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世界130カ国にD2C展開のTokyo Otaku Mode流グロースハック

こんにちは!
Tokyo Otaku Mode(TOM)でマーケティングやメディアの運営を担当している清水です。

前回は「事業の成長」に関する記事を書いたので、似たような話題で今度は「グロースハック」について書いてみようと思います。

グロースハックとは何なのか?という記事はちまたにあふれているので、この記事ではTOMでは実際にどのように行っているのか、EC事業の基本的な内容を踏まえて具体的にお伝えします。

グロースハックと数式への落とし込み

事業のグロースハックのためには、まずは事業の本質的な要素を見つけ出し、数式化することからはじめます。成長のためにはあらゆる施策について、どの要素と関わっているのかを検討し、費用対効果が良さそうな施策を考えて優先順位をつけて順に実施してくことが重要だからです。事業を数式へと落とし込むと、要素の関わりと数値改善のインパクトがある程度可視化されて考えやすくなります。

例えば、TOMのメインの事業は越境EC/グローバルD2Cです。仮に粗利額の最大化が目標になっている場合、数式にすると以下のようになります。

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上の数式のように、ECの粗利額は大きく4要素が関わっていることがわかります。

それぞれの指標について説明します。

粗利額ECはかんたんにいうと商品を販売する「小売」なので、スーパーでいえばトマト1個を60円で仕入れて、100円で販売すれば、粗利額は40円ということです。

カート単価スーパーの例でいえば、「かご」にトマトと納豆と牛乳をいれて全部で500円で1回レジを通ること、これがカート単価です。一度の決済で購入した商品の合計額を表します。

カート粗利率同じように「かご」にトマトと納豆と牛乳がある場合、商品ごとに粗利(例えば、40円、50円、60円など)が違います。この平均をとったカート粗利額をカート単価で割ってあげると「カート粗利率」を計算すことができます。

セッションセッションとは、「サイトに流入してから離脱するまでの一連の流れ」のことです。サイトの「訪問数」といってもよいでしょう。Google Analyticsのようなアクセス解析ツールを活用すると、セッションの流入元を分析することができます。流入元としてはGoogle検索、広告、SNS、メルマガなどが挙げられます。

CVRCVRとはConversion Rate(コンバージョンレート)の略です。コンバージョンとは目標の成果のことを指します。たとえば、ECだと商品を購入してもらうことが成果です。
CVR = 購入数/セッション数

サイトに訪れた人の中で、商品を購入してくれた人が何人いるかの率がコンバージョンレートとなります。分母に何を置くかは会社によっても変わってくるのですが、一般的にECではセッションを分母に置いたCVの確率を表しています。こちらもGoogle Analyticsを使った分析のほか、ECだったらサイト側でのログも残っていると思うのでその両方を活用するのが良いでしょう。

事業目標=ゴールの粗利額について、4つの要素の数字が改善する施策を考えて実行していくことが、TOMの越境EC事業/グローバルD2Cにおけるグロースハックになります。

ゴールを逆算した改善施策

事業の数値的なゴールは売上・粗利の成長であることがほとんどです。そのゴールに対して計算式を作り、各項目に関わる課題を見つけ出して改善させていくことがマーケティング(もしくはグロースハック)の出発点となります。
数式に含まれる要素の数値を分析し、インパクトの大きい施策を考え出していきます。

例)
■CVRが落ちている
ユーザーの声を分析すると、カスタマーサポートへの不満があり購入意欲が下がっていることがわかった
→ カスタマーサポートの対応速度や言葉遣いを改善し、CVRも改善、売上/粗利額向上

■カート単価が落ちている
単価の高い商材が少なくなっていることで、平均のカート単価が落ちていることがわかった
→ マーチャンダイズ(商品戦略)チームに高単価商材を仕入れてもらい、カート単価が改善、売上/粗利額向上

ちなみにですが、数式に含まれる要素の数字だけ達成しようとすると、本質的な成長を阻害する施策を実行してしまう可能性も出てきます。そうしたときは、もう一つのKPIを設けて、裏技的な方法を取れないようにするなどのチューニングが必要となります。

例)
短期的な粗利額の積み上げのため、購入額の50%のポイントをユーザーに付与
→次回購入時にポイントを使用されると粗利が大きく削られてしまう、ポイント還元のキャンペーンがないとユーザーの購入意欲が下がる

こういった状況を避けるため、もう一つのKPIとしてユーザーのLTVを追いかけるようにする
※LTV:Life Time Valueの略でユーザーが生涯生み出す価値のこと

考えた施策のゴール(売上/粗利)に対するインパクトを考え、優先順位をつけて順に実施していくことが重要です。

売上と粗利の優先度設定

「売上と粗利」どちらをゴールに設定するかは事業の成長のフェイズや、経営戦略、時代のトレンドによって変わってきます。

例えばEC事業の場合、スケールメリットが出るため、基本的には立ち上げ時は売上重視で突き進んでいくほうが有利なケースが多いでしょう。

スケールメリットを追い、初期フェーズは売上=トップラインにこだわって伸ばすことで、運用効率があがったり、配送費用のディスカウントが効いたり、配送時のダンボールがバルクで安くなったりといろいろなメリットがあります。一番大きいのは、仕入れ時の原価交渉です。ここは大きい小売ほど有利になってきます。

ただ、初期に赤字覚悟で投資を踏み込めるかは、資金調達のしやすさなど外部環境にもよる所も多いので、時と場合によって粗利重視になるケースもありえます。

まとめ

・グロースハックのためにまずは事業を数式にする
・数式を踏まえて事業の現状を分析し、改善インパクトの大きい要素を見つけ出す
・あらゆる施策について、どの要素に影響があるかを検討する
・施策に優先順位をつけて実施していく
・事業のフェイズや経営戦略によって「売上と粗利」どちらがゴールとなるか変わる

書いてあることは当たり前に感じるようなことがほとんどかとは思いますが、こういったことを愚直に実施していくことが事業の成長にクリティカルに効いてくるかと思います。

この記事が皆さんの事業の成長に寄与できていたら幸いです!

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