少子化対策に思う

岸田政権は異次元の少子化対策として、

1.児童手当など経済的支援の強化
2.学童保育や病児保育、産後ケアなどの支援拡充
3.働き方改革の推進
を柱として推進して行く様である。

これはこれで是非進めていただきたいが、個人的にはもう少し別の視点も踏まえていただきたいと思う。

1.幼児保育態勢の強化
高校無償化になるから子育てをしようと思う家庭ばかりとは当然思えない。それより前にあるハードルを下げる必要もあると思う。
保育士の待遇は劣悪である。保育士の資格を持ちながら、保育士として働いていない人は相当数存在する。

幼児1人あたりの保育士の数は足りていない。激務で給与水準も低い。まずは安心して子供を預けることができる態勢の強化が必要だと思う。それが共働きの下支えとなる。

保育士の待遇を早急に改善すべきである。子供を受け入れる側の支援拡充なくして、家庭側に経済支援をしても片手落ちである。

パート保育士の所得税の優遇をするのも一法である。

2.初等教育従事者のレベルアップと待遇改善

東大卒の人が素晴らしい教育者になる保証は何もない。しかし実際、公立小学校の教諭で東大卒の人がどれほどいるのでしょう?
小学校の教員も激務です。待遇を改善し優秀な人材を初等教育の場に増やす対策をしていただきたい。

3.30年計画で考える
今の子供達が、親世代になった時を見据えてしっかりとした人格、道徳教育を長いスパンで今からしていただきたい。
モンスターペアレントだけではないが、親として如何なものか?という人を良く見かける。
教育は学校だけで行う訳ではない。家庭教育も極めて大切である。現在は負のスパイラルになっている気がする。乱暴な言い方をするならば、まともな家庭教育を受けてこなかった人に、自分の子供にまともな家庭教育を期待するのは酷である。このスパイラルを断ち切る為の政策の実行を期待したい。

4.中学受験ブーム
少子化の一方で空前の中学受験ブームになっているのは何故か?を良く考えて欲しい。
公立小学校に期待しない家庭が増えたからであると思う。良い大学に行かせる為に中学受験をさせる家庭も多いが、それだけではない。
東大合格者数が昔と比べ激減している某中高一貫校は偏差値が一時下がったが、近時東大合格者数は微減の状況にもかかわらず、偏差値が上昇している。確かにその某高校は個性的な魅力ある教育を変わらず実践していると思う。偏差値だけで測るのは如何なものか?ということはわかっているが、親の立場からも魅力のある教育を提供する公立学校を増やす為にも、優秀でやる気のある教員を増やす為に、まずは公立学校の教員の待遇改善を図っていただきたい。

5.高等学校実質無償化の意味
高校で学びたくても経済的に難しい家庭のお子様が学びの場に進学するのは誠に結構です。

しかし、所謂進学実績の良い高校の無償化が実現しても結局のところ中学迄に塾に通って勉強をしている生徒が合格する構図はあまり変わらない。

私の時代の40年位前に比べれば、良い参考書が沢山出ているので、塾に通わなくても自分の努力次第で道が開ける可能性は大きくなってはいると思う一方で、その参考書は塾に通っている子供も手に入れることが出来るので、やはり厳しさは余り変わらないかも知れない。

無償化にしただけでは、元より経済的に余裕のある家庭に一層余裕が生まれるだけの様な気がする。

6.高校の授業
何かの記事で見ましたが「SAPIXが終わって、気がついたら鉄緑会。終わりは始まり」。

悲しいですね。

先取り学習は良いのですが、授業中は塾の宿題の所謂内職ばかりしている生徒が沢山。進学校の実態は結構こんな感じが多いと思います。

これでは内職をする為に無償化する様なもの。何か違ってますよね。主体性、多様性、他者との協働なんて理念が上滑りしてます。

7.大学の意義
大学の英語の授業でbe動詞の授業をしてもダメとは言いませんが、それってどうなんでしょう?

少子化の進行と反比例して大学の数はこの30年で大幅増。大学経営の為には生徒の確保が必要なのでしょうが、やっぱり大学の数は多すぎますよね。

NHKでニュー試と言う番組が今新シリーズで放映されてますが、海外の大学の入試問題があまりに日本のそれと違う事にいつも驚かされます。番組の構成上、面白い問題を集めている部分もあるでしょうが、それにしても全然違います。

授業中内職をして解法暗記をしている様な日本の優等生君たちは、海外の大学の入試問題でどんなことを書くのでしょうか?とても興味があります。

日本は所謂良い大学に入れば、所謂良い会社に就職できるチケットを手に入れたも同然とばかりに、大学に入ることが目的化して、大学時代はろくに勉強なんてしない輩が沢山います。

暗記中心の入試問題をやめ、大学でしっかり勉強させ、卒業を難しくする。昔から言われていることだが、すぐにでも始めていただきたい、
その結果、留年者が増え、退学者が増え、入学者数、学生数が減少して経営が立ち行かなくなる大学が出ても仕方がない。自然の摂理の様なものである。

同時に給付型奨学金制度の異次元の拡充をお願いしたい。もちろん一定のレベルを満たした学生に対してである。一定レベルに達している学生に加えて、伸びが著しい学生も対象とした奨学金である。レベルを図るためには共通テスト大学生版の様な試験を課せばよい。

8.財源
キャッシュフローに対して課税する仕組みを検討願いたい。

特にオーナー中小企業に対する法人個人合算キャッシュフローに対して課税する仕組みを検討願いたい。恐らく税理士サイドからの反発はあろうが、当社は赤字企業です、と言いながら高級車に乗っている会社オーナーや、私は年収が少ないと言っている会社オーナーの子供が給付型の奨学金をもらって遊び歩いているのを見ると理不尽を感じざるを得ない。

9.最後に
心に浮かんだことをアトランダムに書いたが、とにかく一刻の猶予もないのは事実である。走りながら考えるスタンスで、与野党のくだらない争いは一旦停止して、できることからすぐに実施していただきたい。このままではダメになる。あるいはひょっとすると手遅れかもしれない。

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