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38話:その横顔を見つめてしまう〜A Profile 完全版〜/さくっと重い叙述トリック

 2020年にプレイ済みで放っておいた「その横顔を見つめてしまう」を再プレイしました。8時間程度で、サクッと読めるのも良いです。

 作品は、あかべぇそふとつぅでシナリオがるーすぼーいさん担当です。るーすさんといえば、「車輪の国、向日葵の少女」(私がいちばん好きなるーすぼーいさんの作品)や「G線上の魔王」などで名前がばっと売れたシナリオライターさん。それらの作品を出す前に同人作品(AKABEiSOFT×mixed up)として2005年に公開。翌年、あかべぇそふとつぅでリメイクしてリリースされたそうです。Wikipediaより!

 では感想メモです。

特徴1:主人公の性格が独特

 信頼している人は絶対信じるマン。自分の見たもの本人に聞いたことを信じるぜ系の真っ直ぐ主人公。「まぶしい」とヒロインにも言われるくらいのかたくなさ。

 それはこの物語にはとても重要な役割になるのですが、美桜のルートではイライラやきもきさせられます。

特徴2:ヒロインがヤバい


 読む順番は莉寿→未来→美桜。リメイク後の追加シナリオが美桜の話だそうで、この順番で読まないと普通にルート内でネタバレが起こります。

 ヒロインがヤバい。どれくらいヤバいかというと、「ユメミルクスリ」を思い出しました。

 ヤバさのベクトルはまったく違うけど、一般的な「かわいいだけのヒロイン」って感じじゃないのが、昔の美少女ゲっぽくてハオ。価値観がぶっ飛んでいるのが新鮮でした。詳細についてはおいおいメモっていきます。

 ストーリーで好きなのは莉寿>美桜=未来かなあ…。莉寿のストーリーの二転三転が楽しかった。あとかわいい。

莉寿ルート

あとかわいい

 莉寿のルートでは未来が空気なんだけど、莉寿も美桜もいろいろと暗い過 去があっておもしろかった〜〜〜。

 莉寿は義理の妹ちゃん。お兄ちゃん大好き大好きな感じが超かわいいんだけど、過去編の紡ぎ方がとても引き込まれました。

 二人の関係には他人が知らないたくさんの努力があって、当たり前はまったく当たり前じゃないんだっていう背景がよかったです。

 以下かこみがネタバレ

 莉寿が主人公と暮らすようになったころ、チンピラだった乱暴な彼を怖がっていました。主人公を兄と認められなくて、怖くて、あるひ包丁でぶすっと刺してしまいます。

 主人公は刺されても莉寿の将来を考えて彼女をかばい、性格や行動も丸くなり、静かにゆっくりと年月をたっぷりかけてお互いの関係を深めてからの現在、学園編に続きます。

 兄を刺した事件を学園でバラされたとき、彼女の心のトラウマが開く描写があったんだけど――騙された。莉寿が夜に泣き叫んで眠れない理由はコレだと思わせるミスリードが最高。そういうところなんだよありがとうございます。

ネタバレだよ!

 莉寿ルートでは、ネタバレで書いたこと以外にも、るーすぼーいさんらしい大きなどんでん返しがあります。

 一発目のルートでこれが来たので、やったーって大興奮。ちょっとした違和感も、伏線だったりするので大変読みごたえがありました。


未来ルート

ツン系お嬢様

 未来は、解離性同一性障害のお嬢様。白お嬢様と黒お嬢様が同居していて、主人公は白お嬢様である未来のもうひとりの人格、夏恋とお付き合いします。

 すごいなと思ったのが、夏恋は好きだけど未来は顔も見たくないくらい嫌い!という設定。どうやって付き合っていくんだろうとドキドキでした。わたしなら別れるわ。

 どんでん返しもひとつあり、たどり着いた答えがめちゃくちゃ可愛かったです……。

 二人の共通の話題は1500mの中距離走で活躍していたこと。どうしても前みたいに走ってほしい黒お嬢様。肺に怪我をして長い間休んだブランクで、走りたくない主人公。黒お嬢様は、主人公に嫌なことをさせるためにうるせえから険悪になりました。

 車輪の国のサチルートみたいな「あなたはそうした方が幸せなんだよ」という話かなと思ったけどそうじゃなくて、当時主人公に憧れて恋をした未来のわがままなのだけど、この話は結果これでよかったです。ラスト泣いた!


美桜ルート

普通…?

 これが追加シナリオだなんて誰が思うだろうか……。

 というくらいのメインストーリー。だけどやっぱり莉寿ルートでだいたいの真実が語られて、それを分かった上で読んでいくから、今でいうグランドルートみたいな立ち位置かな?

 ヒロイン、学園では普通すぎるキャラなんだけど、ラブコメに出てきてはいけないくらいぶっ飛んでいて心配でした。

 なのに! ここで主人公の性格でイライラさせられます。

 主人公はかたくなに美桜を信じようとします。親友の快音かいねくんが「現実を見ろ! 向き合え!」と何度も忠告するしぶちキレるけど、主人公は「でも美桜がそういうから」っていう選択をとり続けました。

 だけどこれがシナリオのラストで報われるので「そういう作りね、なるほどー」というのはわかるんだけど、なんだろう。ちょっとモヤモヤとはしたかなあ。ヤベえ! こういう面倒なことから逃げる人間は現実でもいるな!? って思いながらずっと読んでたからかな……。

 あと、あかべぇそふとつぅの手法なんだけど、シリアスシーンの1枚絵に追加でサイドからにゅっと絵が差し込まれる演出があって、それがえっちシーンで来たのは爆笑しました。好き。



 そんなわけで読み終わってから思うのは、莉寿ルートがいちばん興奮したなあという感じでした。他の感想ブログ読んでると美桜がよかったって書いてるので、最後まで読んでクレメンスと思います。

特徴3:名言が多い

 今回も名言金言が多かった! だから読んでよかったなっていうのは大きいな。一部だけ貼っとく貼っとく。

新しいお母さん(極道系ママ)
強い


その横顔を見つめてしまう〜A Profile 完全版〜で学べたこと


「信念を曲げないまぶしさ。自分と他人を信じること」ってところかな! 違ったらごめんなさい!

 このゲーム、何がよかったかって言ったらどんでん返しいっぱい読めるってところなんだけど、主人公やヒロインの思考が独特だったので、その辺も今の感じではあんまり見ないかなと思いました。

  そしていにしえの作品によくある、顔面いっぱいにヒロインのキス顔もよかったです。楽しんでください。


多分また読みたくなると思っている東京ニート的評価「その横顔を見つめてしまう〜A Profile 完全版〜」A


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