Paradise lost(パラダイス ロスト)

石に躓いた。

君という『石』に。

手に入れたいと 願ってしまった。

消せない想いが 夜を枯らす。

いけないと 分かっていても。

それ以上 踏み込んではならないと 知っているのに。

根深く 侵入してくる 温もりを 抑えられない。

器から 溢れ出すのは『歪愛』だと 理解しても 尚。

「もう…戻れないよ?」

優しく妖艶に 微笑む。

かろうじて 保っていた『理性』は『惰性』に 変わっていく。

堕ちていく。

墜ちていく。

洞窟の最深部へ 向けて。

「抗えないんだ…もう…」

欲望への『敗北』を認めながら いけない『勝利』を 手に入れた。

求めてしまう。

壊れていく世界を 回しながら。

再生していく 歪んだ世界に 導かれて。

そこには 二人が『在る』だけなのに。

どうして。

語り合うんだ。

「傍に置いて…」

熱い吐息を 吐き出した 君と。

「隣に居たいんだ…」

激しくも 虚しい キスをした。

身をよじるように。

心を喰らい合うように。

一通り 貪り合ったら そこには 何が残るのだろう。

解らないまま。

考える暇すら無いほどに。

『厚さ』を重ねるほどに『暑さ』は 忘れていく。

肌寒いはずの『世界』の中で 心だけは『裸』に なっていく。

「知ってるよ?」

「何を?」

「抜け出せないこと。」

混沌とした感情の渦に 全てを埋めて。

鮮明になっていく『歪愛』のありか。

たとえ『光』が無くとも。

たとえ『闇』しか無くとも。

選んでしまった。

今まで 住んでいた『楽園』を失った。

それは これからの『楽園』の 始まり。

太陽は 沈み 月は 昇る。

海を見上げて。

空を 見下ろして。

辿り着いてしまった ここで 命が尽きるまで 踊っていよう。

進むことも。

戻ることも。

何もない この世界の終焉で。

※この作品は『平井堅』様の『楽園』から インスピレーションを受け 作成された作品です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?