見出し画像

なんか参加したくなるオーストラリアのユニークなファンドレイジング5選

海外では、様々な形式のファンドレイジングイベントや啓発キャンペーンにあわせたファンドレイジングが行われています。一つひとつを細かく見ていくと、日本ではあまり行われていないような手法やアプローチも見受けられます。

本記事では、オーストラリアで行われていた取組みで、筆者が特にクリエイティブだなぁと感じたものを紹介していきます。


The Push-up Challenge

名前の通り、個々人が腕立て伏せをして参加する取組みで、メンタルヘルスに関する活動を行う非営利団体への寄付募集もあわせて行われている啓発キャンペーンの側面もあるチャリティイベントです。

毎年6月頃に実施されているようで、2023年は、全豪で21万5000人が参加し、3億1500万プッシュアップが行われ、総額1460万オーストラリアドル(約14億1620万円)が集まったそうです。

独自にアプリも開発して、参加者のプッシュアップの情報を収集したり、プッシュアップを継続しやすい工夫がされているのも興味深いです。

このThe Push-up challengeにおいても、「Fundraising Tips」のページが設けられています。特徴的なのは、「個人」「職場」「学校」のそれぞれで参加する場合のやること・段取りが記載されている点。

職場での参加の場合は、同僚やチームと一緒に参加する前提で記載されています。また、自身の職場がマッチング寄付(マッチングギフトとも呼ばれる)を行っているかどうかも確認するようにガイド資料には記載されていて、多額のファンドレイズができる要因にも感じました。

学校での参加の場合は、生徒たちが意欲的に参加できるように「ご褒美(Guideには、Push for Pizza(ピザのために腕立て)という記載も)」を用意したり、「先生 vs 生徒」で腕立てをすることも一例として挙げられていました。また、The Push-up Challengeとして、学生がなれるアンバサダー制度「Student Ambassador」を設けている点も興味深いです。

上述のFundraising Tipsのページよりも詳細なやることが、Fundraising & Emgagement Guideで書かれているので、あわせてご覧ください。

(おそらく他の英語圏の国も含めてですが、)オーストラリアではワークアウトしながら参加できるファンドレイジングキャンペーンが色々ある印象ですが、日本ではこの類の取組みはチャリティランかウォークがほとんどのように思うので、この切り口でのファンドレイジングキャンペーンが日本でももっと増えても良いように感じました。

MS MEGA CHALLENGE

多発性硬化症(Multiple Sclerosis、頭文字から取ってMS)の啓発と当事者のサポートのための寄付を募るオーストラリア啓発キャンペーン。

個人かチーム等の団体で、12~24時間何かをやり続ける取組みで、大半は水泳ですが、スカッシュやトライアスロン等の他のスポーツ、ライブ配信やペイント等のバーチャルにできるチャレンジをする人も最近いるそうです。

オーストラリア各地で1~2日間で行われているため、参加したい人は「Find An Event」のページから最寄りの開催を見つけて参加してみましょう。

このMS MEGA CHALLENGEには、「Fundraising Tools」のページがあり、主催したい人達や参加する個人向けに、SNS発信のための素材やファンドレイジングのためのガイドが用意されています。

特に興味深かったのは、Fundraising Guideに載っていたファンドレイジング・パーソナリティ・テスト。
よく見かけるクイズに答えていくと、あなたの性格タイプが分かる!...のファンドレイジング版。しかも、一般人向けの内容になっている点が個々人の具体的なアクションにもつながり易そうで興味深かったです。

英語のオリジナル版と日本語に意訳したバージョンの両方を、画像でシェアさせていただきます。英語が読める人は、ぜひオリジナル版にトライしてみてくださいね。
ちなみに、クイズに答えながら進めていきたい方には、オンラインテスト版もあるので、こちらにチャレンジしてもらえると良いかと思います。

ファンドレイジング・パーソナリティ・テストのオリジナル版(MS MEGA CHALLENGEのFundraising Guideより)
ファンドレイジング・パーソナリティ・テストの日本語版(上記のオリジナル版を意訳)

