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ボクシング練習も思考が必要


今回はマスボクシングやスパーリング。選手は実戦練習中に何を考えているのかを解説します。
練習の段階で、すでに初心者とトップ選手の間に大きな違いがあります。

この流れの思考で練習しよう

基本的には
目的→現状把握→目的達成手段の選考→実行
このサイクルを繰り返します。

スパーリングや試合で、なかなかパンチが当たらないな~、距離感がなかなかつかめないな~と思っている人の思考と意識

  • とりあえず近づこう

  • 速いワンツーを打とう!速ければ良いはずだ!(なんとなく)

  • フェイントから左フックを打てば当たるかも(なんとなく)

  • アッパーを打てば良いらしい(なぜかはよくわからない)

  • ずっと動かないといけない気がする

  • なんとなく回ろう

  • よくわからないが頭を振ったほうが良いらしい


練習で成果を出して試合で勝てる人の思考と意識

  • このタイミングで相手のガードのこの位置に隙ができる。だからこのタイミングで、この軌道から隙を狙って相手のアゴに右拳を当てよう

  • 相手のこのガードの隙間の軌道から側頭部に左拳をひっかけて相手の頭を回そう

  • 相手はガードの隙間が大きいので、隙間を通すジャブを狙える距離とポジションに回りこもう

  • 相手の右ストレートの軌道が、自分のガードの隙間から通りそうなので、その軌道を変えるために動こう

  • 相手のジャブのタイミングに合わせて踏み込みたいので、そのタイミングに合わせて頭を振ろう。

目的→現状把握→目的達成手段の選考→実行

目的
ちなみに試合で勝つことが目的となりますが、スパーリング練習の目的は勝つことではありません。〇〇を身に付ける。これが目的となります。
スパーリング練習で、目先の勝利に囚われて何も収獲が無ければ練習の意味がありません。目先の快楽に浸れるだけです。
この手の人はスパーリング練習で勝って、肝心の試合で負ける可能性が高くなります。

現状把握
相手の観察や洞察が現状把握になります。リングと自分と相手とのポジショニングの関係性を理解するのも現状把握ですね。

目的達成の手段の選考

現状に対する目的達成の手段がボクシング戦術となります。テクニックのことです。

実行
そのまま。上記を実行する。

これらを繰り返してるうちに思考する能力をスパーリング練習で身に付けます。試合中は深く思考している時間はありません。
練習中や練習前後に思考できるかが試合に大きく影響します。

現状を把握する能力を身に着けずに、小手先のテクニックを覚えても使うタイミングがわからない。現状把握能力を身に着けても戦術(テクニック)に乏しければ解決できない。
どうでしょう?ボクサー(もしくはトレーナーが担う)は、みんなが思っている以上に明確な考えで練習しています。何となく、明確な目的のない練習や動きは一つもありません。

何となくワン・ツーの後ダッキングからカウンターのテクニックだ!
この考え方を例えるなら、何となく北に向かって車(テクニック)に、電車(テクニック)に、飛行機(テクニック)に乗りさえすれば!どこか楽しい場所にすぐに簡単に行けるはずだ!といった漠然とした行動をしてるだけになります。

近所のコンビニに行くのに飛行機に乗ったりしません。
初心者や初級者の頃は、テクニックに憧れるので近所のコンビニに行くのに飛行機(テクニック)に乗ろうとする人が多いんです。本当に驚くほど多い。
圧倒的に無駄な行動なのがわかりますよね。

距離感


これも何となく動いている人が多く、方向だけの思考で地図の現在地と目的地(座標位置)を明確にしていません。なので距離感がわからないといった問題が出てきます。

※視覚のフォーカスの絞りと脳の関係も原因の1つであるのですが、これはまたYouTubeメンバーシップ動画で話します。

選手は自分の右顎横にある右拳を、この軌道(ルート)で相手のアゴに着弾させる。といった感じで車のナビのように現在地と目的地を明確化してルート検索をします。すると勝手にそれに必要な距離とポジションまで移動するはずです。
初心者や初級者の頃は、相手のグローブだけに集中する人がいます。車のナビでコンビニマークのみ集中して見る人はいないはず。自分の車のマークだけ集中して見る人もいないはず。
地図全体を見るはずです。ボクシングもこれと同じです。


なぜあの人は強くなっていくんだろう?才能の差かな?自分には才能がないのかな?
いいえ、思考方法と意識の差です。

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