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のらねこ、ラスダン手前でやめたくならない人の勘違いを暴く

RPGをプレイしていると、ラストダンジョンやラスボスの手前で急にやる気がなくなってしまう人達がいます。
この症状を ラスボス前症候群 とか クリアしたくない病 なんて呼ぶようです。

こうした人達の気持ちを分析したブログを見ると、その理由としては “終わるのが寂しいだけ” “ラスボス戦をやる時間がない” “完璧主義” “貧乏性” などなど、おおよそ好意的でない文章が並んでいます。
罹患者本人の分析記事ですらです。

でも実は、ゲームというのが構造上手前でやめたくなるように出来ていて、かつ、ラストダンジョンに躊躇なく入れちゃう方が間違ってるのだとしたら、この話、信じられます?

RPG(ロールプレイングゲーム)は『ロール(役割)』を『プレイする』ゲームのはずで、だから最後までシナリオに沿うのが正しい楽しみ方のはず。
そんなふうに考える人は、実は作り手の目的を理解できていないのです。

今回は、製作者サイドの意図を理解しないことが、どれだけ大きな損失なのか。
そんな話をしたいと思います。

――皆さん、こんにちは。
あるいは初めて見てくださった方、久しぶりの方、どちらもクリックしてくれてありがとうございます。
僕は目標管理Webサービス Project Sylphius の開発・運営をしています、TOMCAT HEART の中島です。

毎日とはそもそもつまらないもの。生きてて楽しいことがそうそういつもいつも起こるなんてありえない。
そんなふうに考えがちな人達に足りないもの。それは 運 でも やる気 でもありません。
“目標管理スキル” です。

目標が管理できていないから、いつまでたっても達成できない、楽しいことが起こらない、仮に何かができてもそれを楽しめない。
そんなことになるのです。
だから人生を楽しむうえで、目標管理は必須スキルなのです。

この のらねこに何ができる? では、どうすれば目標管理ができるのかをお分かりいただくため、僕が自分で計画して自分で実践してきた様々なことを、なるだけ面白くお伝えする趣旨となっております。

今回は、単発回 “のらゲーム屋はプレーヤーが分かる?” をお送りします。
実はゲームとは、ラストダンジョン手前でやめたくなるのが正しくて、ゲームを何の憂いもなくあっさりクリアできる人はゲームメーカーの気持ちを理解できていない、という話をしたいと思います。


1. RPGはロール(役割)をプレイするゲームではない

RPGというゲームは、辞書上はたしかに Role Playing Game であり、これを直訳すると “与えられた役割を演じるゲーム” となります。
この定義を馬鹿正直に信じるのなら、RPGはシナリオにそって役割を演じる楽しさを味わうゲームで、その役割を最後まで演じきるのが正解であるように感じます。

でも実は、その解釈のみでゲームを遊んでいる人は、作り手の気持ちを理解できていないんです。
当然ですが、製作者サイドとしてはなるだけ長く楽しんでほしいんです。

シナリオをなぞって終わり。
そんな遊び方じゃあプレイ時間は全然伸びないし、長く楽しんでもらうという目的を果たしたことには全然なりません!
あまりに寂しすぎます。

そのため世の中の大部分のRPGは、“役割を演じるゲーム” という構造には全くなっていないことが多いのです。
これは、コンピューターRPGというジャンルが確立した当初からずっとです。

製作者としては、シナリオそっちのけで遊び続けてくれた方が嬉しいんですよ。
当然でしょ?
だから世のRPGの多くは、“シナリオはとりあえず付いてるだけ” で、ゲームの内容自体は宝探しゲームになっていることが多いです。

RPGには重厚なシナリオがついてて当たり前と思っている人も多いですが、全世界的には実はそんなことは特にありません。
というより、RPGがシナリオがないと売れないのは日本特有の市場構造で、世界的にはゲームシナリオはめちゃくちゃ雑なものもそれなりに多いです。
たとえば、世界的に大流行したRPGのサブジャンルにローグライクというのがあるんですが、(最近のは分かんないけど)ブーム全盛期のシナリオはだいたいこんなもん。

あなたは地下を探索し、地下で死ぬことが運命づけられています。
さぁ、進みなさい。

いじょ。
オワリ。
ライバルも裏切りも国家転覆も、それどころかラブラブ要素すら一切なし。
ただそこにアビスがあるだけ!!

にもかかわらず、ゲーム自体は何十・何百時間ととても長く楽しめるようになってるし、世界的にも爆発的ヒットを飛ばしました。(もっとも当時のローグライクの大部分は無償アプリだったんですけどね)
対して日本市場では割としっかりしたシナリオがないとゲームは売れないことが世界的に有名で、それゆえに実は相互ローカライズにも問題を引き起こしており、正直日本のRPGはガラパゴス化している状況です。

それゆえに、最初から世界市場を意識したような大作RPGなんかは、シナリオをなぞるだけでは全然遊んだことにならないものが多いんです。

2. シナリオを追いかけるだけの人はRPGを全然楽しんでない

「いやいや、でも楽しみ方なんてプレイヤーの勝手だし、シナリオだけ楽しんだって別にいいでしょ?」

無論、そう言いたくなる人はいるでしょう。
もちろんそれ自体は別に構いません。個人の自由です。

でもさ?
シナリオだけ楽しむってことは、シナリオ以外の部分は仕方なくやってるってことじゃん?
ストーリーをクリアした瞬間にしか達成感ないし、それ以外の時間はずっと苦しいはず。

事実、経験値稼ぎをしている時間がたまらなくツマラナイって人、多いですよね。
そういう時間も含めてずっと楽しみ続けられる遊び方があるのに、そっちじゃなくてホントにいいの?
ってこと。

もっとも、とは言えかくいう僕だって、実は昔はシナリオをなぞる遊び方しかできませんでした。
RPGというゲームは、だいたいカジノだとかアイテム集めみたいなサブ要素が盛り込まれていますが、僕はそうした要素で遊ぶことができなかったんです。
遊びたくても、どうしてもできませんでした。

だって世界の危機が迫ってるのに、それどころじゃないじゃないですか!

