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銃乱射事件に少しでも興味があれば読んで欲しいです。

こんにちは。

まず、この記事をクリックして頂きありがとうございます。

先日、ゼミで報告をしてくれと後輩と教授に頼まれたため、惰性でレポートを作りました。
テーマは定められておらず、個人的に興味のあった銃乱射事件について適当にまとめたレポートなので、読んでもらえばアメリカ銃規制の概要について少しは把握できると思います。

よければ、コメント質問などもなんでも良いので書いて下さい。
できるだけお答えします。

それではレポートの方へどうぞ。

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米国銃規制の問題点について
講義名:
提出日2022/10/8
名前:
学籍番号:
Ⅰ.報告の目的
私は最近、TVやメディアで、「○○で銃乱射事件が発生」というニュースや記事を目にする。日本国内では銃は全く無縁と言ってもいいが、一度海の外に出れば銃の危険に晒される可能性がある。引き金を引くだけで人を死に至らしめる。そのような危険のある武器をなぜ規制しないのか。今回の報告で、アメリカでの銃規制の問題点を自分なりにまとめていきたい。

 Ⅱ.銃乱射事件の概要
(1)「銃乱射事件」の定義
アメリカ政府はこれまでに「銃乱射事件」を定義したことがないため、どの定義を用いるかによって統計は大きく変わる。銃による暴力について情報収集を行っている非営利調査団体「ガン・バイオレンス・アーカイブ」によれば、「銃乱射事件」は動機に関係なく、ほぼ同じ時刻と場所で4人以上の死傷者が出た事件を指す。

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(3)有名な銃乱射事件
①ネバダ州ラスベガス・ストリップ銃乱射事件(2017/10/1)
犯人がホテル高層階からコンサート会場に向け1049発の銃弾を発砲。61人死亡(事件発生直後自殺した容疑者を含む)、867人が負傷(うち銃撃によって411人)。
未だ犯人の明確な動機は分かっていないが、FBIによると一種の精神障害もしくは抗不安薬「ベンゾジアゼピン」の乱用による副作用(鬱、幻覚など)ではないかとされている。
フロリダ州オーランド銃乱射事件の被害者数(50人死亡、53人負傷)を超えアメリカ史上最悪の事件となった。

②コロラド州コロンバイン高校銃乱射事件(1999/4/20)
  犯人の少年2人が在学していた高校内のカフェテリア、図書館に立ち入り、わずか45分の間に12名の生徒と1名の教師を殺害。
  少年2人の犯行動機は日常的ないじめに対する復讐とされる。2人は事件を起こす前から黒色のトレンチコートをシンボルとした「トレンチコートマフィア」と呼ばれる同校内の反いじめ自警団に所属していた。

③ニュージーランド・クライストチャーチモスク銃乱射事件(2019/3/15)
  犯人は、イスラム教礼拝日である当日、ニュージーランド内の2つの教会に連続して立ち入り、51人を殺害。49人が負傷し、容疑者は同日逮捕された。
  動機については、移民受け入れに猛反対していた白人至上主義者であったことから、ヘイトクライムだとされる。犯行時に着用していたジャケットにはウクライナの白人至上主義極右団体であるアゾフ大隊のシンボルマークと見られるものが描かれていた。
  特にこの事件では犯人が犯行の模様をFacebookで16分間配信していたことから、この映像を見て感化され、犯行に及ぶ者が出るという二次被害が起きないか危惧された。(事実、後述する事件の犯人はこの事件に影響を受けている。)NZ当局は映像の拡散を必死に止めるものの、インターネットの拡散力には及ばず、完全な削除には至っていない。後日、裁判所はNZ史上初、仮釈放なしの終身刑判決を言い渡した。

(4)最近の銃乱射事件
①ニューヨーク州バッファロー銃乱射事件(2022/5/14)
 18歳の犯人がスーパーマーケットで銃を乱射し、10人が死亡、3人が負傷した。容疑者は犯行後に逮捕される。
 銃撃された13人のうち11人が黒人であった。犯人は日常的に「4chan」(西村博之氏が英語圏で運営するネット掲示板)で「黒人が白人の住む地域を侵略している」という陰謀論を積極的に閲覧しており、クライストチャーチモスク事件を賛美する内容の文書を書き込んでいたことから、ヘイトクライムだとされる。

②テキサス州ユヴァルディ市ロッブ小学校銃乱射事件
 18歳の犯人は早朝に自宅に同居する祖母を殺害。小学校へと向かい、授業の行われている教室へ入り、児童19人と教師2人を次々と殺害した。
 犯人の動機は分かっていない。この事件では、特に現地警察が即座に突入をしなかったことに被害者や市民から多くの批判が寄せられている。

他にも、2021年6月には保護施設から抜け出した14才の少女と12才の少年が立てこもり包囲する警察官に対して銃撃する事件が発生。2人は拘束された後「アクションゲームのようにやるんだよ」と話した。なお、この事件では被害者は出なかったため、銃乱射事件には該当しないが、子供でも簡単に扱えてしまうという、銃の危険性が窺える。

