見出し画像

【FC徳島】➅サッカー一家で育ちプロ目指す 「こころちゃん」と職場で慕われる好青年 MF南野心選手

 FC徳島でボランチとして攻守の要を担うMF南野心選手(25)。徳島県板野町出身で、大学卒業後に入団して3年目の2023年シーズン、主力として活躍する。サッカー一家に育ち、「純粋にサッカーが好き」とプロを目指して努力を重ねる。職場の美摩病院(吉野川市)では「こころちゃん」と患者や職員から慕われ、優しい笑顔をのぞかせる。

四国リーグ第9節アルヴェリオ高松戦でプレーする南野選手=23年7月、高松市の香川県総合運動公園

 22年シーズンは左膝のけがでサッカーがほとんどできない状態だった。高校2年の冬にも右膝を手術しており、大きなけがをするのは2度目。休んだ1年は選手として痛手となり、将来について悩んだという。しかし、「自分と同じように膝をけがをする選手は多くいる。そういう人たちの奮闘を記事で見て、自分も頑張ろうと思えた」と、辛い時期を乗り越えた。その1年でよりサッカーに対する思いも強くなった。 

 「サッカー選手としてプレーできる時間は限られているので、やっている以上はサッカーを楽しむプレーをしたい」と打ち込む。

楽しそうにボールを蹴る南野選手(右手前)=吉野川市川島町のヨコタ上桜グラウンド

 グラウンドを離れれば、看護補助者として仕事に全力を注ぐ。練習後、スポンサー企業のみまグループ医療法人青鳳会が運営している美摩病院に出勤。主に患者の食事や入浴の介助を担う。美摩病院での勤務も3年目となった。介助の経験は全くなかったが、指導してくれるスタッフが親切に接してくれ、仕事も早く覚えられたという。周囲からは、好青年で真面目な働きぶりが評価されている。

食事の片付けをする=吉野川市鴨島町の美摩病院

 3人きょうだいの末っ子。父親が社会人クラブチームでプレーするなど両親ともサッカー経験があり、姉と兄がサッカーをしていた影響で板野東小1年の時にCSPサッカーアカデミー(徳島市)に入団し、本格的に始めた。板野中時代はプルミエール徳島SC(同)に所属。幼い時は兄について行くだけだったが、プルミエールに入ってレベルが一気に上がり、周りに負けたくないと強く感じてプロ選手を志すようになった。鳴門高では父親がサッカー部のコーチをしており、アドバイスをもらい、スパルタに鍛えられた。

 その後、環太平洋大(岡山市)を経て2020年にFC徳島に入団した。高校の先輩で、大学在学中に練習を通して面識があった石川雅博選手や前監督からの誘いが決め手になった。「せっかくなら地元でプレーしたいという思いもあった。やっぱり徳島の人は温かいので、サッカーを頑張っていたら、友だちや職場の人も応援してくれる。そういう人たちに対して、プレーで感謝を伝えていきたい」と強調する。

「楽しむプレーがしたい」と話す=吉野川市鴨島町の美摩病院

 プロサッカー選手である姉の亜里沙さんの活躍も励みになっている。現在は女子プロサッカーリーグのノジマステラ神奈川相模原に所属しており、映像配信サービスのDAZN(ダゾーン)で試合を見たり、会場が近い場合は観戦に行ったりしている。「姉の頑張っている姿を見て自分も頑張ろうという刺激になる」とJリーガーへの思いも一層大きくなる。

練習のようす=吉野川市川島町のヨコタ上桜グラウンド

 ボールを追いかけ続けて20年。サッカーが好きな理由を聞くと、「大きなけがをしたり、練習が大変だったりと、嫌になることの方が多かった」と振り返りつつ、「でも、一人ではできないし、仲間と喜び、苦しい時も共に過ごすチームスポーツだから」と魅力を語った。(2023年9月取材)


徳島新聞デジタル版でFC徳島の活動や選手を特集しています