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ブラオケ的吹奏楽名曲名盤紹介~吹奏楽の散歩道〜 #13「J.バーンズの世界①」

今回はちょっと原点に帰って、吹奏楽で有名な作曲家にスポット当てて、いくつかお気に入りの曲について語ってみようと思う。


今回ご紹介するのはタイトルにもある通りJ.バーンズ。
Wikipediaによると、J.バーンズとはこんな人物。

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ジェイムズ・チャールズ・バーンズ(James Charles Barnes,1949年9月9日- )は、アメリカ合衆国の作曲家・指揮者であり、専攻楽器はチューバ。

カンザス大学で作曲を学び、同校で2015年春まで40年にわたって教鞭をとっていた。現在は、同校の名誉教授である。

米国作曲家作詞家出版者協会(ASCAP)や、アメリカ吹奏楽指導者協会(American Bandmasters Association)、2016年からは日本吹奏楽指導者協会の名誉会員でもある。その他 多くの専門的な組織のメンバーである。

バーンズは、親日家・知日家としても知られ、これまでに数多くの日本の吹奏楽団からの委嘱作品を発表している。

――――――――――――――――――Wikipediaより抜粋―――


過去、P.スパーク、J.ヴァン=デル=ローストとそれぞれの作曲家の曲、魅力についてご紹介してきたが、いずれも後世に残る作曲家と考えているが、恐らく今回ご紹介するJ.バーンズも同様に、作品が演奏される機会が多く、後世に渡って演奏され続ける作曲家になるであろう。

バーンズの代表作といえばこれ。この曲はやはり避けては通れないだろう。

アルヴァマー序曲(Alvamar Overture)

もはや説明するまでもない名曲。親しみやすいメロディーと、中間部の美しさ、再現部からコーダにかけての木管の連譜地獄、トロンボーンの修行とも言えるあのリズム。。

酒井 格の代表作「たなばた」にもこのアルヴァマーのテーマが使われ、最近ではポケモンのCMに、大阪桐蔭高校の演奏でBGMに採用されたのも大きな話題となった。

日本で最初の音源が「吹奏楽コンクール自由曲集’82」というLPに収録された、東京佼成ウインドオーケストラによる演奏。この音源が日本全国に広まったが、実は本来バーンズが想定したテンポよりも相当速く、バーンズが来日した際に音源に沿った超スピードの演奏を聴き、「速すぎる!」と驚いたというのは有名な話。

曲名の由来も面白く、「アルヴァ」さんと「マリー」さんが経営する、バーンズ行きつけのゴルフ場の名前からとったものだが、決してゴルフ場をイメージした曲ではないので勘違いのないようにしたい。(実際そういうイメージをした人が身近にいたのだ!)


「吹奏楽コンクール自由曲集’82」の音源

■比較的バーンズの想定テンポに近い音源

演奏しているのは同じ東京佼成ウインドオーケストラ(演奏年代も数年と変わらないはず)なのに、指揮者の解釈だけでこれだけテンポが違うのだ・・・!


小中高と吹奏楽をやったことのある人は、例えばスウェアリンジェンの曲に代表されるような、急―緩―急の構成、いわゆる“ソナタ形式”で、難易度が比較的優しい曲というものをご経験であろう(恐らく避けては通れない。。)。アルヴァマーもその一つとしてヒットし、今でも人気が高い曲であるが、バーンズもアルヴァマーをはじめとして、そのような曲をいくつか作曲している。


次のご紹介するのはそんな“ソナタ形式”―私は勝手に“序曲モノ”と呼んでいるが―の曲から、個人的にバーンズらしさがよく出てるなと思う曲を。

イーグルクレスト序曲(Eaglecrest An Overture for Symphonic Band)

 バーンズの序曲ものといえば、先ほどのアルヴァマーは別格としても、比較的アルヴァマーと構成や雰囲気が似ている「アパラチアン序曲」、ちょっと難易度を上げて派手に鳴りまくる「交響的序曲」が有名でよく演奏されるが、このイーグルクレストも非常にいい曲だ。

金管の短い主題のファンファーレに始まり、主題提示の後は木管のアルペジオが煌びやかに鳴る中主題のリズムを金管楽器で追いかけっこ。イントロが終わるとTbを中心とした主題のメロディーがめちゃめちゃかっこいい。

この主題のメロディーがさらに倍の長さになってこれがまた綺麗に鳴る部分。再び主題に戻ると中間部へ。この中間部へ入る直前の低音の響きなんかもうバーンズサウンドそのもの。

中間部はOb SoloからA.Sax Soloへ。この辺もバーンズお得意の展開。メロディの美しさはもちろんのこと、この豪華絢爛な響きはバーンズの真骨頂なのではないだろうか。

再現部もちょっと響きを足して、派手に鳴るが、再現部からは特に展開もなく、比較的ストレートにあっさり終わる感じ。


なるほど、こうして書いてみると、全体的な音楽構成がシンプルで他と同じように聞こえるのと、他と比べて特に再現部からのクライマックス感があまりないのと、その割に木管がめちゃくちゃ忙しかったり、難易度もちょっと高い割に演奏効果が望めないからあまり選ばれないのか。。?

