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都営浅草線・東銀座駅リニューアル計画

 浅草線は、昭和35年12月に"日本初の地下鉄と郊外私鉄との相互直通運転の実施"という画期的な姿で誕生し、2020年には開業60周年を迎えました。交通局では、これを機に古き良き伝統を守りつつも現代的な地下鉄に生まれ変わるため、浅草線のリニューアル・プロジェクトを推進しています。
 本プロジェクトでは、羽田・成田両空港を結び、浅草や銀座といった東京を代表する観光地をつなぐ路線の特性を最大限に活かし、"Tokyoと世界を結ぶ地下鉄"というトータルコンセプトに基づき、車両更新、ホームドア整備、駅改装及び駅の大規模改良の4つの取組を進めています。
 この4つの取組のうち、ここでは、駅改装の第一弾「東銀座駅のリニューアル計画」について紹介します。

リニューアル・プロジェクトにおける駅改装の目的


(1)デザイン一新による駅構内の魅力向上

 当局では、平成30年度に浅草線デザインガイドラインを策定し、駅改装における空間デザインの基本的な考え方を次のとおり規定しています。デザインの一新により、旅客の快適性向上を図り、地元から愛される駅となるような個性を演出することで、魅力の向上を目指します。

①ホスピタリティ(Hospitality) ~ 快適に利用できる駅
 バリアフリー化やユニバーサルデザイン化を進めるなど全ての人が安心して利用できるデザインを採用、分かりやすいサイン・案内の設置、地下のイメージを払拭する明るい場を演出することでお客様が快適に利用できるデザインとします。
②サスティナビリティ(Sustainability) ~ 次世代に引継げる駅
 今後も長くお客様が利用する路線であることから、まちの将来像との調和を踏まえたデザインとするとともに、維持管理やメンテナンス性にも配慮します。
③アイデンティティ(Identity) ~ 浅草線らしい駅
 路線共通のデザインを設けることで浅草線全体の統一感を演出し、ブランディングを行うとともに、地域特性を踏まえた各駅個別のデザインを設定することで駅の個性を演出し、お客様に選ばれる路線となれるよう目指していきます。

(2)仕上げ撤去による土木躯体や設備配管等の点検及び補修
 仕上げ材の撤去により、軌道対向壁部も含め、建設から60年以上経過した土木躯体の直接目視による点検が可能となるとともに、天井裏や壁裏の設備配管・配線の状況確認が可能となります。改修と合わせてこれらを補修することにより、駅の長寿命化に寄与することができます。また、汚れにくく傷がつきにくい仕上げ材の採用や将来の改修が容易となるような納まりとすることで、耐久性及びメンテナンス性の向上を図っていきます。

(3)更新工事等に係る業務の効率化及び経費削減
 空調改修や耐震補強などの大規模に仕上げ撤去を伴う工事に合わせて駅改装を行うことで効率的にデザインの一新が可能となります。また、駅改装の実施計画に合わせて様々な小規模改修・更新等を行うことで、発注業務の効率化や工事における諸経費の削減を目指していきます。

図ー1 駅改装の目的のイメージ

浅草線東銀座駅リニューアル計画

(1)東銀座駅の概要
 浅草線銀座駅は、西馬込起点11K858M119、中央区銀座四丁目の三原橋交差点に位置し、1963(昭和38)年に営団地下鉄(東京メトロ)日比谷線東銀座駅と同時に開業しました。延べ面積は約4,022㎡、ホーム長は約160mであり、都道昭和通りのアンダーパスを挟んだ二面二線の相対式ホームの構造を有し、両ホームの行き来は、改札外の地下連絡通路で結んでいることが特徴的です。

図-2 構内図と地下空間の周辺状況

(2)工事概要
 お客様の目に触れる箇所として、改札内外コンコース、ホーム等の床・壁・柱・天井・建具、対向壁の仕上げ改修を行います。
 デザインについては、協議型のまちづくりを目指す地元組織である銀座デザイン協議会と協議を重ねながら、木目調を用いるなど路線の統一感を演出した上で、明治時代におけるかつての煉瓦街や歌舞伎、現代の銀座のショーウィンドウといった地域の特色を踏まえたデザインとし、街並みにあわせた駅空間を形成しています。
 また、浅草線デザインガイドラインにおいて路線共通デザインとした木目調の改札ゲートを設けることに加え、押上方面の改札が東京メトロ銀座駅への地下通路へ、西馬込方面の改札口が歌舞伎座へと接続していることから、両改札周りを異なるデザインとすることで、旅客の乗り間違え等の防止を図るとともに、それぞれに続く地下空間をシームレスにつなぐ計画としています。
 その他、浸水対策や駅出入口上屋の建て替えなど、駅改装と同時に実施することが効率的である他の工事ついても併せて実施します。

図-3 街並みに合わせた東銀座駅の改装イメージ

おわりに

 工事は令和4年度末に契約し、現在、工事着手に向けて施工方法の検討や各種手続きを行っている段階です。営業線の地下鉄駅構内で工事をするには、終車から始発までの限られた時間で準備から清掃・後片付けまでを済ませる必要があるため、完了まではしばらく時間を要しますが、駅改装により東銀座駅の魅力が向上し、地元のみならず、広く都民に愛される駅になることを期待しています。