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B'z Bro.の大学生がB'zのオリジナルアルバムをレビューする[#8 LOOSE]

お疲れ様です。Tomと申します。

今回はB'zの8枚目のオリジナルアルバム「LOOSE」を紹介させていただきます!

"B'zは2人"

・概要

1995年11月22日にリリースされたB'z 8枚目のオリジナルアルバム。
B'zのオリジナルアルバム史上最も売れたアルバムで300万枚以上売れた。

前年リリースのシングル「MOTEL」を最後に、それまでB'zの楽曲制作やライブのサポートを行ってきたプロジェクトチーム「B+U+M」を解散した。
松本(以下:敬称略)によると「当初は基本的にスタッフを含めた、B'zを取り巻く環境を絶対に変えないって思っていたんです。(中略)それが良くない方向に現れてきたからね。」と理由を説明している。

「B'zは2人」というコンセプトのもと、それまで作詞のみ担当してきた稲葉(以下:敬称略)も編曲として参加するなど、サウンド作りからB'zの2人を中心に行われた。
(この時期から稲葉は個人的に楽曲制作を始め、後にソロアルバム「マグマ」として日の目を見ることになる。)

アルバムタイトル「LOOSE」はリリース日などの制約無しに”ルーズに”制作されたから。
また、「B'zは2人」というコンセプトからジャケットも白背景にB'zの2人というシンプルなものになった。

・先行シングル

「ねがい」・・・・・・・16thシングル  1995年5月31日リリース
「love me, I love you」・・17thシングル 1995年7月7日リリース
「LOVE PHANTOM」・・・18thシングル 1995年10月11日リリース

・第一印象

前半はB'zらしくポップでロックでキャッチー、後半は前作「The 7th Blues」の雰囲気が残る硬派で大人な雰囲気のナンバーが並んでいる。

シングル曲が最強クラスであるのは言うまでもなく、アルバム曲も個性的かつ完成度が高く、バラエティに富んだ内容に仕上がっている。

加えて3分台の楽曲が多く、アルバムを通して聴きやすい印象を受けた。

・楽曲レビュー

#1 spirit loose

イントロダクション的な短い楽曲。
松本のキレキレのギターと稲葉のイカれたシャウトだけで構成されている。
「B'zは2人」というテーマを提示すると共に、2人の有り余るエネルギーを感じさせる。


#2 ザ・ルーズ

私の推し曲その1
B'zらしいホーンセクションを取り入れたロックナンバー。
この曲は歌詞が本当に最高。大学入学前からノリのいい曲で好きだったが、大学生になってから歌詞がぶっ刺さって離れない。
稲葉さんが言いたいことを全部言ってくれている

OH YEAH あたまがいたい 何も決まらない
誰かが僕をせかすよ
でなんで今すぐ決めないといけないの なにがそんなに大事なんでしょう
愛しい愛しい僕なりのタイム まぁ ゆっくり見極めさせて
I don't know I don't know 今は全然 I don't know
まだちょっとルーズにやらして まだちょっとルーズに I'm on my way

同曲/B'z


#3 ねがい(“BUZZ!!” STYLE)

16thシングル表題曲のアルバムバージョン。
稲葉が編曲にクレジットされた初めての作品でもある(シングル版)。
ジャズやハードロックの要素を取り入れたポップな楽曲に仕上がっている。

アルバムバージョンはイントロや間奏が延長され、カッティングのギターリフがフィーチャーされたアレンジになっている。

ジャズ風のA・Bメロを抜けて、

願いよかなえ いつの日か そうなるように生きてゆけ

同曲/B'z

このキャッチーなサビへ入る瞬間の爽快感、開放感が心地良い。


#4 夢見が丘

シリアスな雰囲気の漂うB'z屈指の名バラード。
シリアスといっても前作「The 7th Blues」のようなドロドロした感じではなく、空虚さや無力さ、哀愁が入り混じったこの曲にしかない世界観が形作られている。

