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都営住宅の建替えによる創出用地を活用した東大和市東京街道団地地区まちづくりプロジェクト

Ⅰ 都営住宅建替事業

 住宅政策本部では、東京都住宅マスタープランに基づき、「豊かな住生活の実現と持続」という基本方針の下、住宅政策に係る幅広い施策を展開しています。東京都全体で約 26 万戸ある都営住宅等については、良質なストックとして維持・更新を図っており、老朽化した都営住宅の計画的な建替えを進め、創出した用地を地域特性に応じたまちづくりなどに活用しています。

都営住宅建替事業

Ⅱ 都営住宅の建替えによる創出用地を活用した民間活用事業

 これまで都は、都営住宅の建替えに伴う創出用地を活用し、民間の創意工夫を生かして、地域特性に応じたまちづくりを推進してきました。
   さらに、身近な地域で誰もが快適に暮らせるまちづくりを進めるため、商業、医療、福祉等の生活支援機能が整った生活の中心地の形成を図る事業を進めており、令和3年4月に第1弾となる八王子市長房地区の複合施設が開業しました。現在、東大和市東京街道団地地区の事業が進行中であり、また、北区桐ケ丘一丁目地区では事業者募集要項等を公表したところです。これらプロジェクトは、事業者と事業用定期借地権設定契約を締結し、事業者が30年間運営するものです。
 今回は、創出用地を活用した東大和市東京街道団地地区まちづくりプロジェクトを紹介いたします。

生活の中心地の形成を図る民間活用事業

Ⅲ 東大和市東京街道団地地区まちづくりプロジェクトの経緯

① 都営東京街道団地と本地区の都市計画変更について

 都営東京街道団地は、東大和市の東大和市駅から約1.4kmの位置にある、平成11年より建替事業を行っている約2,100戸の大規模団地です。
 平成27年3月に改定した東大和市都市計画マスタープランにおいて、本団地では公共公益施設や生活支援機能等を誘導するとされており、東京街道団地において創出した約1.3ha(北敷地:約0.68ha、南敷地:約0.61ha)の用地を活用し、誰もが暮らしやすい「生活の中心地」を形成するため、東大和市等と協議を進めました。
 この団地は、用途地域において主に「第一種中高層住居専用地域」に指定され、商業施設等の立地が制限される土地でしたが、創出用地の部分については、平成29年に商業施設等が3,000㎡まで立地可能となる「第一種住居地域」に変更されるとともに、地区の課題や特徴を踏まえ、地区の目指すべき将来像を設定するべく地区計画(東京街道団地地区地区計画)が決定されました。

事業用地案内図
事業用地配置図
用途地域変更図

② 事業の経過について

 都市計画が変更された後、都は「事業実施方針」を令和2年11月に、事業の詳細な募集条件等を示す「事業者募集要項等」を令和3年3月に公表し、事業者の公募を開始しました。
 令和3年8月に6グループからの提案を受け付け、5名の学識経験者による「東大和市東京街道団地地区まちづくりプロジェクト審査委員会」の審査を経て、株式会社HONJOを代表企業とするグループ「チーム・東大和リビングテラス」を事業者として決定しました。
 令和5年5月には事業用定期借地権設定契約を締結し、複合施設の建設工事が始まりました。令和6年2月に、南敷地のスーパーマーケットが先行開業しており、北敷地も開業に向けて準備が進められています。

スーパーマーケットへのアプローチ
スーパーマーケット内部
スーパーマーケット内のイートインコーナー

Ⅳ 東大和市東京街道団地地区まちづくりプロジェクト 複合施設の概要

 本事業では、商業施設、医療・福祉施設、交流スペース及び緑とオープンスペースの機能を備えた複合施設の整備を要件付けており、「チーム・東大和リビングテラス」の提案により、北側に整備予定の市立公園との調和や緑の連続性に配慮した回遊性のある動線計画となっています。

1階平面・敷地配置図

〇商業施設
 スーパーマーケット、ドラッグストア、100円ショップ等生活に必要なものが揃う、利便性の高い複合商業施設が整備されます。
〇医療・福祉施設
 クリニック、在宅療養対応診療所、訪問介護施設とともに、健康増進施設としてのフィットネスジムも整備される予定です。
〇交流スペース
 多世代に開かれた地域交流の拠点として交流施設「みんなの部屋」を設けており、オープンスペース等と一体としても利用できる計画となっています。
〇緑とオープンスペース
 公園と連携した「芝生スペース」「菜園」が設けられ、地上レベルと屋上レベルの二層の交流スペースにより、地域の居場所が創出される予定です。

交流スペース(地上部)
交流スペース(屋上部)

Ⅶ 最後に

 今後も、民間の力を活用し、地域のニーズに応じた福祉や医療サービス、日常の買い物などの生活支援機能を誘導し、身近な地域で誰もが快適に暮らせるまちづくりを推進していきます。

                   (住宅政策本部 都営住宅経営部)