見出し画像

訪問介護ヘルパーの有効求人倍率、過去最高の15.53倍

東京のカフェで朝活!

本日は、スターバックスコーヒー豊島園駅前店で朝活-NEWSシェア会を実施しました!

介護業界にいる私は、ついつい介護ニュースばかり見てしまいます。
しかし、介護業界は奥深く、勉強するたびに新たな発見があります。

訪問介護ヘルパーの有効求人倍率、過去最高15.53倍

今回気になった記事は、訪問介護ヘルパーの人材難についてです。

有効求人倍率、なんと15.53倍。

これは求職者1名に対し、15社以上が「うちに来てくれ!」と叫んでいる状態です。

ちなみに施設系の介護職の有効求人倍率が3.79倍。

3.79倍も高い数字ですが、どうやら「訪問介護」特有の事情があるようです。

どうして、ここまで人手不足に拍車がかかったのでしょうか?

訪問介護は事業所数No1

そもそもとして、訪問介護事業所っていくつあるのか?

これは厚生労働省の資料「施設・事業所の状況」を読むと分かりますが、令和3年10月1日時点で35,612事業所あります。

多いか少ないか、ピンとこないと思いますが、これは介護施設(事業所)の中でもぶっちぎりのNo1です。

なぜ、こんなに多いのでしょうか?

サービス付き高齢者向け住宅の併設

ひとつは近年、増加傾向にあるサービス付き高齢者向け住宅の併設です。

通称「サ高住」と呼ばれますが、サ高住はバリアフリーが完備され、生活相談や安否確認が受けられます。

また、必要に応じて外部のサービスを受ける事ができます。

この外部サービス需要を狙って訪問介護事業所を立ち上げるというケースが増加要因のひとつでしょう。

事業所立ち上げのハードルが低い

もう一つの理由としては、介護事業所の中でも比較的立ち上げハードルが低い事が挙げられます。

例えば、有料老人ホームを立ち上げようとなると、かなりの初期費用が掛かります。

しかし、訪問介護事業所は初期費用が非常に小さく、事務所と簡単な什器、人が数人いれば始められます。

介護ビジネスは儲かると夢を見て、少ない元手で始めようとする人が多いのではないでしょうか。

実際、私の周りも「高齢者社会だから介護業界って儲かるよね」ぐらいの認識です。


つまるところ、事業所数が多すぎる為、人手が不足しているという単純な理屈です。

働き手の属性と就業条件のミスマッチ

施設サービスやデイサービスは無資格でも就業可能ですが、訪問介護ヘルパーは、130時間の研修時間を要する初任者研修の修了が条件となります。

お金も時間もかかりますので、基本的には「介護職として頑張るぞ」という熱意がある人が訪問介護ヘルパーになる訳です。

しかし、訪問介護ヘルパーはフルタイムで働くというより空いた時間に勤務するといったパートタイム&シフト勤務の就業が多いです。

お客様がすぐそこにいてケアをする、ケアが無ければ何か雑務をするといったことが可能な施設系・通所系のヘルパーと違い、訪問介護は決められた日時に高齢者のお宅へいって介護をする形態なので、募集もパートタイム&シフト勤務が増えるんですね。

隙間時間に働きたいという方もいるとは思いますが、1~3か月という貴重な時間を費やして介護職を希望されていますので、フルタイムでガッツリ働きたい方も多いでしょう。

他にも訪問先へ1人で行くのでヘルプしてもらえない、休みの調整が大変などあると思いますが、総じて働き手の属性と就業条件がマッチしていないのです。

「訪問」と「通い」の新たな複合型サービス

そんな状況を厚生労働省としても遺憾に思ったのでしょうか。

2024年の介護報酬・基準改定で「訪問」と「通い」の複合型サービスの創設が予定されています。

詳細はまだ出ていませんが、現存する問題に対処する目的で作られたのなら、報酬は「出来高」ではなく「月額制」?

そうすればフルタイム募集も増えますし、慣れないうちは施設で働き、経験を積んだら慣れたお客様のお宅へ訪問するといった事も可能です。

期待が膨らみます。

しかし、実は既に「通い」+「訪問」+「泊り」がセットになった「小規模多機能型居宅介護」という複合型サービスが世にあります。今回はこれに「泊り」が無くなったサービスとなる訳ですが、それならば何故「訪問」は「小規模多機能型居宅介護」へ移行しないのでしょうか?

小規模多機能型居宅介護が増えない理由

「通い」+「訪問」+「泊り」がセットになった小規模多機能型居宅介護。

月額制で必要に応じてサービスが受けられるこのサービスは、パッと見、割と便利なように感じます。

しかも介護保険適用なので月額費用は3,000~28,000円(介護度による)とお安いです。

しかし、2006年に創立されてから2023年 現在に至るまで5,500事業所しか増えていません。

管理が大変とか色々理由はありそうですが、率直にいってビジネスにならないと判断された可能性が高いです。

小規模多機能型居宅介護は『小規模』と名前がつくだけあってお客様の定員が29名と制限されています。

また、同一市町村内でないと利用できないという制限もあります。

同一市町村は置いといて、29名定員の施設と考えれば条件は同じなんですが、このサービスを利用する人達はおそらく介護度が低い方達が多いと思います。メインターゲットは支援1~要介護2ぐらいじゃないでしょうか。

介護保険制度は介護度によって報酬が定められています。

29名全員が要介護5であれば786万/月の売上になりますが、要支援1の場合、99万/月になります。

集客がし辛く、集客できたとしても介護度が低いお客様が多くなる可能性が高い。

これは大分辛いんじゃないかと思います。

こうなると、「訪問」+「通い」の複合型サービスはどうなるのか?

不安が募ります。

有意義な時間になりました。
ありがとうございます。

サポート頂きました場合、朝活の運営費にさせて頂きます。