魂」掲げ、サッカーで盛り上げる! 揺るがない地元愛 DF姫田耕大選手

 徳島県吉野川市をホームタウンに、サッカーの地域リーグ・四国リーグで戦う「FC徳島」。今回から選手の横顔を紹介していきます。

 FC徳島のDF姫田耕大選手(26)は「阿波魂」を掲げ、サッカーで大好きな徳島を盛り上げようと奮闘する。徳島市出身で、2023年シーズンに中国リーグの福山シティFC(広島県福山市)から移籍した。人の温かさや住みやすさなど、全てにおいて徳島が日本一だと地元愛は揺るがない。

徳島市の阿波踊りで選手らを掛け声で引っ張る姫田選手(中央)=徳島市の新町橋演舞場

 FC徳島に加入するきっかけは自らの売り込みだった。福山シティFCがFC徳島と練習試合をした際にGMへ声を掛けた。高校時代から知る高畠淳也選手に以前から誘われており、2022年に運営法人として株式会社が設立されたこともあり、このタイミングで徳島を盛り上げたいと考えた。「徳島が大好き。盛り上げるとなると、ずっとやってきたサッカーしかないから」と徳島への思いを語る。

「徳島は全てにおいて日本一」と話す姫田選手=徳島市の徳島新聞社

 2歳上の兄の影響で幼稚園年少の頃からサッカーに触れ、中学で徳島ヴォルティスジュニアユース、高校で同ユースと順調に階段を上がった。しかし、高校卒業を控えて初めての挫折を味わう。徳島ヴォルティスでトップチームに上がれなかった。大学推薦も断っていたところが多く、最後に声をかけてくれた環太平洋大(岡山市)に進んだ。

 大学でもサッカーにきちんと向き合えていない時期があった。1年でトップチームに入ったものの、気持ちが緩み、大きなけがもあって低迷した。3年くらいから、「このままではほんまに終わるな」と本腰を入れ、JFLの高知ユナイテッドSC(高知市)と契約を結べた。しかし、ここでも壁にぶつかる。リーグ戦には1試合も出場できなかった。「その1年でもいろんなことがあったが、自分自身が弱かった」と話す。

天皇杯2回戦のJ1サンフレッチェ広島戦=23年6月、広島県福山市の福山通運ローズスタジアム(提供写真)

 21年に移籍した福山シティFCで、サッカーの根本的な面白さに気づいたという。「サッカーを始めて20年たち、かなり遅いけど、初めて『考えて』サッカーするようになった。それまで感覚頼りのサッカーだった」と振り返る。

 FC徳島では後方からパスを回して一から攻撃を組み立てる。「考えてサッカーをするようになり、試合に出場し続けることに関しては、結果として自分のものになっている」。23年は副キャプテンも務めており、「どんな選手ともコミュニケーションを取るのが好き。選手のはけ口になれたり、若手とベテランの選手をつなげる役目だったり、自分に任せられていることだと感じている」と話す。

練習のようす=吉野川市川島町のヨコタ上桜スポーツグラウンド

 福山シティFC時代にファン、サポーターがとても熱く、地域で応援してくれた。応援してくれることのありがたさや、それが当たり前ではないことも痛感した。FC徳島のサポーターにもずっと「阿波魂」を伝え、23年シーズンは試合の際に徳島県出身選手6人の名前が入った横断幕が掲げられた。「ファン、サポーターには感謝しかない。コールとか、『お疲れさまでした』の激励とか、1つ1つが選手に間違いなく届いている。そこに人数は関係なく、選手のパワーになっている」と繰り返し感謝の気持ちを口にした。

横断幕に記された「阿波魂」の文字と徳島県出身6選手(23年シーズン)の名前=高知市の高知県立春野総合運動公園球技場

 そして、プロになってほしいと応援してくれる家族の思いも大きな原動力だ。「Jリーガーが一番の目標。小さい時からサッカーをやってきて、そこにはたどり着けていない。その思いはブレずに持っている」と語った。(2023年8月取材)


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