簡単にいうと、アルヴァマーと交響的序曲を足して2で割って、クライマックス部-1した感じに聞こえてしまうのだろうか。。


などと、「なかなか演奏されない理由」を考えてもしょうがない。

少なくとも私は演奏会のオープニングにはもってこいの曲だと思うし、何より、バーンズサウンドをしっかり楽しめる、隠れた名曲であると思うし、もっと演奏されてもいいと思っている。


■東京佼成ウインドオーケストラの初音源。結局これが一番安定している。

 というか、これくらいしかプロオケの音源がない。。なかなか取り上げられないんだよなぁ・・。


お次は、これもまたよく演奏される名曲。“序曲”の次は“間奏曲”。

詩的間奏曲(Poetic Intermezzo)

間奏曲とある通り、全編緩やかなテンポの美しくも情熱的な曲で、プログラムの箸休め的な感じで、J.ヴァン=デル=ローストの「カンタベリー・コラール」と共に、中プロによく採用される定番曲の一つ。

イントロ後のメインテーマ、ちょっとノスタルジックなメロディのHr Soloがまあ美しい。それが木管楽器に主役を譲るとなんともいえない雰囲気を作り出す。

第2主題はちょっと寂しげなObのSolo。今度はFl、Obに引き継がれ、曲が徐々に盛り上がりを見せる。今度はその第2主題を引き継ぐかのように金管が顔を出し始め、メインテーマのモチーフを重ねながら、一つの大きな山を迎えると、Hrがこれまたカッコよく鳴らしてくれる。

一旦落ちたかと思えば、また再びメインテーマのモチーフ重ねで盛り上がったかと思ったら曲はスッと止まり、ここからがこの曲一番の見せ所!A.SaxとFl のデュオに Tpの優しい対旋律・・・!もう涙無しには聴くことができない、ここが最高に美しい場面なのだ!!

そして、曲は最後に主題のテーマを短くHrが鳴らし、静かにフェードアウトして行くのだ。。


この曲は長らく東京佼成ウインドオーケストラくらいしか音源がなかったが、近年パンダWOが取り上げたり、YouTubeで龍谷大学、六角橋吹奏楽団と、優秀な音源が増えつつある。


■東京佼成ウインドオーケストラ 〜Pagan Dances〜Jバーンズ作品集

この音源が一番オーソドックスな演奏と言えるだろうか。
最初の山に持ってく所のテンポがちょっと早く、急かされてる感じがする。。


■PANDA Wind Orchestra  PANDASTIC!! Live2016

2016年のLIVEから。 さすが藝大!なのか、音楽的にも技術的にも痒い所に手が届くような非常に優れた演奏。


■六角橋吹奏楽団(公式)

2017年の定期演奏会から。

さすが神大OBバンド。学生時代に培われたしっかりとした技術に裏付けされた演奏。

第2主題のテンポをちょっとだ上げ、音楽が停滞しないような工夫も見られ、新たなアプローチを見せてくれた。

一番のお気に入りポイントは最後のクライマックスからのA.Sax&Fl Duoの間をしっかりと作ったところがなんとも粋である。


■龍谷大学吹奏楽部

これは個人的な趣味というところが強いが、今全国の大学でこの曲をここまで演奏できる団体はほんの一握りだろう。

今回はここまで。

これ以外にも、J.バーンズの魅力を楽しめる曲はたくさんあるので、あなたも是非隠れた名曲、隠れた名音源を探してみてはいかがだろうか。


そして、来たる2023/7/23(日) 東京ブラスオルケスター 第17回 定期演奏会にて、今回ご紹介したJ,バーンズの「アパラチアン序曲」を取り上げます!

我らブラオケが奏でるバーンズサウンドに、乞うご期待!

次回はJ.バーンズの後半戦。

また違った色の曲、そして今巷で人気のあの名曲にも迫る!

                      (文:@G)

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