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本質思考のまとめのまとめ

#思考法 #まとめ

デザイン思考とかラテラルシンキングとか「〜思考」や「〜シンキング」にも色々ありますが、それらの多くが特定の思考体系やメソドロジーのことを指します。ここで紹介するのは「本質思考」と呼ばれるもので、ある種近代的な個人の生き方についてのエッセンスをうまくまとめたものだと思います。というわけで今回はGreg Mckeown氏の著書のまとめになります。

(以下まとめ)

Essential thinking『エッセンシャル思考ー最小の時間で成果を最大にする』 

エッセンシャル思考とは、人生という有限の時間において、人の持つ資源を最も効果的に分配し、最小の時間で最大の成果を挙げる為の思考法として確立されたものである。

筆者はエッセンシャル思考には3つのステップがあるとしている。それは「見極める」「捨てる」「仕組み化する」ということ。これらは円環の関係にあって、一度機能し始めるとどんどんスムーズにできるようになる。裏を返せば最初に最も覚悟と決断を迫られるということである。

筆者はこれらのステップが現実において効果を発揮するためには以下を前提条件として認識せねばならないと主張している。

-人の持ちうる最大にして本質的な資本は自分自身でありその心身の健康である
-従って人生の時間とエネルギーの使い道はその本人が選択するものである。だからこそ、そこに発生するトレードオフを引き受ける必要がある
-世の中の大半のことはその人の本質的な目標や幸せにとって不必要である、逆に本質的で必要なことはごく少数である。ではどのようにして多数の瑣末から少数の本質を選択し、実行していけば良いのか。

「見極める」
このステップは"睡眠"や"遊び"、"休息"によって「自分自身という資産」を守ることから始まる。"じっくり考える時間"と、"厳密な基準に基づいた選択"はそれらの上に初めて可能となる。

「見極める」ことは沢山の選択肢のなかから本質的なことを「最も厳しく、そして正しい基準」で決めるということである。言い換えると「これしかない」と思えることを選ぶということだ。これはエッセンシャル思考の第一歩だと筆者は主張する。そのためには「90点以下」の選択肢は全て不合格とするような厳しく明確な基準が必要である。

「捨てる」
「絶対にやりたい」という選択肢が決まれば「やらなくていいこと」を捨てる必要がある。そしていくつかの捨てる(ノーという)技術を使えば拒絶はむしろ賞賛や敬意の対象となる。仕事や人生のブレークスルーはこの不要なものを切り捨てることから始まるのである。

では不要か必要かどのように判断すればいいのか。それには本質的な目標を定めることが重要である。本質目標とは、具体的で魅力的、大きくて意味があり、そして測定可能な目標である。そしてそれはとことん完全に明確である必要がある。これを定めることにより以降日々発生する数えきれない判断は全て不要になる。 そして特に捨てることが難しい物事については以下のように考えることが有用である。

-現在すでに途中、あるいは所持しているものを捨てる
もしそれを所持していないとして、もう一度お金を払ってそれを買うか?
それがもし自分の生活になかったら、何か不都合が起きるか?
もしも答えがノーならそれは本質目標から外れているということである。
-自分と他人の境界線をはっきりと引く
その行動によって最終的な責任を引き受けるのはだれか?
他人の問題は横取りしない、本人が解決すべき問題は本人に解決させるべきである。それが本人のためでありあなたのためである。

仕組み化する
これまで見てきた「見極める」と「捨てる」が一通り終わればそれを「仕組み化」することで根性や無駄な努力に頼ることなく継続して、成果を短時間で出し続けることができるようになる。まずは以下のことを意識することが重要である。

-バッファーを設ける。仕事において理想的な条件が揃うという前提を捨て、1.5倍の余裕をみる。準備と計画に全力を注ぐ。
-ものごとがうまく運ばない時は、目標を明確化し、最大の問題点(ボトルネック)を特定しそれだけに手を打つ。沢山のことに対処的に手を打っても効果はでない。
-小さく早く、最小限の成果を積み重ねモチベーションをコントロールする。

これらが無意識的に日々の仕事の中でできるようになった時、その仕組みによって節約された脳の容量は全く別のより重要な目標へと集中することができる。そしてこれを真に仕組み化するためには、「習慣」について知る必要がある。

-習慣とは「トリガー」によって引き起こされる「行動(思考や感情を含む)」
そしてそれを繰り返したくなる「報酬」がある。これらが同じパターンとして反復されることで習慣となっていく。そこで習慣を改善ために注目すべきはトリガーである。トリガーを別の有益な行動に結びつければ新しい習慣といて身についていく。

最後に筆者は未来を頭に抱えず、今ここに集中することの大切さを説いている。人は複数のことを同時にこなせても、一つのことにしか集中できない

つまり常に物事に優先順位をつけ、集中の対象を選択する必要がある。エッセンシャル思考が自分の中心に据えられ、習慣が自己の性質となった時、真に本質を知り、本質を生きることが可能になると筆者は主張している。


野村のまとめ
エッセンシャル思考とは個々人の人生において、幸せの根源である"安らぎ"と"達成感"を同時に持ち続ける為の思考法をまとめたものであると思う。端的には、選択の自由を取り戻し、自己と他者の境界線を明確にした上で、健全な心身と思考を以って仕事に臨む、ということを説いている。これはある種近代的な「個人と社会」の考え方に則ったものであり、個人の中に「近代的個人」を打ち立てる教科書のようなものである。

他者との関わり方や生き方そのものが多様化する現代においてこの思考法を無批判に取り入れることの是非はともかくとして、僕は人間関係や人生の進路で悩んだ時に一度「個人」に立ち返る1つのアプローチではあると思う。

他の人の意見も聞きたいので、コメント等あれば是非。

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