コント小説『間違いの1歩』

どんなに正しい道を選んで歩んできても

間違った道を選ぶ時がある

その間違った道で

全てを失い過ぎている


休日


50代の朝は早い


午前11時


わたしはこの広い公園のベンチに3時間前から座っている


周りは絵に描いたような幸せそうな家族、犬との散歩を楽しむ老夫婦、小学生達のはしゃぐ声

その真ん中で私は1人で座っている


平日は会社で働き、部長クラス


妻と大学生の娘もいる


家族は家で過ごしているが私はこの公園


そう


私は家に居場所がないのだ


息抜きといえば息抜きだが


自分のため


ではなく

家族の息抜きのために私はここで息を抜かざるをえない


でもそんな息をも詰まる出来事が・・・


池の向かい側にある芝生の上で犬と楽しく遊んでいる女性がいる


「あれは・・・田中さん?」 

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