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邦楽を聴かない男による邦楽名盤10選

私は邦楽を聴かない。無論嫌いな訳では全くなく、そう言えばここ何年もまともに聴いてないなとふと気付いたため筆を執った次第だ。10代20代の頃は比較的邦楽も洋楽もバランス良く聴いていた様な気がするが、いつしか洋楽しか聴かなくなってしまった。
何故日本人の癖に外国の音楽ばかりを好むのだろう。酒もそうだ。バーボンやラムなどの洋酒ばかりを好む傾向が私にはあったのだが、今年から急に日本酒を呑む様になった。もしかしたら音楽もそろそろ国産を好む時期が来るのかも知れない。
本稿に於いては私がこれまでに好んできた邦楽名盤10選をご紹介申し上げたい。と言うよりは自分が何が好きだったのかを整理するメモ書きの様なものである。お付き合いいただけたら幸甚である。


10位:penpals「RIGHT NOW」

双子の上条兄弟とベースヴォーカルの林によるロックバンドの3rdアルバム。90年代後半から00年代に渡って活躍したミュージシャンである。疾走感のあるパンキッシュでPOPな楽曲群は、今聴けば随分とチープに感じられそうな気もするが、それも含めて好ましい、私の青春の背景に流れていたアルバムである。

9位:小林大吾「小数点花手鑑」

詩人によるポエトリーリーディングアルバム。ラップではなく詩の朗読である。ブラックミュージックへの造詣の深い氏ならではのトラックセンス、小気味良いリーディング、見事な表現力とユーモアの冴え渡る詩世界。他には無いオリジナリティの高い作品だ。


8位:椎名林檎「勝訴ストリップ」

この手のランキングでは「無罪モラトリアム」や東京事変の「教育」の方が常連の様に思えるが、実際に多く聴いた為、こちらを選んだ。椎名女史の名曲は数知れないが、私にとっては当アルバム収録の「月に負け犬」こそが彼女の最高傑作である。


7位:hydeout productions「first collection」

このアルバムを邦楽と呼んで許されるものかわからないが、nujabesが日本人である以上はここに選ばせていただく。Lo-Fi hiphopの始祖とも言えるこの男が世界へ与えた影響は計り知れないだろう。彼の追悼ライブでみたfive deezのパフォーマンスを今もよく覚えている。全く惜しい男を亡くしたものだ。

6位:TK from 凛として時雨「film a moment」

今も人気のロックバンドからソロでリリースされた作品。3曲と映像と写真集と言う意味不明なパッケージングも当時話題となった。スコットランドなどで撮影された旅情豊かな映像や写真は、彼をカメラマンとして広告起用したくなる程の品質で、そうした点にも衝撃を受けた。そして表題曲があまりにも素晴らしい。


5位:dragon ash「viva la revolution」

1999年に一世を風靡したと言って良い名盤。バンドの従前の音楽性とhiphopが上手く融和したアルバムである。既に他界したベーシストの馬場のパフォーマンスも圧巻であった。フロントマンのkjを筆頭に、実に器用なバンドである。

4位:andymori「ファンファーレと熱狂」

和製リバティーンズとも称されるスリーピースバンドの最高傑作。代表曲「1984」をはじめ「CITY LIGHTS」や「グロリアス軽トラ」など名曲が目白押しだ。ギターヴォーカルの小山田壮平は日本でも最も過小評価されている天才だと私は思う。

3位:降神「望〜月を亡くした王様〜」

早稲田大学ソウルミュージック研究会出身のラッパーの志人となのるなものないの2人によるユニット。hiphopと呼んでいいのかすらもわからない奇異なアーティストである。日本と言う国にhiphopと言う文化が根付いて久しいが、この2人に似ているラッパーは1人も知らないし、今後も現れないだろうと思う。ONTODAのアートワークも、onimasのトラックも天才的である。


2位:THE MAD CAPSULE MARKETS「OSC-DIS」

日本が世界に誇るデジタルハードコアバンドによる名盤of名盤。激しく、そして歪みに歪み、叫び倒しているに関わらず、キャッチーで心に残る独自のサウンドは邦楽が辿り着いた一つの金字塔と言える。BABYMETAL以前では恐らく初めて、世界をロックしたバンドと言えるだろう。


1位:NUMBER GIRL「サッポロOMOIDE IN MY HEAD状態」

1位にライブアルバムを選ぶのもどうかと思うが、当バンドはスタジオアルバムよりもライブアルバムの方が明らかに質が高いのだから如何しようもない。デビューからの名曲の数々を披露し、最後に「IGGY POP FUN CLUB」で締めるセットリストは完璧と言う他ない。向井の最後の口上は実に鳥肌ものである。


以上が邦楽を聴かない男による邦楽名盤10選である。

ルールとして「アーティスト被り無し」「今も聞きたいと思える」に基づいて選定した。所謂JPOPを選んでいないのは、シングルは聴いてもアルバムは聴いていないからである。(恐らく小遣いで買えなかった年齢の頃に聴いていたのだと思う。)JPOPアーティストで言うとSOPHIAと言うミュージシャンが特に好きな子どもであった。

振り返って眺めるとなんとも無秩序なセレクトである。
最後までお付き合いくださった方には礼を言いたい。

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