松本のメロディアスかつ力強いギターが曲全体をリードしている。
大サビでのメロディーとギターのユニゾンはその好例で、クライマックスに向けて曲を盛り上げている

比喩や抽象的な歌詞が多く、聴く人によって解釈や想起される光景が異なるのではないかと思う。
ぜひ実際に聴いてみてほしい。


#5 BAD COMMUNICATION(000-18)

1stミニアルバム収録「BAD COMMUNICATION」のリメイク。
アコースティックギターにフィーチャーしたアレンジで、タイトルの「000-18」は松本がこの曲使用しているアコースティックギターのこと(マーティン「000-18」)である。
他にも原曲より半音高い、3番が省略されているなどのアレンジがなされている。

アコギリフが心地良く、稲葉のフェイクを多用する歌い方も相まって、色気のある楽曲に仕上がっている。


※余談
B'zでTHE FIRST TAKEに出演するなら是非この曲を演ってほしい。


#6 消えない虹

アウトロまでエレキギターが登場しない禁欲的なバラード。
B'zがボーカル+ギタリストのグループだからこそ、この曲はB'zのディスコグラフィの中でも特別な存在感を放っている。

シンプルなアレンジによって美しいメロディーと歌詞が引き立っている。


#7 love me, I love you(with G Bass)

17thシングル表題曲のアルバムバージョン。
ベースが明石昌夫による生音に変更されている。

3拍子のシャッフルビートで、B'zらしいポップな楽曲。
松本はこの曲を「自分たちが表現したいものと世間がB'zに求めているものが合致したような曲」と表現している。

跳ねるビートを乗りこなす歌詞が素晴らしい。
リズムへの乗り方、歌詞の内容ともに痛快。


#8 LOVE PHANTOM

私の推し曲その2
18thシングルで、しばしば「B'z史上最高傑作」に挙げられることもある。
別格の完成度を誇る大名曲。

元々は「B'z LIVE-GYM Pleasure’95 "BUZZ!!"」で披露されたライブ演出(いわゆるラブファンダイブ)のために制作された。
そのためAメロとサビの2種類のメロディーしか登場しない。
意識せずに聴いていると2つしかメロディーが出てこないとは気付かないほど、ドラマティックに展開していく。

1分以上あるストリングスのスリリングなイントロを抜け、サビに雪崩れ込む。そして1番と2番の間のラップ調のパート、間奏のギターソロ、オペラ歌手を起用したアウトロと目まぐるしく展開しながらも破綻することなく1曲として完成している。

歌詞について稲葉は「フランケンシュタインとかドラキュラとかっていう日常的でない主人公の恋」をイメージしたとのこと。

この曲の詩で特に好きな一節がある。
それがここ↓

欲しい気持ちが成長しすぎて 愛することを忘れて
万能の君の幻を 僕の中に作ってた

本曲/B'z

過剰な愛や相手に理想を押し付けることの危うさを歌ったこの詩だが、同じテーマが稲葉の詩にはしばしば登場する。

すべて知るのは到底無理なのに 僕らはどうして
あくまでなんでも征服したがる カンペキを追い求め
愛しぬけるポイントがひとつありゃいいのに

イチブトゼンブ/B'z

愛しすぎちゃったらそれはもう愛じゃなくなる

マイニューラブ/B'z

つまり、このテーマは稲葉の考え方が強く反映されたものだと言える。
言い換えると、稲葉浩志という人間が詩に表れている部分だということだ。

一方、「LOVE PHANTOM」という曲は詩世界からサウンドに至るまで非常にコンセプチュアルで、詩の主人公は前述の通り人ならざる者と設定されている。この曲を歌っているとき、稲葉はある意味その人ならざる主人公を演じているといってもいいだろう。

