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スピーチの原稿(5)死ぬまでにやりたい100のリスト

 みなさんの死ぬまでにやりたいことって何ですか。

 これだけやればいつ死んでもいいと思えることって何ですか。

 ありますよね。いくつありますか? ひとつ、ふたつ…それだけ?

 そんなわけないですよね…10、20、30、えっ、それ以上ですって! 

 みなさん、ちょっと欲張りですね。でも安心してください。私はもっと欲張りでした。とういのも、私は100個のやりたいことがあるんです。

 今年(2005年)の最初に、プレジデントという経営雑誌で面白い記事を見つけました。JWAVEのナビゲーターをしているリチャード・ハリスさんが書いた記事で、死ぬまでにやりたい100の項目の目標をあげることを薦めていらっしゃいます。できるかどうかなんて考えない、自分の希望、願望、欲望だけでいいからまず書いてみる。

「面白そうだな!」って思いました。そこで、さっそく100の項目のリストを作成しました。10個、20個、30個、うん? 30個ぐらい書いたところで止まってしまいました。えっ、私が死ぬまでにやりたいことって、たった30個ぐらいなの。

 でも、がんばりましたよ。そのあと、1週間ぐらいかけて作成しました。私が死ぬまでにやりたい100項目のリストです。

 そこで、今日みんなにぜひお勧めします。

 死ぬまでにやりたい100個の目標リストを作成してください。

 なぜなら、100個の項目をあげることで、残りの人生の目標がはっきりとするからです。100個の目標をあげようとすると、曖昧な目標でなく具体的になります。でないとそんなに目標ができないんです。お金持ちになりたい、ではなくて、2005年、12月末には、3億円を得る、2006年、1月末日に2億円得る、そして2006年の7月31日には、2億円得る、なんて具体的に考えるわけです。これで三つですね。

 買った宝くじが全て当たったらという想定ですが…みなさん、目標というものは具体的であればあるほど、具体的なアクションをとることができます。すべての目標に締め切りをつけると、それは私の人生の計画書です。そして、もし、もしですよ、この項目が全て実現されていくと、私の人生の成功プロジェクトへの設計図になるのです。

 では、どのような目標を私が作成したのかを三つばかり紹介します。

 最初に、2020年までに実現したい目標です。それは…ネスカフェーゴールドブレンドのCMに出ることです。例えば、「プロフェッショナルスピーカー、大嶋友秀、違いがわかる男のブレンド、ネスカフェゴールドブレンド」だばだー、だばだー、だー♪ かっこいいですよ。絶対に出たいです。でも、成功しないと出ることはできませんからがんばりますよ。ただ、ひとつ心配していることがあるんです。2020年まで、このネスカフェゴールドブレンドのCMがあるだろうかって。

 二つ目としては、2007年までに実現したい目標です。それは、クロールで1時間ずっと泳げるようになることです。実は私泳げないんです。嘘だろう、って思っていません。おまえなら簡単に水に浮くんじゃないか?なんて。でも、駄目なんです。今、週に2回ぐらいプールに行ってます。まだ、沈まないように歩いているだけですけど、2年後には、河童になるという目標です。

 三つ目としては、2005年、今年にぜひ実現したい目標のひとつです。それは、私の母をディズニーシーにつれていくことです。これまで、ディズニーシーには2回行ったことがあります。母はディズニーシーが大好きなんです。ところが、私の母親という人は、全然素直じゃないんです。暑いなあ、といえば、汗ばむぐらいが丁度ええといい、涼しくて気持ちいいねといえば、必ず寒いよって言うんです。

 そんな母親がですよ、和食しかたべないような人が、ディズニーシーに行って、タコスみたいな食べ物をおいしい、おいしい言って食べるんです。母はタコスを和食の創作料理と思っていたのかな。だから、今のうちに親孝行をしなくてはと思っているわけです。

 ところが、最近ひとつのことに気づいたんです。この100項目のリストですが、2つの種類があるということに気づいたんです。ひとつは、私があきらめない限り、いつまでも目標として残っている目標があります。もうひとつは、他の要素が絡み合っていてどこかの時点で実現できなくなるという目標もあったのです。

 実は、今年の3月最初に、わたしの母親が肺炎だということで入院をしました。ところが、検査をして判明したのは、何万人にひとりにしかかからない館質性肺炎という病気だったのです。

 入院して1週間後には、人口呼吸器をつけ、私の誕生日である16日に意識はなくなりました。担当のお医者さんによると、1週間もつかどうか、と言われました。でも、私の母は関西のおばちゃんです、簡単にはあきらめまへん、死神とのやりとりが一月続きました。

 それでも、4月13日に天国へ旅立ちました。本当にあっという間のことでした。こうして、100個あるなかのひとつの目標が実現できないで残ったのです。

 みなさんにぜひ伝えたいのは、すぐに100項目のリストを作成してほしいのです。そうすれば、自分がやるべきこと、やりたいこと、やれればいいなあとおもっていること全てがはっきりとわかります。締め切りという時間制限をつければ、何からやるべきかという優先順位もはっきりとわかるのです。いそがないといけない目標はいそがねばなりません。自分の人生を100個の目標で考えている人と、漠然と考えている人では、結果がまったく違ってきますし、毎日が違ってくるはずです。

さあ、皆さん、やってみましょう。必要なものは、真っ白の紙一枚、お気に入りの筆記用具、そして、あなたの希望とイマジネーションです。そこにひとつひとつあなたの人生の目標をつづってください…100個になるまで。

        ※         ※        ※

 これは、2005年のトーストマスターズクラブの全日本大会、ファイナルで披露したスピーチです。このスピーチは日本語コンテストに出場したものですが、同時に英語のコンテストのファイナルにも出場していました。結果、どちらも3位入賞となりました。このスピーチを読み返して、母とのことを思い出しました。以下は、プレイボーイ誌で言及された本です。文庫本で読むことができますね。


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