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海外寄付者インタビュー①:病院と保育園への恩返しの寄付と根底にある心情

オーストラリアに来て、1年2か月が経ちました。ここまでnote上で様々なオーストラリア特有の寄付やファンドレイジングの取り組みを紹介してきましたが、個々人の寄付体験や印象に残ったエピソードもぜひ知りたいところ。

本記事では、オーストラリア在住25年目になる日本人Mさんに伺った寄付体験をご紹介します。


メルボルンに住むMさんは、短大卒業後に語学留学とTAFE(オーストラリアの州立の職業訓練専門学校)を経て、現地で結婚、現在は2人のお子さん(小学生と中学生)がいらっしゃいます。
毎年2~3回くらいの寄付を、過去にお子さんがお世話になった病院に対してしているそうです。寄付先病院の運営元は、メルボルン内の9つの場所でパブリックヘルスのサービス提供をしているEastern Health Foundation。

他には、お子さんが通っていた保育園にはお世話になったからということで、おもちゃや文房具の寄付もされています。日本の積み木やボードゲームなど、お子さん達が遊ばなくなったものを新品でないものも含め、定期的に寄付しているそうです。スーパーマーケットで、貯めたポイントによってもらえる食器やキッチン用具も新品のまま寄付しているとのことでした。

毎年寄付をしていた父親、オーストラリアで始めた寄付の習慣

日本に住んでいた頃はまだ学生だったこともあり、寄付は特にしていなかったというMさん。しかしながら、父親がいくつかの神社に毎年寄付をしたり、お賽銭箱に一万円札を入れた封書を入れているのを見て育ってきたそうです。

それから、オーストラリアに移り、ご友人が毎年ユニセフに寄付していることを知り、クリスマスプレゼントの代わりに1人20ドルを出し合ってユニセフに寄付をしたのがオーストラリアでの初めての寄付体験だったと語ります。ちなみに、それまでは友人同士でプレゼントを買って贈り合っていたのが、仕事や子育てで忙しくなったことも要因だったとのこと。

病院への寄付については、息子さんが緊急で運ばれ、手術を受けた後にお世話になったことがきっかけと言います。それ以前は50〜100ドル程度を様々なところに寄付していたのが、お子さんが公立病院で無料でお世話になって以降、その病院に寄付し続けることに決めたそうです。

保育園については、お子さん達がお世話になり、成長した姿を見せに行くために寄付をしていると語ります。

寄付先病院とのコミュニケーション

寄付先の病院からは、毎年3〜5回くらい寄付のお願いの手紙が送られてくるそうです。手紙には、遺書に遺産を病院に寄付するかどうかや、パンデミック前は寄付で購入した医療器具などをみせてもらえる病院内のガイドツアーの案内等も書かれていることもあったそうです。

ちなみに、下記の写真は、昨年11月にMさん宛てに届いた病院からの寄付依頼。寄付者の寄付額と同額を、企業や財団が上乗せして寄付する「マッチングギフト/マッチング寄付」の仕組みを活用した内容のようです。

Mさんの元に送られてきた寄付依頼の郵便(Mさん撮影)

寄付の根底にある心情

Mさんは、今現在も寄付を続ける理由について、感情的になりやすく後悔することが時々あるため、その際にあえて寄付をして反省するようにしているということも教えていただきました。

ファンドレイザーの立場から補足しておくと、こういった心情から寄付をする方がいらっしゃるのは珍しいことではないので、もし同じような気持ちを感じることがある方は、そういう理由での寄付もあり得ると知っていただけたらと思います。


Mさんのお父様が寄付をしていた話からは、幼い頃から身近な人達がいかに寄付をしているか(そして、その様子を子どもがどれだけ目にしているか)ということが、本人が将来的に寄付することにつながりやすくなるのであろうと、Mさんの寄付体験をシェアいただきながら思いました。

また、保育園の寄付の話を伺っていると、寄付が地域コミュニティや社会とつながり続けられる一つの手段にもなっているようにも感じられました。
欧米諸国では、非営利団体だけでなく学校や病院などでも寄付を受け付けているケースが多いので、海外生活を始めて間もない日本人のみなさんは「寄付」をコミュニティに入っていくきっかけにしていくのも良いかもしれません。大半の場合、Mさんの体験談にもある通り、少額や物品の寄付でも大丈夫ですので。

記事をお読みいただき、ありがとうございました!もしよろしければ、サポートいただけると日々の活動の励みになります!これからも日本の非営利活動のお役に立てるように、様々な機会に参加して得た海外のソーシャルセクターの情報や知見を発信していきますので、今後ともよろしくお願いいたします!!