あれは、とうさんだった。
昨夜とても腹が立つことがあって、朝に再燃したときには素手で洗濯機を殴り壊したいくらい怒り心頭だった。
怒りと、意味がないとわかっていながら繰り返す後悔と罪悪感を抱えたまま、歩いて10分ほどのところにある氏神様へ向かった。その参道でのこと。
石畳が敷かれたゆるやかな坂をぽてぽて歩いていると、脇道から生成りのズボンにタートルネック、黄土色のカーディガンを着たおじいさんが杖をつきながら現れ、立ち止まった。そのシルエットと醸し出す雰囲気は、3年前に他界した父にそっくりだった。何度