見出し画像

"間"を埋める(マチノマ大森の配信を終えて)

 初対面の人や世代が全く違う上司との会話の間を埋めることに困った経験がある方は多いのではないだろうか。と始めてみたが、コミュニケーションスキルの話をするのではない。マチの"間"の話である。今回取り上げたマチノマ大森は、2つの意味でマチの"間"を埋めたのだと思う。

 1つ目は、物理的な間である。マチノマ大森は、JR蒲田駅と同じく大森駅の丁度中間地点に位置している。京急線の大森町駅も加えれば、二等辺三角形のど真ん中、ということになる。この辺りに行ってみると、ごく一般的な住宅街が広がっており、とても都心部とは思えない斉一な印象を覚えるだろう。バスでご高齢の方が病院に通っていたり、学生が徒歩で登下校していたりと、ごくごく普通の日常が流れていた。

 蒲田や大森へ行けば恐らく何でも揃うことだろう。しかし、前述のような光景を見ると必ずしも毎日の生活導線に、それらターミナル駅があるわけではないように思える。私だってもしあの辺りに住んでいたら、日常的な買い物場所に蒲田大森は選ばないと思う。つまり、ちょうどいい場所にちょうどいい規模の商業施設ができたのである。言葉としてはチープかもしれないが、地域住民としてはそんな意見を持っているのではないだろうか。

 2つ目は、住民の心の"間"である。1つ目がハードの間であれば、こちらはソフトの間、とでも言えるだろうか。繰り返しになるが、マチノマ大森はとても便利な場所に位置している。買い物や移動手段に困ることはまずないだろう。しかし、便利な大都市だからこそ、ゆっくり腰を落ち着けて、家族や友人と話したり過ごしたりすることができる場所は、身近にあまりなかったのではないだろうか。ここに入るとちょっと落ち着く。マチノマはそんな場所になっている。

 確かにグランデュオやアトレに比べれば、見劣りするかもしれない。ただ、その名前の通りマチノマ大森は見事に、マチの"間"を埋めてくれた。都内で多くのハコやマチが開発されているがそれは文字通り、マチを開く開発となっている。そんな中、間を埋める開発は珍しい。ハコ自体は決して大きくないが、ディベロッパーや我々に対しても誠に大きな課題を投げかけてくれた。                             (T.Y)

--------------------------------------------------------------------------------
まだ配信を聞いていない方はこちら
Apple Podcast
https://cutt.ly/DlQ5jGT

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?