40代なかば。
人生もほどほどに落ち着いてきて、よくも悪くも「自分の人生はこんなもんかな」と見通しがたつ年代かもしれません。

自分がとつぜんハネて何者かになるなんて、まぁ起こらないだろうし。
たとえ失敗して転がり落ちても、ここらへんで踏みとどまれるだろうと、階段の踊り場もなんとなく見えている。
もちろん、どっちも大した根拠なんてないんだけど、40年以上生きてきた経験から、自分の人生の平均値がどのくらいかの想像くらいはできる。そんな年齢。

そうして、僕たちは「無謀な挑戦」をしなくなっていく。
挑戦には常にリスクがともなうし、リスクを負うには抱えているものが大きすぎる。この手で支えていかなくてはならないものは、20代のころよりずいぶんと大きく膨れ上がっているのだ。

だけど、挑戦ってそんなに人生をかけたことばかりだろうか。

なにも、起業や転職、お金をかけて資格を取るとか、そういうことばかりが挑戦ではない。

きっと、挑戦とは「限界に挑むこと」だ。

成果のためにがんばることでも、お金を稼ぐことでも、人生を変えるような大きなことじゃなくてもいい。そもそも、人生なんてちょっと視点を変えればすぐに変わるものだ。

普通に生活をしていると、自分の限界がどこにあるのかなんて、よくわからない。だけど、死にかけたサイヤ人が大幅にパワーアップするように、限界に立ち向かうことは自分の器を何かしら大きくしてくれるはず。

20代、30代は、そんな挑戦の場がたくさんあった。というか、はじめてのことが多すぎて何をやってもすぐ限界に達していた。
そのたびに、ほんの少しだけ自分のキャパがレベルアップしていった。

40代なかばになったって、自分の限界への挑戦は大事だ。
なにも、過労死すれすれまで働こうってんじゃない。そうじゃなくて、いっさい残業をしないで働くことも、挑戦だし。残業代がなくなった分、副業をしてみるのだって挑戦だ。

筋トレだっていい。勉強だっていい。だけど、どうせやるなら限界に挑んでみたい。40代なかばでみっともなく限界への挑戦をしたらどうなるのか、その先には、まだ見ぬ自分がいるかもしれない（…疲れ切ったおじさんの抜け殻が残るだけかもしれないけど）。

だから、ぼくは、今年も100kmウォークに挑戦することにした。

＊

昨年のGW。
はじめて挑戦した100kmウォークは、残念ながら完歩することができなかった。

一歩踏み出すたびに尖った石を踏み抜いたような痛み、ふくらはぎは何度もつり、股関節は外れたんじゃないかと思うほどガクガクとなって、そのたびに激痛が走った。

そうなってはじめて、

「舐めてたかもしれない…」

と痛感した。文字通り下半身の痛みとともに。

普段からよく歩いていたし、山登りもたまにするし、運動不足でもなかった。競技に参加する人たちを見渡せばゴリゴリのアスリートというよりは、どこにでもいそうな中年男女が多数。
相当つらいだろうけど、なんとか完歩はできるだろうと思った。

でも、スタートした瞬間衝撃を受けた。歩くスピードがめちゃくちゃ早い。
え、このペースで100km歩くの？　絶対ムリでしょ？　そう思ったけどよくわからないままペースに飲まれながら歩き始めた。案の定、15kmの第一エイドですでに足が痛くなってしまった。

結局、98kmで足が動かなくなり、最後尾となり、スタッフといっしょにゴールを目指すことになった。それから2時間近くかけてどうにか2kmを歩いたところで「このままじゃゴールできない」とタイムアップ。（レースは105kmだった）

2、3歩歩いては座り込んでるんじゃ、そりゃもう無理だ。
文句も言わず、励ましてくれながら最後まで付き合ってくれたスタッフの方々には感謝しかない。でも、あとにして思えば多大な迷惑をかけてしまったことへの申し訳無さでいっぱいだった。

限界だった。
しかも、やりきって達成感にあふれる姿はそこにはなく。足が痛くてうずくまって土砂降りに濡れながら疲弊してるだけの情けない姿が、挑戦後のリアルな姿だった。

あのときに感じた悔しさや情けなさは、いまも忘れられない。
なんの根拠もなく完歩できる自信があったのも、ただただ恥ずかしかった。

そして、昨年の大会から1年が経ち、明日、再び同じ大会。
今度こそ初のウルトラウォーク完歩を目指して歩いてきます。

今日も見に来てくれてありがとうございました。
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