(参考:各事件の詳細はWikipediaから)

Ⅲ. 進まない規制と考えられる原因
(1)米国の銃社会の歴史
①建国の歴史
イギリスから銃を持って独立し、建国した当初は警察でさえも圧政の手段と化す可能性があるとみなされたため、建国者たちは秩序と治安の維持を州以下の政府に委ねた。その結果、各地で自治体警察が作られ、武器の所持が認められることとなった。
合衆国憲法修正第2条「規律ある民兵は自由なSTATEの安全にとって必要なため、人民が武器を保蔵し、また携帯する権利を侵してはならない。」(STATE=国家or州)
STATEが州を意味するならば、州政府がその権利を放棄すれば州民による武器の所持を規制できる(州権説)。しかしSTATEが国を意味するならば、憲法改正をしなければ銃所持の禁止はできないということになる(個人権説)。

②治安の維持を誰に委任するか
 西部開拓時代は、州政府ですら確立されておらず、開拓先の先住民から身を守るには人々は自衛をするしかなかった。人が人を雇うリソースが無かったので、自然と自警団を組織するようになった。
州政府が成立し、小さな自警団に代わる規模の大きい警察が誕生したが、汚職にまみれてしまい、信用を失う。2011~2015年の5年間でNY市警約5万人のうち少なくとも319人の職員が解雇に値する違反を起こしながらも職に留まる。

③広大な土地
現在でも、郊外や農村部などでは警察を呼んでから到着するまでに時間がかかる。911番通報をしてから警察官到着まで15分以上かかることもザラにある。日本では110番通報を行った際、到着するまでの時間は平均約7分。(北幹警備保障調べ)

④「目には目を、歯には歯を。」
武装には武装で対抗する。自力救済がそこまで非難されない。
今まで、核兵器廃絶をいくら呼びかけても世界から核がなくならないことと似ている。
 銃が強すぎて、他の対抗手段がない。考える暇がない。

⑤銃の高性能化
近年製造された銃は扱いやすく、子供女性でも使えるため、簡単に自衛ができる。単純に力の強い者に屈する必要のない、いわゆる「平等化装置」としての役割を持つと考えるアメリカ国民も多い。

(2)世論の二分化
銃砲店店長「これまで一度も銃を持ったことのないお客さんが沢山来ています」
女性客「暴動やブラックライブスマター運動が過激化することを恐れているので自分の身を守る必要性がある」
事実、悲惨な事件が起こった後には、銃の需要が必ず高まる。また、コロナ禍で、ソーシャルディスタンスを取りながら楽しめるハンティングやスポーツ射撃の人気が高まり、銃と銃弾の売り上げが上昇した。

「銃規制の問題ではなく、銃を扱う人の問題で、銃を持つ権利が保障されていることに敬意を表する。」これは、ラスベガス銃撃事件で息子を亡くした母親と、友人を亡くした男性遺族が語った言葉である。

3年が経過し、2020年度のトランプ氏とバイデン氏の討論会では、6つのテーマの内、ひとつも銃規制に関連するものはなかった。銃規制そのものへの関心が薄まっている。
(Youtube:TBS NEWS DIG 「米史上最悪ラスべガス銃乱射事件から3年…いま、銃需要高まるワケ【あさチャン!】」)

軍人を彼氏に持つ女性「分からないけど銃は大事だと思う。家で安心して暮らすためにも。」
女性の友人「銃を持つかどうかはその人が決めたらいい。だから私はアメリカ合衆国憲法修正第2条に賛成している。」
(YouTube: Parts Unknown 「ぶっちゃけアメリカ人って銃社会についてどう思ってんの?」 )


(3)圧力団体NRA(全米ライフル協会)の存在
①NRA(全米ライフル協会)
1871年、南北戦争に勝った北部出身者や銃販売業者、銃愛好家によって設立される。設立当初の活動の中心は、射撃技術の向上にあった。

②政治との癒着
1960年代、銃犯罪が急増するに伴って銃規制の世論が高まると、これに反対する政治家を支えるロビー活動を積極的に行うようになる。銃器メーカー・銃砲店などの法人会員から多額の資金を集め急速に組織を拡大し、主に共和党右派との繋がりを深めていく。
(トランプ氏は大統領選立候補時少なくとも1400万ドルの寄付を当団体から受け取っている。)

(4)アメリカの現状
 銃は、アメリカ国内に計3兆9300万丁あると推定されており、2020年には4割以上の国民が銃を所持しているとギャラップ社の調査に回答。国際開発研究大学院スモール・アームズ・サーベイの調査によれば、100人あたり約120丁の頒布率。
同年の銃乱射事件は610件と過去最高を記録。今年の統計はまだ出ていないが、今年8月現在ではアメリカ国内で1日に100人以上が銃犯罪の犠牲者となる計算で、記録が更新されてしまう可能性もある。
下の図は1~19歳の子供の死因上位2つを示したグラフである。2020年には、死因「銃器による負傷」が、死因「交通事故」を上回ってしまっていることが分かる。

