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暮らしっ句

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「日々の暮らし」の味わい、ぬくもり、それさえ忘れなければ、成功なんかとは縁遠くても、まっとうに生きていける。逆に言えば、こわいのは「こんな世の中、ぶっ壊してやり直した方がいい」と… もっと読む
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記事一覧

[暮らしっ句]風光る[俳句鑑賞]

 窓の字に心がありて 風光る  近藤千雅  作者に心があるから「心」が見えたわけですが、…

トマリエ
3週間前
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[暮らしっ句]犬ふぐり[俳句鑑賞]

 犬ふぐり およそ似合はぬ名をもらひ  楠木君子  わたしがこの花をはじめて意識したのは…

トマリエ
1か月前
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[暮らしっ句]しやぼん玉2[俳句鑑賞]

 危ふさを膨らませをり 石鹸玉  金森教子 「バブル」というやつですね。こないだも超富裕…

トマリエ
1か月前
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[暮らしっ句]春 愁[俳句鑑賞]

 まずは具体的な心配事がある場合。  春愁や 夢の中まで聞き役に  山本潤子  知り人も噂…

トマリエ
1か月前
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[暮らしっ句]白木蓮2[俳句鑑賞]

 唐突に 白木蓮の始まりぬ  笠井円  白木蓮の千花 一花の遅れなし  小山徳夫  気がつ…

トマリエ
2か月前
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[暮らしっ句]春の雨[俳句鑑賞]

景色を朧(おぼろ)にし気持ち湿らせる春の雨 しかし、耳を澄ませば ところどころにコントラ…

トマリエ
2か月前
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[暮らしっ句]白木蓮[俳句鑑賞]

「死」や「過去(あの世)」が暗示された句を集めましたが、 どんな暮らしにも影があるわけで、 日常の中の「影」と思っていただければ……  詩の舟の ひそかに着きぬ 白木蓮  小澤克己 「詩」という漢字には「寺」があります。単純な発想ですが、詩には「この世」と「過去(あの世)」を結ぶ役割りがありそう。 「詩の舟」が海を渡って白木蓮に漕ぎ寄せた。これイメージできますか? 心象風景のようですが、実景でもあるんです。白木蓮はよく撮影していたのですが、昼間でも暗がりに咲いてると感じら

[暮らしっ句]悴む2[俳句鑑賞]

 悴めば もつれもかなし 糸の綾  藤岡紫水  ふだんなら難なく解ける「糸のもつれ」、手が…

トマリエ
3か月前
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[暮らしっ句]春近し2[俳句鑑賞]

「春近し1」は、昨年の記事。早いものでもう一年~ 徴(しるし)編  玄関に縄跳びの縄 春…

トマリエ
3か月前
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[暮らしっ句]悴 む[俳句鑑賞]

※ 悴む(かじかむ) 「あるある」編  悴みて 大阪駅に迷ひけり   樺山翠  一見すると…

トマリエ
3か月前
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[暮らしっ句]寒 雀 2[俳句鑑賞]

 寒雀 群れより一羽 吾が前へ  松崎鉄之介  喪明けとはさみし 餌に寄る寒雀  服部幸  …

トマリエ
3か月前
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[暮らしっ句]寒 雀[俳句鑑賞]

 風を踏み 日ざしを踏みて 寒雀  村山秀雄  寒い時期、誰だって日向がいい。でも、建物の…

トマリエ
3か月前
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[暮らしっ句]福引き[俳句鑑賞]

被災者の方々にお見舞いを申し上げます。 .  福引や 見知らぬ人に拍手され  今井春生  福…

トマリエ
4か月前
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[暮らしっ句]冬木立[俳句鑑賞]

 冬木立 日中をしんと美術館  水野節子  思い出されたのは昔の西宮大谷記念美術館。古くて落ち着いた佇まいの洋館(和洋折衷?)で、戦前の青年画家の絵にとてもよく似合ってました。青木繁の「わだつみ…」とか、もうその場を離れ難かったくらい。額縁の中が作品じゃないんですよ。室内、建物もひっくるめて世界があった。  句と関係のないことを云ったようですが、  強弁すれば、美術館に展示されている作品たちはすっかり落葉した「冬木立」のようなものかもしれません。作者とも当時の世の中とも切