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心に染みた作品のあとで

エンドロールが終わり、映画館を出て大きく深呼吸。良い映画だったな〜と肺胞までもが喜んでいると染みじみ感じることがある。

いや、それは始まって10分で「この映画はすごいことになりそう」と思うこともあれば、前半は全くの意味不明だったのに後半全ての伏線回収を行い「まんまと騙された、最後まで観て良かった!これは素晴らしい脚本だった」と思うこともある。

しかし、今一度確認しておきたい。

良い映画の定義は、人それぞれ。

ということ。

※良い映画についての概念は、昨年知った素晴らしい考えについて後日書きます。

それでも心を動かされる作品に出会うと、「この作品に出会えたから、自分はこの先の人生も生きていける」と至純な気持ちになるのである。

マンガが好きな人が「人生で大切なことは全てマンガから学んだ」なんて言うけれど、対象がなんであれ。深く傾倒したものから人間は影響を受けやすい生き物なのだ。

スポーツや将棋や小説、物理に科学とジャンルは多種多様。

「どうしてシェフは映画が好きんですか?」と、友達から質問を受けた事がある。

普段は「色んな人の人生を知れて沢山の価値観に触れられるから、かな」と返答しがち。←実際それも本当に思っていることではあるんだけれど、その友達には自分の本質的なことを聞かれていると思ったので真面目に答えてみた。

「打ちのめされたい」

端的に表すとするならば「僕は映画で打ちのめされたい」と思っている。

生きていて、こんなに幸せなことがあるのだろうか?と思うようなハッピーな作品。はたまた主人公があまりに残酷な運命に翻弄され涙が止まらなくなるような作品。

喜怒哀楽の詰まった映画を全身で楽しみ、受け止めている時「あぁ自分の人生って今までも色んなことがあったけど、まだまだ大したことないな」と楽観的に捉えられるのである。

(時にはあまりに壮絶過ぎて、すぐには受け止められないような作品もあるけれど)

身震いして、エンドロールのあとすぐに立ち上がれないような。観た後で数週間は余韻が残るような。
それくらい心を揺さぶられ「強く打ちのめされたい」

強く生きる映画の主人公のように、自分も強く生きよう!と思える単純人間ではあるけれど、人間って結構忘れっぽいところがあるし。余韻も薄れてしまって、その時の気持ちも忘れてしまうことが多い。

そしてまた性懲りもなく、次の「打ちのめし」作品を探すのである。

とは言っても、そんな簡単には出会えない。数打ちゃ当たるかもしれないけれど、観て良かった!!なんて思うのは15本に1本くらい(個人的なメーターです)

でも再び、今後の人生のアシストとなるような作品に出会えた時は心が躍って、時間も無駄じゃなかったな〜と感じるのだ。

ふとした一言に突き動かされ、揺さぶられ、時に引き裂かれるような想い。

これはもしかしたら恋なのかもしれない。

自分と同じような気持ちを抱えた誰かや、自分が未体験の気持ちを教えてくれる誰か。そんな誰かが存在していることの安心感。

フィクションなのか実話なのかは、さほど関係がないように思うけれど。そこは製作陣と役者の相乗効果で。たくさんの人の声を丁寧に掬い取るような作品が、1人でも多くの人に届いたらいいな。

何があっても自分の人生は続いて行くから。思わず主人公と一緒に走り出したくなるような、恋心にも似た気持ちで今年もたくさんの作品に出会いたい。そんな希望も込めて。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。




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