演じている間は、そこに稲葉浩志という人間は表れない。

しかし、「欲しい気持ちが…」の一節が入ることで一瞬だけ『人ならざる主人公』と『稲葉浩志』が重なるのだ。

詩の物語を単なるストーリーテリングで終わらせないこの一節が私は大好きだ。


#9 敵がいなけりゃ

ジャーナリズムに対する風刺の効いたロックナンバー。
昨今も報道被害が取り沙汰されることが日常茶飯事だが、1995年から何も変わってないことが確認できる。

ギターソロ前に稲葉が「TAK!」とシャウトするのがかっこいい。


#10 砂の花びら

松本曰く「渇き系の曲」
この曲が好きな人は「Queen of Madrid」や「Wild Road」も好きだと思う。
ソースは私。

サビ冒頭の「いでよ」が、ラスサビのみ「逃げないでよ」になる。こういう言葉遊びをサラッと入れてくるのが実にニクい。


#11 キレイな愛じゃなくても

B'zらしい王道ロックバラード。
「夢見が丘」と「消えない虹」と本曲はいづれもバラードだがキャラクターが全然違うので面白い。LOOSEの音楽性の広さがバラードだけを見ても覗える。

「LOVE PHANTOM」の項で触れた愛についてのテーマがこの曲にも登場する。

相手(きみ)を全部欲しがることは
パーフェクトな愛じゃないって本には書いてる

本曲/B'z


#12 BIG

アコースティックなナンバー。
非常にシンプルな楽曲ながら、歌詞も稲葉節全開でB'zにしか出せないグルーブ感を醸し出している。


#13 drive to MY WORLD

私の推し曲その3
夜を思わせるロックナンバー。
コーラスのかかったAメロのギターの音は浮遊感があり、そこからサビの歪んだギターとドローン的に鳴るオルガンの音によって緊張感と疾走感を生み出している。

歌詞にはセブンイレブンが登場する。


#14 spirit loose Ⅱ

収録曲として記載されていないシークレットトラックで、サブスクでは聴くことができない。
ブルース調のインストゥルメンタル。

・まとめ

広い音楽性を示しながら、それら全てをポップに聴かせているバランス感覚が素晴らしい。
当時のB'zの勢いと有り余る創作意欲をひしひしと感じる。

B'zで一番売れたアルバムということもありキャッチーでポップな印象が強い本作だが、それと同時に聴き込むほど味が出るスルメ系名盤の一面もあると感じた。

・おまけ

5曲目の「BAD COMMUNICATION(000-18)」はもともと16thシングル「ねがい」の2nd Beatになる予定だったそう。
逆に言えば「ねがい」の2nd Beat「YOU&I」が本作に収録された世界線があったかもしれないということだ。

ということで、そんな世界線の「LOOSE」はこんな感じだったんじゃないかという妄想に耽って記事を締めようと思う。

#YOU&I

私の推し曲その4
ポップなサウンドに稲葉の女々しい歌詞が乗るB'zの十八番を体現したような楽曲。ファン人気も高い隠れた名曲。
「嫌いだ」から始まるラブソングが他にあるだろうか。
イントロとアウトロの不気味なギターがクセになる。


  1. spirit loose

  2. ザ・ルーズ

  3. ねがい("BUZZ!!" STYLE)

  4. 夢見が丘

  5. YOU&I

  6. 敵がいなけりゃ

  7. 消えない虹

  8. LOVE PHANTOM

  9. love me, I love you(with G Bass)

  10. 砂の花びら

  11. キレイな愛じゃなくても

  12. BIG

  13. drive to MY WORLD

  14. spirit loose Ⅱ(secret track)

オリジナル版よりポップな印象になる一方、ホーンセクションがある曲が連続するのが欠点か。
8・9曲目にシングルが来るので後半の硬派な印象は幾分か緩和したと思う。

・最後に

ここまで読んでいただいて本当にありがとうございます。

次回以降は不定期の投稿にはなると思いますがお付き合いいただけると幸いです。

それでは、

せーの、おつかれ!

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