Diamond pieces(ダイアモンド ピーシーズ)

この数日間は 熱い夜が 人生的にも 気候的にも 続いている。

昨日は 夜まで仕事で 大人しく 自宅に帰ろうと 考えていた。

「何時終わり?」

友人からの一言に 心は躍り始める。

「行き付けのスナック?」

「イエス!」

だろうとは 思ってたよ。

因みに 友人である 彼は 行き付けのスナックのママを 推している。

確かに 可愛いからなぁ。

だから 面白いのだ。

ママを好きな友人を連れて お邪魔させていただいて ママの友人である 私の想い人の話をするなんて シチュエーションが 一瞬にして 出来上がってしまうのだから。

「普通に言うもん! 想い人のこと 好きだよって ママ達には。」

こんな 私の発言だって 否定しないで ニヤニヤしながら 聞いている その面子の 表情は まさしく『Diamond pieces』だ。

「想い人のところ 行こうよ?」

友人が またしても ニヤニヤしながら 提案してきてくれる。

「電話するよ。」

不規則に 大きくなる 鼓動を 誤魔化しながら 電話した。

「今から 行っていい?」

「大丈夫だよ。」

「分かった。 今から 友達と二人でいくよ。」

「は~い。」

通話に集中していた 私は またまたしても ニヤニヤされながら 見られていることに 気付かなかった。

「最後に一杯!」

なんか 視線を外しながら グラスに 焼酎とお茶を ベストな割合で 注ぎだして 巧いこと やられた。

「ありがとう。」

「友人くんが ママとニャンニャンしたいってよ?」

「もう…。」

ちょっと 困らせてしまった。

というのも 珍しく ママの酔いが深かった。

左目だけが 据わっているような表情が 印象的だったけど ちょっと心配なまま お別れをした。

「後で 連絡しといたら?」

「そうだな。」

私は 友人に そう告げながら 想い人に会った。

「お疲れ~。」

「お疲れ様。」

「彼とは もう20年来の付き合いなんだよ。」

「そうなの?」

「初めて会うもんね? 想い人とは。」

「そうだね。」

私は お店の常連さんから『お金は 払うから』と 米津玄師様の『Flamingo』を リクエストされてしまった。

歌っている最中に 友人と想い人が どんな言葉を交わしたかは 分からないし 知る必要もない。

想い人を想う 私の気持ちは このまま スクスク育つのだろうし。

お店の方々が 拍手を贈ってくれた。

お辞儀をしながら 心を熱した。

「今年は 花火見れた?」

「仕事だもん。」

「そうだよな…お子ちゃんは?」

「私以外の家族と 見に行ったよ。」

「そっか よかった。」

「来年は 誘うから 絶対。」

「まぁ いけないけどね笑」

「いけるかどうかじゃないよ。 その気持ちを あなたに伝えるから。」

「二人で 花火すればいいじゃん!」

「でも どうせ見るなら 打ち上がったやつの方が良くない?」

「わかる。 見るなら ちゃんとしたヤツがいいよな。」

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その実 想い人が 断るための言葉だったのかもしれない。

でも それは 私にとっては 些末な問題で。

その言葉は 中途半端じゃない 彼女の性格を凝縮したような『意見』だったから。

本気で生きてる 彼女を 愛した。

それは 私の『確信』を『運命』に してしまうほどに。

「わいは このお店では 片付けしてから 帰るって 決めてるから 先に 帰ってな?」

「分かった。」

友人を 見送って 灰皿とグラスを拭いて ゴミをまとめて お掃除が 終わるのを 待った。

「写真 撮ろうよ。」

「待って。」

「はい。」

荷物をまとめる想い人を 焼き付けながら 少しだけ 待った。

「撮るよ。」

「うん。」

「送っといた。」

「ありがとう。」

今宵も 宴の終焉が訪れてしまった。

私の掌には 想い人とデュエットした後に 交わしたハイタッチの感触が 色濃く 残留している。

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