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浅草迄

尊敬する北野武さんの私小説。

武さんの本は、何百冊というほど出版されていて、しかもその本がしっかりと売れている。ただし、内容については、ゴーストライターによる口述筆記であったという。

最近は、70歳も超えていらっしゃるのに、直木賞・芥川賞を目指して、自分で執筆されている、とのことである。

本編は、武さんの人生の人格形成期(幼少期から25歳で浅草に辿り着くまで)を執筆したものである。武さんフリークであれば、ほとんどが知っている話ばかりだと思うが、改めて小説形式で読むと面白い。

知らなかった話を書くと、武さんの母上のさきさんは、師範学校卒で男爵家の女中頭をやっていて、そこの教育係の担当だったので、子どもの教育にも厳しいと思っていたが、この度NHKが調査したところによると、学校は出ておらず、千葉の佐倉の小作農の娘だった、という。

この話は知らなかった。

Youtubeで武さんの母上のお話しているところを見たことがあるが、早口でハキハキした話し方で、間違いなく武さんの芸風に影響を与えたことが分かる。

武さんがフライデーを突撃した時に、メディアに「死刑にしてください、あんな息子!」と言ったと報じられたそうだが、後日武さんが、「なぜあんなことを言ったのか」と質すと、「あんなことでも言っておかないと、世間様が納得しないだろう」と言ったそうな。本当に機転の利く方だったのだろうと思う。

武さんフリークで武さんの人格形成期を知りたい方なら、絶対に読むべき本だと思う。


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