【古典映画】「わが青春に悔なし」

黒澤明監督の、1946年公開の「わが青春に悔(クイ)なし」。

戦後すぐのGHQ占領下、民主主義啓蒙の国策映画だって。そんなのあったんだ。クロサワさんは国策映画を撮ることが少なくないね。

主演は原節子だけど、汚し過ぎやんか。

小津安二郎監督の映画では、いつも微笑んでる、育ちの良い清楚なお嬢様ってイメージだったのに、泥にまみれて田んぼを耕し、負けないわ!と闘志溢れる表情で他人を睨みつける。

思想弾圧の滝川事件やゾルゲ事件等を題材としてるという社会派映画だ。

戦前・中と思想弾圧された大学教授と学生たちの動向と、何も知らない教授の娘が自我や社会(民主主義)に目覚めていく姿を描く。

自由主義者の教授の娘、幸枝(原節子)は、平凡な日常よりも、波乱に富んだ生活を求めて、左翼運動に身を投じた男と結婚する。その夫は、戦争反対運動を指導したとして逮捕され、獄死してしまう。幸枝は、村八分に遭う夫の実家に身を寄せて、苦労して田んぼを耕すことに…。

戦前、山でピクニックを楽しむ幸枝と学生らが、日本が戦争へと進む中、それぞれの立場から、弁護士、検事、左翼活動家へと進む道が変わってくる。お嬢様だった幸枝は活動家と生活を共にすることになるのだ。

夫と一緒に弾圧された彼女は、社会の理不尽さを知り、夫の実家で自ら手を泥で汚すことで、徐々に村人の信頼を得て、戦後、女性の権利を主張する団体を興す。

人は環境によって大きく変わるという典型みたいなものだが、後半、クロサワさんのフィルム上での技巧的演出など、多分、新しい撮り方をしてると思うが、うーむ、俺には稚拙に思えてイマイチだなぁ。

原節子の人が変わったような演技は素晴らしいと思うけど、国策映画だからか、反戦のイデオロギッシュな展開でつまらないね。

見どころは原悦子だけだね。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。