「プラン9・フロム・アウタースペース」

「死霊の盆踊り」に続いて、これぞ史上サイテーの映画と名高い「プラン9・フロム・アウタースペース(Plan 9 from Outer Space)」を満を待して鑑賞。モノクロじゃなくカラー版。

これもTSUTAYA発掘“良”品にあったからで、今回2回目。監督、脚本、製作ともにサイテー映画の帝王、エド・ウッドだ。酷いというかチョーくだらない映画。

ティム・バートン監督の素晴らしい伝記映画「エド・ウッド」に、エド・ウッド監督の作品を観てた人が「これ、なんだ?映画なのか?」と呆れるシーンが出てくるが、まさにそれだ。

始まってすぐに釣り糸がハッキリと見える灰皿を逆さまにしたようなUFOが飛んでるシーンが出てきてマジで力が抜ける。どうやら墜落したUFOが米軍に回収されたとされるロズウェル事件をモチーフにしたものだと思う。

地球外からやって来た異星人が、墓に眠る死者を蘇らせて、原爆・水爆を作ってしまった地球人に警告を発するという、UFOと宇宙人とゾンビと吸血鬼をゴッチャにしたような陳腐なストーリー。

原爆・水爆に対するメッセージならば、例えば、キューブリック監督だったら唸るように上手く表現するだろうけど、悲しいかな、エド・ウッド監督には絶対にムリだ。

奇しくも、吸血鬼を演じた名優ベラ・ルゴシ(バウハウスのBELA LUGOSI'S DEAD!)の最期の出演作(撮影の途中で亡くなった)で遺作となってしまったが、彼も出演を恥じてたりして。演者たちもこんな脚本でよく真面目に演技できたもんだね〜。

そう、演技も演出もセリフもセットも衣装も撮影も、なにもかもが小学校のお遊戯会レベルなのだ。チョー低予算だから仕方がないの次元じゃないことは明白で、全ての演出が裏目に出ており、次々とエド・ウッド監督のバカさ加減が露呈して、驚き→呆れ→怒り→諦め→大爆笑の順で襲ってくる。

アカデミー賞受賞なんかの完成された感動の名作ももちろん好きだが、こういうチンケで気の抜けた評するのも恥ずい真の糞のようなクズ作品もなぜか気になっちゃうのだよ。

力を全く入れずに流しておけるけど、エド・ウッド監督は至って真面目で真剣に映画製作をしてたという。

こんな映像作品ばかりなので配給会社が買ってくれるわけもなく、死ぬまでお金には縁がなくて苦労したらしい。結局、酒に依存するようになって54歳の若さで没してる。

こういう最低最悪の映画ばかりを作り、たまに受ける評価でも最低最悪が続いたが、それでも腐ることなく熱意を持ち続けたエド・ウッド監督(女装が趣味のLGBTだった)の映画に対する姿勢がわかると、それでもいいのかぁとホッとして微笑ましくなる。監督の飽くなき情熱だけを評価したくなる。

そうだ、映画ってのは基本、なんでもありの自由なんだよね。

画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7

画像8

画像9

画像10


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。