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勉強しない日本の大学生と、死に物狂いで勉強するアメリカの大学生

こちらは私がこれまでにさんざんnoteでつぶやいてきたことのまとめのような内容になっています。

「ガリ勉」とか「点取り虫」というのは、小中高校生についていう言葉だ。大学に入ってしまえば、勉強しない。「大学に入学してから死に物狂いで勉強した」などと言ったら、よほどの変わり者と思われるだろう。  
しかし、専門家としての教育は、大学・大学院で行なわれるのである。その段階で勉強しないのだから、高度人材のランキングが低くなってしまうのは、当然のことだ。

新鮮味のない話かもしれませんが、やはり日本の教育の一番大きな問題点として大学入試と高等教育、そして就職のシステムがあると思っています。

大学入試の問題

ご存じのように、大学入試(一般入試)においては、1回の筆記試験の結果で合否が決まります。そして、その試験内容は得手して知識偏重の内容が多く、暗記力や処理能力が高い生徒に有利な内容となっていました。

暗記や処理能力が得意な子はもちろん「頭のいい子」として評価されるべきですが、それだけでは社会に出てから活躍していくことは難しいものです。特にこれからの社会は「VUCAの時代」と呼ばれるように、不確実性の高い予測不可能な社会になっていくわけで、その中で自分で考え、行動する力が求められます。すなわち、大学入試においてももっと多面的な能力を測る試験が求められています。

たしかに、文科省は大学入試改革を進めており、全般的に大学入試の内容は変わってきていると思います。しかし、現役の高校教師の立場から言わせてもらえれば、まだまだその変革のスピードは十分ではなく、もっとドラスティックに変えていかなければいけないと思っています。

また、アメリカ型の入試のような、学力だけではなく、受験生の為人(ひととなり)を評価する総合型選抜入試(旧AO入試)や推薦型選抜入試の割合が増えていることも重要なファクターだと思います。文科省の調査によると平成12年次は一般入試の割合が65%を占めていましたが、平成31年次には53%程度に下がっており、それはつまり大学受験の約半分がAO・推薦入試が占めているということになります。

私は大学受験指導を20年以上行ってきている、いわば受験プロですが、一般入試、AO・推薦入試、それぞれのpros and cons(メリットとデメリット)を理解しています。ただ、世間一般(特に昭和世代)ではAOや推薦は学力がない者が受ける逃げ道、邪道などと考え、正しく理解ができていない人も多くいます。そんな人には下記の記事を読んでもらいたいです

昔から言われていることですが、大学を合格するために死ぬ気で勉強して、受かったはいいもののそこで燃え尽きてしまい、大学生活を社会に出るまでのモラトリアム期間として過ごす学生がこの国では大半を占めます。それは名の知れた有名大学でも同様です。(特に文系)

一方、AOや推薦入試は受験にあたって、まず自分が何者かを明確にし、そして自分がなぜその大学学部を志望するのかを考え抜かなくてはいけません。そのうえで、自分の過去を振り返り、様々な点を線でつなぐ作業が必要になってきます。そしてその線は大学に入学後だけでなく、大学卒業後にどこに向かうのかも示さなければいけません。他の受験生と差異化を図るために、様々な課外活動に取り組んだり、研究をしたり、それらすべてが大学に入学後のモチベーションとなるのです。

早稲田や東北大にAOで受かる子たちは相当にハイレベルな子たちです。そんな子たちが高いモチベーションを持って入学をすれば、一般入試で入ってきた子たちより良い成績を収めるのは全く驚きではありません。

では、一般入試は悪なのかというと必ずしもそうではありません。これを読んでいる方々の多くは一般入試で大学に合格されたはずで、その過程で学力はもちろん、自己管理能力や計画力、修正力、GRIT(やりぬく力)、Redilience(折れない心)などさまざまな力を身につけて成長したはずです。

問題なのは、一発勝負のスタイルと知識偏重型の問題です。上述の通り、もっと受験生の学力(思考力を含む)を多角的に測る問題を課すことで、中等教育の教育ももっと大きく変わるはずです。(いまだに一方通行型の暗記中心主義の授業がいかに多いことか)

高等教育(大学)の問題

ご存知の通り、日本の大学生は海外の大学生に比べて圧倒的に勉強しません。

私が講演で使用するスライドより

既述の通り、「燃え尽き症候群」が一因ではありますが、それよりも大学の学びと就職に関連する構造的な問題の方がより深刻です。

そうなんです。学生にとっては、まじめに勉強しなくても単位も取れるし、進級も卒業も楽勝だし、いい成績を収めても就職にそんなに影響があるわけではないし、なんなら部活とかその他の活動とか勉強以外のことがより高く評価されるし・・・(理由を挙げればきりがない)。学生にとって一生懸命学ぶことに「うまみ」がないのが実情です。そりゃ勉強しないわ。(自分もそうでした(小声))

こちらの記事にも下記のように記されています。

なぜ日本人は、大学で勉強しないのだろうか? その理由は簡単だ。日本の企業が、大学や大学院での教育成果を賃金面で正当に評価しないからである。

新卒一括採用という日本独特のシステムも悪い方に作用しているのです。アメリカなら院卒で専門の研究が評価されれば、新卒でも年収1千万円なんてざらにある話ですが、日本ではまずありえません。能力は個人によって異なりますが、みんな同額の賃金でスタート。まず、この新卒一括採用、さらには終身雇用、年功序列システムなどにメスを入れていかないと、高等教育も変わらないのではないかと思っています。

まとめ

記事の内容を反映して、救いのない内容になってしまいました・・・。noteで何度も言っていますが、やはり日本の教育全体にパラダイムシフトを起こすために一番手っ取り早いのは大学入試と高等教育を変えることだと思ってます。どれだけ初等教育と中等教育が変化したとしても、行きつく先は高等教育なので、そこに集約されてしまうからです。

ただ、そんなことを言っているだけでは、居酒屋で会社の上司の悪口を言っていたり、国や政治家に悪態ついているおっさんたちと何ら変わらないので、一人の教育者として自分でできることをしっかりと行っていきます。

まずは自分の学校を日本中が知っている学校に。そこから日本の教育を少しずつ変えていきたいと思っています。ちなみに、今現在私が勤める学校は日本全国の教育者たちに知られるようになってきており、注目を集める存在となっています。ただ、まだまだ道半ばなので、自分の信念を貫き通し、ブレずにやっていきたいと思います。親愛なるnoteフレンズの皆さん、引き続き応援よろしくお願いいたします。<m(__)m>