実家の湯沸かし器が壊れる その9

その1はこちら。
https://note.com/tomohasegawa/n/n59bcd0be61d7

その2はこちら。
https://note.com/tomohasegawa/n/naf5e44adc409

その3はこちら。
https://note.com/tomohasegawa/n/n1a4bac5b28fa

その4はこちら。
https://note.com/tomohasegawa/n/n9e0d4914b4b7

その5はこちら。
https://note.com/tomohasegawa/n/n42426e90bb66

その6はこちら。
https://note.com/tomohasegawa/n/ne555869e8f13

その7はこちら。
https://note.com/tomohasegawa/n/na0abedbc7c5a

その8はこちら。
https://note.com/tomohasegawa/n/n84527c5c2eb6

前回東京ガスのSさんが書いてくれた中の、パロマのガス給湯器に合うリモコン、MC-150VをAmazonで探す。

「ありました!」

“パロマ ガス給湯器リモコン 台所リモコン MC-150 給湯専用”

「...MC-150ですか、MC-150Vはないですか?」。あ、確かにVが付いていない。これではないのか、ならばと探したが、見つからない。「楽天とか他にもあるか調べます。逆にリモコンがあれば後は大丈夫なんですよね?」。僕は新型コロナのことを一切忘れて詰め寄るように聞いてしまう。もちろんSさんも含めて、ここに居る3人は皆マスクをして会話している。僕と母は実はマスクを二重に付けている。「ちょっとお待ち頂けますか?」、Sさんは冷静にそう言って、湯沸かし器を設置出来る技師に連絡を入れた。

「...長谷川さんの所で以前使っていた給湯器では付いていなかった、オートストップ、それは必要ですか?」。Sさんが設置技師との会話を終え、僕にそう聞いてきた。オートストップ、何となく意味はわかる。お湯をバスタブに入れる時、いちいち確認しに行かなくても自動的に止まってくれる、そんな機能だろう。もしそうならそんなものは要らない。実際そう言うと、「そうですか。それならリモコンは付けられます」。

まだ終わりではなかった。Sさんは話を続ける。「実はあと一つ、PS金枠というのがあって。これは給湯器をピッタリ固定して填めるために必要な部品なのですが、見積もりに記載のU0P-G-G1S20(R)、これはリンナイさん用なんです。ですからパロマさん用のを新しく手配しないといけません。パロマさんにその在庫があるのか、というのがあるんです」。「もし在庫が無かったら?」。「下手すると一月とか、時間がかかることになるかもしれません」。

ここで僕は迷った。Amazonで本体、リモコンを注文して無事届いてもその金枠がなくては宝の持ち腐れとなる。あともう少しだというのに。

「在庫がある可能性はどのくらいでしょうか?」。「何とも言えません。でもあるのではないか、とは思ってます。そして無くても、それに類似した金枠を使って填めることが出来るのではないか、とも思っています。私は技師ではなく、営業なので、そこはやってみないと何とも言えない、ということになるのですが」。

その時僕のアドレナリンは給湯器のように沸騰していた。「わかりました」。賭けの要素が幾分入っているものの、僕はパロマの給湯器PH-1615AWと、そのリモコンMC-150を、Sさんにもう一度確認してもらった上で、両方ともAmazonで注文することにした。傍で、否ソーシャル・ディスタンスを程よく取りつつ聞いていた母も、状況は理解出来ているようで、多少の補足説明をした後にこのプロジェクト進行への了解を得ることが出来た。金枠の件も、何とかなるでしょう、と楽観視している。ポチっと、もう一つ、ポチっと。本体は2月2日到着、リモコンは明日2月1日に手に入る...予定だ、もし変な業者でなかったら。この辺りも賭けの要素といえばそうなる。

「金枠の件はパロマさんから返事が来次第となります。向うからの返事が数日かかるという場合もあるのですが、頑張って動きますので。また明日見積書を作り直してお伺いします」。僕らはSさんにお礼を言うと、Sさんは足早に帰って行った。会社に向かうのではない、きっと他にアポイントメントがあるはず。僕らのように湯沸かし器が壊れて困っている人たちが沢山いるはずだから。

信じられない展開だ。まだ不透明だが、快適お風呂ライフが戻ってくる日は、予想を遥かに超えて近くなる可能性が出てきたのだから。母なんか、もう大丈夫だ、と笑顔を見せ、はしゃぐ。“...あとはコロナ問題ね”。常に何かを心配し続ける動物なのか、母は。それは僕の範囲を遥かに超えている案件だよ。でもコロナという湯沸かし器の会社もある...

“ピンポーン”

あれ、Sさん?何か急に進展があったのかな?忘れ物?モニターフォンの画面を見る。そこには長い髪をきゅっと縛ったスポーティーでスリムな女性が立っていた。

「バロン」。

彼女は一言そう呟いた。

続く

その10はこちら。
https://note.com/tomohasegawa/n/n3b3182aeb16f

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?