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2022年度版、私的アンビエントミュージック定義について

2022年、無職になって半年以上経った時に、私は本格的なアンビエントミュージックの制作に着手しました。初夏辺りから夏が終わるまでに3枚のアンビエントミュージックのアルバムを作り、ネットに発表しました。その内の「オートマティスムの朝焼け」という2曲は、とある音楽コンテストで入選になり、一部の参加者の方達から高い評価を得ることが出来ました。

「オートマティスムの朝焼け」は私が撮影した写真を元にして作曲しました。夏の河川敷の朝焼けの写真です。この時の感覚、環境、空間、空気感、時間などを音楽で再現することを目標にしました。

「オートマティスムの朝焼け」のジャケットにも使用した写真

早朝、目が覚めて、河川敷まで散歩に出掛けて、朝焼けの景色が広がる。これは私の私小説でもあるかも知れません。だから「オートマティスムの朝焼け」の出だしはピアノの短音で始まります。夢から覚めて、次第に現実の夢のような景色、世界へと向かっていく心象描写、時間的推移、空間世界をピアノだけで表現することを目指しました。
私にとってアンビエントミュージックを作ることはだいたい極私的なモチーフで、私が聴きながら眠れる音楽を作っています。この「眠れる音楽」は私だけかも知れません。何故ならば、私の深層心理が反映されているはずで、この心象風景が人様にとって心地いいか分からないからです。実際、どちらかと言えば、アンビエントミュージックに馴染みのない人達からは概ね不評なのではないか、と捉えています。ポップでもなく、明るくもなく、意図的に低音や不協和音を入れたりもしています。私にとって、心地のいい音だけではなく、不気味な音、ノイズ、不協和音も自然な音であり、「環境音」であり、さらには、私の心に耳を澄ませれば聴こえてくるであろう音なのだろう、と私は思います。

簡単に、現時点でアンビエントミュージックを定義してみます。サンプリング、そしてフィールドレコーディングというものがあり、アンビエントミュージックには録音した生音を加工したり、時にはそのまま使って制作することが常套手段です。何故ならば、アンビエントミュージックとは「環境音楽」で、環境には環境音が必ずついて回るからだと私は捉えています。まず環境とは何か、ということをはっきりさせることがアンビエントミュージックを定義する上で肝要なのではないでしょうか。
ここで私は環境の定義まで追求しようとは思っていません。それは各々の考え方、定義にお任せすることにして、曲の主役を何にするかで、かなり変わってくるだろう、と。例えば、ボーカルを主役だと制作側が定義した曲は、人が主役になり、抒情的、エモさが前面に出てくるはずです。つまり、人の心がテーマになるでしょう。あるいはドラマ(出来事)からの心情の吐露。例えばジャズは街、都会を主役にしている(群像劇?)と言えるかも知れません。ではアンビエントミュージックは何を主役にして、音楽を通じて何を表現しようとしているのか、自分で考えてみることで、分かってくるものがあると私は考えています。

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