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休職中にしたこと:やりたかったことよりもにじみ出た衝動

休職診断書が出た頃

12月上旬に診断書が出て、当日から休職ということなった。
仕事はその2週間前から午前休、あるいは早退、自宅テレワーク、有休などを利用しながらでないと進められなくなっていて、
緊急性の高い案件のみ短時間で対応する日々だった。
症状としては、
・朝起床できない(目は覚めるが全身がだるくて起き上がることができない)。
・腹痛(妊娠に伴う症状を疑ったが、特に炎症なし)。
・昼頃起き上がっても倦怠感があり、支度をするのも時間がかかる。
・化粧をするのが苦痛で仕方ない。
・着ていく服を選べない。
・仕事に集中できない。
・午後~夕方に片頭痛(痛み止め常用)。
・寝る前に憂鬱さが最高潮になり泣く。
・眠りが浅く、夜中何度も目が覚める。
などがあった。改めて振り返るとなかなかキている編隊である。
メンタルクリニックでは、朝起きられないことと眠りが浅いこと、仕事に集中できないことあたりしか伝えていないが、休職の診断をもらっている。
このあたりの症状が出ている方には、メンタルクリニックの受診をお勧めする。
休むと全部解消するよ。本当に。

お休み開始

メールとエクセルでの引継ぎを2日で済ませた。(そんなふんわりした方法と内容で受け止めてくれた上司に感謝している。)
最初の2週間はぼんやりしていることが多かった。寝たかったのもあるし、何かをしたいという気力があまり湧かなかった。
数年前から気が向いた時だけ日記を書いていて、休職数日後から再開したが、5日で終わった。
日記では、気持ちが折れてしまった原因を考察していた。目上の人に好かれたがる性格が災いしたとか、改善策を提案できなかったとか。こんなことばかり書いていては、続かないだろうよ。
4ヶ月手入れできていなかった髪をどうにかするために美容室に行ったり、必要にかられて産前ブラを買いに行ったり、外出もしたのはしたが、
出かけた翌日翌々日は起き上がれず、睡眠時間が増えた。

そういえば髪は「仕事を連想しないスタイル」をオーダーした。
これまでは、女性営業という立場、さらに顧客が堅実な業界ということもあって、「お堅い人からも仕事ができそうに見える髪型」や「舐められないクールさ」を求めて、ワンレンストレートボブに落ち着くことがほとんどだった。
元々きつめの顔をしているのでそれがよく似合うから好んでいたという理由もあるが、
今回はもう、ふぅっと肩の力が抜けるような髪型にしたかった。
あてなく伸びていたので少し切って、ほとんど梳かずに大きめのパーマをかけてもらった。毛量がまあまああるので、ぼわんとしたカジュアルな印象になった。満足している。

ぼんやりしていた休職開始後は、スマホゲームをたくさんプレイした。
ホール.io
東京ツクール
GO!GO!ネコホッピング
Tornado.io
MergePlane
2フォー2
ピタゴラン
ツクレール
一番やりこんだのはTornado.ioだ。街を竜巻で巻き上げていくゲームで、塊魂の竜巻版と思ってもらったらいい。気持ちがいい。
持っている最新ハードがニンテンドーDSなのでゲーマーとは名乗らないが、ゲーム自体は好きで、今年に入ってFF10のすべてを超えしものを初めて倒したりしていた。スマホゲームはマインスイーパとナンプレを風呂に浸かりながらやっていたくらいだった。

俺、ゲーム(マインスイーパ)がなきゃ死んでたよ。鬱で辛い時に延々とやって過ごしてたからな…ゲームをやってる時だけはヤバイことを考えなくて済んだ。ゲームが人命を救うこともあるって知らんのだろうな…

この記事についたはてなブックマークコメントに促されるような心持ちで、ゲームをダウンロードした。
日がな一日、外が暗くなっても電気ひとつつけずにゲームをしていたその時は、あぁ今日もなんにも生み出せず無為に過ごしてしまったとは、やはり思った。
今振り返って、延々とスマホゲームをやって過ごしていてよかった。
「自分の時間に対する決定権を取り戻したから」みたいなかっこいい理由も考えたが、
私にとっては、とにかくいい気分転換になった。
1日8時間プレイする日々が続いて、毎日こうして2ヶ月の休職期間が終わることもあるのかな、と思っていたりもしたが、次第に別の興味や意欲が湧いていった。
再生するための大切な一歩になってくれていたと思う。

