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それぞれの地獄を生きる

僕は身長が190cmある。
パッチリ二重で、鼻も低くはない。
だから、よく外国人に見間違われる。

身長は昔から高かった。
小1で130cm
小6で178cmだった。

両親は平均的身長。
なんなら少し平均より下だった。
僕だけが突然変異的に伸びた。

『何をしても目立つから、目立たないように。』

そんな風に躾けられた。
僕が自分らしく振る舞うだけで、何故か目立ってしまう上に、何故か傲慢に受け取られることも多かった。

僕は人に嫌な思いをさせたくはない。
でも、生きているだけでそうなってしまうなら、
そんな人生は辛いものだ。
普通に生きているだけなのに。

何より辛かったのは小学校の子ども会。
ソフトボールでのこと。

ホームランを打ったら、
『身体が大きいから打って当然だ』と言われた。

三振したら、
『身体が大きいだけでヘタクソだ』と言われた。

僕は小さくなりたかった。
小さくなって、ホームランを打ちたかった。
あんなに素振り練習を頑張ったのに。
身長度外視で正しく評価されたかった。

そして14歳のころ痩せ型高身長がなりやすい病気『自然気胸』を患った。
度重なる再発と手術に苦しんだ。
それは手紙その8に書いた。

こんな身長や風貌なんて要らない。
普通に穏やかに暮らせればそれで良かった。

そんな僕に世間はこんなことを言う。

『息子さん達、期待できますね』

何を期待すれば良いのか。
この言葉が嫌ならスポーツなど辞めてしまえば、それで済む。
いや、辞めたら辞めたで、

『お父さん、大きいのにもったいない』

という言葉が待っている。
彼らの背中に十字架が見える。
僕が背負わせた気がする。

人より秀でると『見なされる』ものは、
それ相応の報いを受ける。
それが良いものか悪いものかは本人が決める。

冒頭のスーパーモデルですら。
みんな、それぞれの地獄を生きている。

人生を天国にしようと。

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