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南米人義父「悪人は撃ち殺すまで改心せんぞ」:南米が荒れ続ける理由

警察がいないのに、なぜ泥棒がいないんだい?

「お義父さん、いやー今回のハネムーンは面白かったですよ。なんて言ったってベトナムは道がボコボコで南米だったら殺されそうな場所でも泥棒もいないんですよ!」

鳥がさえずる日曜の午前中、私達夫婦は義父と義母にテレビ電話をしていた。遠く南米に住む義理の両親達にとっては娘の近況が聞ける微笑ましい時間である。

そんな牧歌的な一時、義父はさもあらんと口を開いた。

「そうか、そうか。じゃあベトナムには警察がそれはもうたくさんいるんだろうねぇ」

「いやいや、お義父さん。違うんです。警察もそんなに多くないんですよ。」

「ん?悪人を撃ち殺して懲らしめる警察がいないのにどうして人が盗まないんだい?アジアは本当に不思議なところだ」

出たよ、南米。

誰もが他人を信用しない、南米という土地。


まぁ、主語が広いですが、
妻の母国の南米某国は特に他人を信用しない土地柄です。

なぜなら本当に一つ間違えれば殺されるから。そして身を守ってくれる警察すら信用ならないから。だから、私達は南米に住むっていう選択肢がほとんど出てこないんです。日本が戦争にならない限りないでしょう。

殺人率50倍の妻の実家


こんなことは、嫁の故郷ではありふれた話ですよ

妻の実家がある某国の某州は特にヤバいです。
ここ最近殺人率が10万人あたり10人を超えました。
このレートって日本の50倍です。

わかりますか?殺人事件はもはや新聞の一面を飾るに値しない、日常の一部なのです。

こんなところに住んでると中上流階級の妻の実家も犯罪とは無縁でいられません。実際子供の頃一度強盗に押し入られて、お義母さんは血まみれにされました。それで長い間お義母さんはPTSDになってしまって、仕事のし過ぎで一時期パニック障害になっていた私にとてもいいアドバイスをくれました。

ありがとう、ママ….違うか

その他ひったくり強盗にも妻はあっていますし、その友達も去年ひったくられました。ちなみに、この国の犯罪者はみんな銃を持ってます。下手したら薬物中毒者でクスリを買いたいがあまりイライラしているかもしれないので、ちょっと苛ついたからだけという理由であなたの頭に弾かれるかもしれません。


いいか、ボウズ。ここは南米だ。気を抜いた奴から死ぬんだ。

命が安いです。

役立たずの警察

そんな危険地帯だとせめてまともな警察がいてほしいと思うものですが、南米で「まともな警察」を求めるなんて贅沢が過ぎます。なんせチリの国民の自慢が、

「うちの国の警察は賄賂を受け取らないので有名だぜ」

僕も、去年のクリスマスはサンタさんに「賄賂を受け取らない警察」をお願いしましたよ。
叶わなかったけどね!ハッハッハ。どうやらサンタにも賄賂が必要みたいだ。

ですから、腹をすかせた貧乏警官が何をやるか想像もつきません。
例えば一番ひどい例のベネズエラだと、もはや一部の地域をマフィアが占拠してます。つまり警察行為がマフィアに乗っ取られたりしているんです。

ありがたいことに最近、それでもベネズエラは殺人率が落ちましてね。
なんでかって言うと、もう泥棒できないくらい国内から物がなくなって殺して奪うよりも銃弾買うほうが高くつくからなんですよ。

…笑ってくれました?これが南米ジョークってやつなんですけどね。

だからこそ根深い治安問題


南米っていうのは本当に知れば知るほど、社会をどこから良くすればいいのか皆目見当もつかないカオスの塊です。

でも、最近うっすら気がついてきたのは根本的に社会に信頼がないことが問題なのだと思っています。

社会への信頼というのは「俺は真面目に頑張れば報われるはずだ」という信仰心にも似た感情のことです。真面目教とでも呼びましょうか。
この真面目教が失われた土地で安定を取り戻すのは本当に難しいんです。

南米には「真面目にやったって報われるわけない、むしろそいつはバカ。ずる賢く立ち回ってガッポリ稼ぐ方がいいに決まってる」という考え方が染み付いています。そんな思想がベースになってしまうと最適解は泥棒だし、犯罪なのです。

そうして政治家は汚職に走り、任期ギリギリまで役得をチューチューしますし、貧しい人は強盗でも薬物でもなんでもやってやるという風になっていきます。上から下まで社会に半ば絶望しているからそうなっちゃうんですよね。

それでも僕は彼らの中にある優しさや人間味がすごい好きでずっとスペイン語を学んでますし、南米社会ももっと知りたいと思っているのですが、なるべく住みたくないと思っています。なぜなら彼らの悪意の被害者になったら好きで居続けられないだろうから。

日本っていいよね

ここ最近、本当に日本っていいよねと思います。
そりゃ、問題はあります。上級国民とかいう格差社会を思わせる単語も当たり前になってきたし、高齢化で未来は暗いです。

でも、人を殺してまで何かを奪おうとする人はいません。
そこまで飢えてない国なんです。そしてそれがどれだけ素晴らしいことか私は知っています。

人は一度奪うことを覚えたらもう戻れません。一人も殺したことがないことと、一人殺したことがある間には大きな、それは大きな差があるんです。
もし、泥棒が平気で殺すような社会まで日本が落ちたら、もう昔には簡単に戻れないでしょうね。

こういう事書くと「いや、南米と比べたらさ…そりゃマシだよ?でも日本だって辛いよ。てかっ、南米となんて比べられないよ」
と言う人にも出会うのですが、私は常に南米と比べると感謝を日本に感じているという話でした。

1月23日、ふるさと納税でもらった米を食べながら記す。

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