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小説フランス革命 後半

ついにルイ16世が処刑され、マリーアントワネットに至っては下世話な作り話で罪状を言い渡され断頭台の露と消えた。小説の中ではマリーの心情描写はほぼ無かったが、高貴な身分に生まれ育ち、狂った勢いの一般市民に翻弄された彼女の人生を想うと居た堪れない気持ちになる。現代社会でも王室、皇族に関して面白おかしく書き立てるメディアも未だにあり、それが原因で事故死や病を患っているなどの報道を見ると、一体何をしてるんでしょうかと哀れな気持ちになります。
影の女性指導者ロラン婦人も処刑されてしまいました。こちらはしっかりとした心情描写があり、最後まで一縷の望みをかけて宿敵だったロベスピエールに1通の手紙を出しますが、彼女の運命は変えられませんでした。事実を証明するために書き物をする時間や道具が与えられ、考えをまとめる能力があることは精神的に救われる事になるのだと言うことを感じました。
この吹き荒れる恐怖政治による粛清の嵐、ロペスピエールも思い悩みながら自分の進むべきを修正して行きます。

11巻の徳の政治まで読み進めた。凄まじい展開に読むことをやめられなくなっています。シュルシュルシュル、ダン。次から次へとギロチン処刑台に送られる革命に関わった人たち。ついには自分を投影していたデムーランも死刑執行されてしまった。恐怖政治を止めることの出来ない清廉の士ロベスピエール。個人の幸せは民衆全員の幸せより優先されるべきで無いと、革命の象徴であり続けるロペスピエール。デムーランの妻であるリュシルに、ついに自分の隠して来た思いを伝えるが、凛々しいリュシルは夫とあの世で再会することを幸せとし、正装をして晴々しく処刑台に歩みを進める。史実とは異なるのだろうが萌え過ぎる物語。映像化して欲しいんですけど。

最終巻では、粛清の嵐で弱り切ったロベスピエールを見て、ついにサンジュストもロベスピエールへの想いを行動に移す。こう言う展開に刺激を求める小生が下衆なのはごもっともですが、禁欲生活を送る賢者だからこそ一般市民を率いるリーダーに相応しいと言う側面が垣間見られます。

人民のために革命を導いて来た筈の清廉の士ロベスピエールが、一般市民や政治家にも私利私欲を捨て徳のある生活を求め、自分の幸せを大事にすると言う自分とは違った思想、価値観の人々を次々と処分していたた結果、恐れられ、いつしか一般市民の敵と認知され、最終的に逮捕され、処刑台へと送られる。

エピローグのロベスピエール未亡人の彼に対する想いは尊敬なのか、好きなのかの話も、しっとりと良い話である。神様みたいな存在に昇華していったロベスピエール、彼と愛し合うことが出来れば、普通の幸せを歩めたのかも知れない。

この小説フランス革命を読んでからパリの街を歩きたかった。これから先パリを訪れる機会があるのだろうか?

図書館で借りて読み進めて来たけど、kindle版で読み返したい作品である。

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