見出し画像

ハネムーンでアウシュヴィッツ強制収容所に行った話「なぜその選択を?」

 多分ハネムーンで訪れる場所ではないでしょう。でも、私も夫も「訪れる価値のある場所」だと思ったので、夫婦初めての海外旅行で行くことにしました。

 私が初めてアウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所(現在の正式名称は、アウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館。負の遺産として、世界遺産に登録)について知ったのは、小学三年生の時でした。実家から車で40分ほど離れた場所で開催されたアウシュヴィッツ特別展に、母に連れられて行きました。まだ子どもでしたが、大量に置かれた眼鏡や靴の写真を見て、どれだけの人が亡くなったことかと衝撃を受け、ガス室の記述に胸が痛くなったことを覚えています。「なぜこんなにたくさんの一般人が殺されなければならなかったのか?」抗えない死に対して、恐怖を覚えました。

 その後「アンネフランクの日記」を読んで、自分と自分の家族だったら?と想像するようになります。何度も夢に見ました。

「あ、誰か来た。見つかったら大変なことになるから、階段下の収納スペースに隠れないと」息をひそめてじっとしていると、すぐそばの廊下を靴のままコツコツと歩く足音が聞こえます。「見つかりませんように」心から祈ります。コツコツコツコツ。足音はまだ続きます。「早くでていって」また祈ります。コツコツコツコツ。やっと足音が少しずつ遠くなります。ほっとして、小さなため息がでます。

 不思議なことに、この夢の中では、私はアンネくらいの少女なのですが、いつも一人ぼっちで隠れます。(大人になっても年に1回くらいずつ夢を見ますが、やはり夢の中では少女なのです)夢を見ているうちに、家族と離れ離れになる気持ちや、自由にならない生活、収容所で死を待つ日々に思いをはせるようになりました。年齢が上がっていくにつれ、歴史を学び、様々な文献を読み、アウシュヴィッツ強制収容所に行きたいと強く思うようになりました。 

 夫と結婚することが決まり、ハネムーンの計画を立てる中で、どこに行くか考えました。私が30カ国程、夫も15カ国程行っていたので、せっかくのハネムーンは二人が初めて行く国が良いねということで、東欧・中欧に決まりました。「東欧・中欧に行くのなら、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所に行きたい」とドキドキしながら提案すると、夫が快諾してくれ、ハネムーンで行くことが決まりました。結果として、私も夫もハネムーンの中で一番印象に残っている場所になりました。

to be continued…

 (余談になりますが、12月初めに結婚式、クリスマス頃からハネムーンだったため、自分たちで計画する個人旅行ではなく、10日程のツアー旅行にしました。もう一組ハネムーンカップルがいて、驚きました。)

https://www.auschwitz.org/en/japanese/


この記事が参加している募集

一度は行きたいあの場所

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?