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 今年に入ってからは6月5日時点で246件の銃乱射事件が発生。全米300か所以上で銃規制を訴える大規模デモが行われた。
(日テレニュース:「【アメリカ】銃乱射事件相次ぎ全米各地で大規模な銃規制デモ」)
 Ⅳ.銃規制強化の進展・実務上で行われている対策方法
(1)NRA vs ブルームバーグ
マイケル・ブルームバーグ(前ニューヨーク市長)
民主党出身でありながら、選挙を前に2001年に共和党に鞍替え。2007年、共和党を脱退して無所属になるも、3選を禁止する条例を改正して3期12年もの間NY市長を務める。圧倒的な資産を持ち、リベラル寄りの保守政治家として数々の活動に身を打ち込む。
2006年、現職・前職合わせて1000名以上の市長の参加を得て「違法銃器に反対する市長の会」を結成し、さらに12万5000人の会員を擁するNPO法人へと成長させる。
活動の結果、2014年以降、主にスターバックスやチポトレなどの飲食チェーンをはじめとした様々な店で銃器の持ち込みが禁止されるようになった。
また、2019年、サンフランシスコ市議会は正式にNRAを国内テロ組織認定。

(2)直近の法改正
今年5月、18歳が銃を乱射しそれぞれ10人、21人を殺害する事件(上記の事件)が立て続けに起きたことから、6月25日、バイデン大統領は連邦議会が可決した銃規制の強化法案に署名し、成立した。
この規制によって変わること・・・
①21歳未満の購入者により厳しい身元調査
②精神医療や学校警備の強化策に連邦予算150億ドル(約2兆円)をあてる
③裁判官が危険とみなした人物から銃を押収する「緊急措置」を導入する州への資金援助
④結婚していないパートナーへの虐待による有罪歴のある人への販売を禁止

要求されていたが盛り込まれなかった法案・・・
①殺傷能力の高いアサルトライフル(自動小銃)の販売及び所持の禁止
②銃器購入可能年齢の引き上げ (現在、連邦法により自動小銃は18歳以上、拳銃は21歳以上から購入可。所持が可能かは州ごとに異なる)
(ABEMAニュース【公式】「【銃規制】アメリカの30年ぶり‘‘銃規制強化‘‘国民の意見は真っ二つ?専門家と読み解く」)

(2)実務における対策
・NICS(全米犯罪歴即時照会システム)
連邦捜査局FBIが管轄するシステムで、銃砲店で武器弾薬を購入する際に客が身分証とデータベースを照合する必要がある。
思い精神病や前科があれば購入ができない制度となっているが、州政府や連邦政府の当局者がNICSに事前に通報しておかなくてはいけないという制度上の欠陥がある。

Ⅵ.私見
・銃器購入可能年齢を引き上げることは、若者による銃乱射事件が多発していることを鑑みれば極めて重要で、それが法案に盛り込まれていないことに疑問を感じる。
・レーガン大統領の言葉「人を殺すのは銃ではなく、人だ」たしかにそうかもしれないが、より多くの人を殺すのは銃。
・トランプ氏が放った言葉「学校のセキュリティが甘すぎる。警備を強化しろ!」これは物理的に不可能ではないか。
・教育問題の解決、貧困問題の解決、精神医療問題の解決程度では、銃犯罪は無くならないと思っているが、そちらの観点も決して無視することもできない。
・票を得るために銃規制を適当に訴える政治家もいないわけではない。当事者なのだから、真面目に考えてほしい。
・インセンティブを活用して銃規制を進める法案があれば良いと思う。例えば、所持している銃器を放棄もしくは破壊すれば、余分にお金がもらえる、など。
・現状最も有効な銃規制に反対する方法は、銃規制に反対する政治家に票を入れないことだと思う。


・もし興味を持ったら、マイケル・ムーア監督作品のドキュメンタリー映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」を観てほしいと思います。アマゾンプライムにあります。


参考記事:(CNN「数字で見る銃乱射事件の実態」)
 :(現代メディア「アメリカ銃社会の起源と現在~だから一筋縄では規制できない」)
:(BBC「トランプ氏、銃購入時の身元確認手続き改良を支持」「NZモスク乱射事件、被告に終身刑 初の仮釈放なし判決」)
:(週刊エコノミストonline、日本人の知らないアメリカ「これだけ銃犯罪が増えてもなおアメリカが「銃禁止」を実現できない理由<前編>=中岡望」
 :(SB.com「米小売会社が相次ぎ、銃持ち込み禁止と法改正を要求」
 :(BuzzFeed.com「NY警察の不正を許すな」)
 :(NHK「マイケル・ブルームバーグ」)
 :(AMERICAN CENTER JAPAN「アメリカ合衆国憲法に追加され またはこれを修正する条項」)
 :(朝日新聞デジタル「交わらぬ銃規制の議論 トランプ氏は規制反対 全米ライフル協会大会」)
 :(REUTERS「焦点:米大統領選前に銃購入ラッシュ、「恐怖心」で初心者殺到」)
グラフの引用:(Spectee.co.jpおよびgunviolencearchive.org)



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



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