その他にも、ガイドにはMSがどういう症状のあるのかという説明や、シャツ・パーカー・バッグ等のグッズ、自分の職場でマッチング寄付を促すページもあり、日本だと選択肢を簡潔に示す傾向にあると思いますが、このMS MEGA CHALLENGEは(運営内で優先順位が決まっているのか)選択肢を絞って掲載しているように感じました。

Christmas Tart Fundraising

オーストラリア・メルボルンを拠点に展開しているベーカリーFerguson Plarre Bakehousesが提供するクリスマスタルト・ファンドレイジング。

内容はシンプルで、特別価格のクリスマスタルトを団体側が購入し、メンバーやサポーターに高い価格で転売。売れた分の利益は、その団体の資金にして良いとのこと。

オーストラリアを含めた英語圏の学校では、ケーキ等の食べ物を販売して利益を非営利団体への寄付にする活動が行われているので、こういった取組みは馴染む土壌があるように思います。

Cadbury Fundraising

コンビニやスーパーマーケットにも置いてあるチョコレートのお菓子Cadburyも、上記のベーカリーと似た取組みをしています。商品のチョコレートバーやボックスを購入した人達がそれらを転売して、自団体の資金とするというものです。

この記事をしている執筆時点のホームページ上では、25年以上に渡ってこの取り組みは続けられており、今までに5,099の学校、4,994のスポーツクラブ、10,000の団体のファンドレイズをしてきたと記載されていました。

Cadbury Fundraisingという特設ページがあり、ファンドレイジングイベントの事例紹介も豊富に掲載されていたので、一つのnote記事にまとめてありますので、ぜひご一読ください。

Santa Fun Run

弱視と盲目の方々への支援を行うオーストラリアの非営利団体Vision AustraliaのイベントSanta Fun Run。
サンタの恰好やサンタの服を模したウェアで行うチャリティランで、参加者が寄付を募るPeer to Peerファンドレイジングもあわせて行われています。SNS投稿素材や依頼文テンプレ等を公開しているのが興味深かったです。


ここまで、5つの事例をご紹介してきました。いずれにも共通しているのは、「楽しい雰囲気」や「アクティブさ」を感じられる取組みであるということでしょうか。

日本人の気質というよりは、真面目な人達が日本のソーシャルセクターには集まっているように個人的に思うので、寄付募集やファンドレイジングを行う際は楽しさやアクティブな雰囲気づくりを心掛けたいですね。それによって、今までアプローチしてきた参加者層とは異なる新規層に参加してもらえる一因になるようにも思っています。

最後に

記事をお読みいただき、ありがとうございました。
私は、オーストラリアを中心に海外のソーシャルセクターに関する有意義な事例や知見を日本のみなさんにシェアしていけるように日々活動しています。

現在は、コストがかかり過ぎないように意識しつつも、無料の機会だけで得られる情報や出会える人では情報の質と量に課題があり、ファンドレイザーをはじめオーストラリアのソーシャルセクターの人達とつながるために有料のイベント(約2~8万円の参加費)やカンファレンス(約10~20万円の参加費)に直接参加したり、なるべく正確かつ信頼性のある情報源から情報を得られるように有料のレポートや書籍を購入しながら情報を集めています。

「海外(のソーシャルセクター)」という切り口から日本のソーシャルセクターに引き続き貢献できればと思っていますので、よろしければ、下記のサポートボタンでご支援いただけると幸いです。
一人ひとりからサポートいただけることで、様々な情報にアクセスして、様々な機会に参加して、有意義な発信を続けたいと思っています!

どうぞよろしくお願いいたします!


記事をお読みいただき、ありがとうございました!もしよろしければ、サポートいただけると日々の活動の励みになります!これからも日本の非営利活動のお役に立てるように、様々な機会に参加して得た海外のソーシャルセクターの情報や知見を発信していきますので、今後ともよろしくお願いいたします!!