つまりは、ゲームの主人公に過度に感情移入しすぎだったわけです。
そんな遊び方が製作者の意図通りだとすれば、そもそもRPGの途中にカジノとか出てくること自体が変ってことになります。
ですのでゲームの製作者としては確実に、主人公に過度に感情移入する遊び方を意図はしていないはずなのです。

もちろん、シナリオをそっちのけにする人達が製作者の意図をみんな理解してるかってぇと、それは絶対違うと思いますし、最初からシナリオ完全ガン無視ってのもそれはそれでなんかヤな感じはします。
でも、シナリオしか楽しんでくれない人と、シナリオを完全に無視する人。
メーカーにとってどっちがいいかってぇと、すぐ飽きられるくらいなら、シナリオを無視してもらった方が彼らは嬉しいんです。
(もちろん一番いいのは、シナリオもサブ要素もバランスよく楽しんでくれる人でしょうけど、両極端の人しかいなければどっちがマシかってこと)

3. 本当の目的はパッケージには書かれていない

通常多くの場合、ただシナリオを追いかけるだけではゲームは成立しません。
ですから、もしシナリオを追いかけるだけでいいのなら、ゲームじゃなくて映画とか見た方がいいです。
そういう人はゲームには向いてません。
プレイする手間もないし、がんばらなくていいですからね。

そういうわけで、多くのRPGは『ロール(役割)』を『プレイする』ゲームになっていないわけです。

ロール(役割)をプレイすることが目的のゲームという意味では、RPGよりもむしろノベルゲームの方がよりRPGに近いでしょう。
ですが実際にはノベルゲームですら周回プレイを前提としているものが多く、“シナリオを1回なぞって終わり” のケースは非常に珍しいです。
というよりほぼありえません。

つまり、“ロールをプレイする” という行為それ自体、ゲームとしてやることじゃないんですよ。ぶっちゃけね。
だから多くのRPGは、実際にはロールをプレイさせるんじゃなく、シナリオそっちのけで宝探しをした方が楽しめる仕様になってるんです。

なぜなら製作者サイドとしては、長く楽しんでもらいたいからです。
長く楽しんでもらうという目的のために、シナリオは無視した方が楽しめるようにあえて作られているんです。
ゲームの目的通りにちゃんと遊んだからこそ、もうすぐ終わりだと意識するとクリアの喜びよりも寂しさが先立つんです。

とまぁ、こういう話をすると、「だったら公式サイトにそう書いてくれよ」あるいは「そもそもRPGなんて名乗らないでくれ!」と思う人もいるかもしれません。
でもそれは無意味です。

なぜなら、“RPGはシナリオ性が薄い方が売れる” ことは、もはやゲーム業界全体の常識だからです。
日本の多くのゲームメーカーは、シナリオがないと売れないけど、話が濃すぎるとすぐ飽きられる、という日本特有の事情に苦慮した挙句、あるようでない空気のようなシナリオを作り出す技術を発達させました。
シナリオを重視しすぎると、ゲームはプレイ時間が短くなりすぎて “ゲームとして成立しなく” なるからです。

ぶっちゃけかなり離れ業です。
ポケモンなんかは、その技術の集大成といえるかもですね。

ゲームメーカーにとってRPGという言葉は辞書通りの意味ではなく、宝探しゲームのことを指す言葉なのはもはや常識で、そんなのいちいち言うことじゃないんですよね。
だから “このゲームはシナリオそっちのけで遊べます” なんて、書く意味は全くないんです。

4. 本当の目的は自分で探すしかない

ですからどんなゲームでも、メーカーが用意した本当の楽しみ方は、自分で探すしかないんです。
もちろん全てのRPGが宝探しゲームになってるかってぇと、別にそんなことはありません。
謎を解き明かすゲーム、敵をまんまと罠にハメるゲームなどなど、ジャンル欄にはRPGと書かれていても、必ずしも遊び方まで同じわけではなく、様々なメーカーさんが様々な遊び方を用意しています。

それを理解したうえで遊んだ方が絶対に楽しいに決まってるんですけど、にもかかわらずそれは隠されていて、自分で気づくしかないんです。

もしそのことを意地悪だと思うなら、それは “他人の目的を察する力” が弱いからかもしれません。

そもそも人間は、人類全員が1人1人、生きる目的を持っています。
生きる目的が無意識的な人はいても、目的がそもそも物理的にない人なんていないんです。

だからこそ、周りの人達の目的を察する力の強い人の方が、人間関係を上手に作っていけるわけです。

それはゲームも同じ。
ゲームメーカーにだってゲームを作った目的ってものがあります。
(それは金儲けを目的に製品を作る、ってのとはステージの違う話です)

でもだからって目的を明示的に公表してるとは限らないし、そんなの聞かれたって答えられない人の方が多いのは、ゲームメーカーも人も同じ。
それゆえに人は、他人の目的を察する力を日々鍛えていかないといけないのです。

その方が色んなことが楽しめるし、逆にできないとゲームをちゃんと楽しむことができないばかりか、人としてコミュニティで一員になっていくこともできないからです。
そういった意味では、ラスダン手前でやる気がなくなる人を否定的に捉えるのは、結構深刻な問題なのです。

ではまた次回。

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ここまでお読みいただきありがとうございました。
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