3週間目。物欲の登場

休職開始数日後の日記に「休みの期間にやりたいことを書き出そう」と書いた。
実際にやりたいことを紙に羅列したのは3週間経った頃だったけど、書き出す前、夫に話していた私のしたいことは「本を読む」と「動物園や美術館に行く」だった。
ところが、スマホゲームの次に具体的に行動したのは、服の購入だった。
妊娠が進みお腹が膨らんできて、これまで履いていたボトムが一切履けなくなっていたのと、仕事着でない服が欲しくなったのだ。
仕事へは、これもまた似合うので、シンプルVネックニットとアンクル丈パンツといういわゆるオフィスカジュアルを着ていっていたが、
うんとカジュアルな服を着ようと思い、ロングニットワンピースとロングパーカーワンピース、シャツワンピースをzozoで購入した。
人生でいちばんワンピースを買ったタイミングだったかもしれない(なにせ妊婦の体型には楽なのだ)。
営業になってからは特に仕事で着られるかどうかを洋服購入の決め手にしていたので、
出てくるお腹に合わせるという制約はあっても、自分が好きな服を選んで着ることは少し新鮮なよろこびがあった。

続いて出てきたのは、美容に関する物欲だった。
休職して化粧する機会は減ったが、それでもやはり億劫で、しかも鏡で見る自分の顔色は悪い上に覇気がなく、さらに落ち込んだ。
ちょうど化粧水や化粧下地、コンシーラーなどを使い切るタイミングが重なり、
悪い顔色をどうにかできる化粧品を探してみることにした。調べる時間は山ほどあるのだし。
アットコスメ、美的、voce他、口コミやランキングサイトなどを巡ってはスクショして比較したり、Twitterでおすすめを教えてもらったりして、新しい化粧品を手に入れた。
このひとつ、コンシーラーがもう抜群によく、死霊のようなクマを消してくれるので化粧をすることがすっかり楽しくなった。
休んで1ヶ月経つ頃で、1日10時間寝る生活のおかげで顔色も改善し肌つやもよくなっていたこともかなり大きいと思う。美容は健康の上に成り立つのだとも実感した。

元気になるなか真っ先に欲しがるなんて、洋服や化粧品が好きだったのか、と問われると、洋服については人並み、化粧品についてはおそらく人並み以下の興味関心という回答になる。
…「人並み」をどう定義するか難しいが、今回買い替えたコンシーラーは前回買ったのが2016年初めだとか(それを3年使った)、ファンデーションのつもりで使っていたものが化粧下地(ファンデーションの下に塗るもの。つまりファンデーションは未使用)だったと、見直してようやく気付くレベルだ。
美容はある種の沼なので、私が足を突っ込む対象ではないと冷静に距離を置いているつもりでもある(美容ずぼらの大義名分)。
でも、洋服も化粧品も、私が好きな私になるためには欠かせないアイテムだった。
即物的だし、衝動買いは自傷行為に近いという説も最近読んだから、洋服や化粧品の購入が本質的に体制を立て直すための好手だったかはわからないけれど、
今の私にとって、満足感のある物々を身に纏うことは、瑞々しく生きるために必要なことだとは断言したい。普段あまり断言しないけどしたい。
髪にせよ、私は多分、見た目にこだわりがあるんだ。そこを大切にできる時間・心境・環境がやっと整った。
結果、友人に会うとか母親学級に出かけるとか、外に出かける用事を作って楽しく過ごせている。ハッピー。
生きる意欲がわかない日もなくなってはいないが、それで自己嫌悪に陥ることはもうほとんどない。

さて、休みに入ってすぐから口にしていた「本を読む」も「動物園や美術館に行く」も、実のところまだ実行できてない。ちょっと面白い。
自分を元気にしてくれるのはやりたいと口に出したものではなく、
にじみ出た衝動だったりするのかもしれない。長い休みの中では。
積ん読がたまっているしどんどん増えるし、平日は空いているであろう美術館博物館動物園水族館にもやっぱり行きたいので、
引き続き再生のためにせっせと休職だ。

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