【古典邦画】「東京の女」

小津安二郎監督の、サイレント時代の作品がYouTubeに上がってた。戦前の、1933(昭和8)年の短い作品「東京の女」だ。

たった9日間で撮った作品らしい。

静止する何気ない風景を入れたり、ロー・アングルのカメラなど、小津安の特徴が出てる。

巡査の妹役で、若くてカワイイ田中絹代が出ている。

姉・ちか子と2人暮らしの学生・良一。
良一は、姉はタイピストで、仕事を終えると、大学教授のお手伝いをしていると聞かされていた。
ところがある日、良一の恋人の春江が、巡査の兄から、大学教授のお手伝いというのはウソで、実は、ちか子は、酒場で働いており、しかも客に身体を売っているという噂があり、警察も要注意人物としてマークしていると聞かされる。
春江は、そのことを良一に話すが、彼は噂を否定して怒ってしまう。
遅くにちか子が帰って、良一は噂について問いただすと、噂は事実であったが、ちか子は、良一の学費のためだと話す。
良一はショックを受けて、ちか子を殴ると部屋を飛び出してしまう。
そして、翌日、春江とちか子は、良一が自殺したことを警察から知らされる…。

おいおい、そんなことで死ぬなよ〜と思ったが、やはり急いで撮ったからか。

最初、変な噂があるといい、その噂がなかなか明かされないので、“赤”(コミュニスト)の活動をしてたのかと思ったよ。

なぜなら、ちか子を演じたのは、この映画の5年後、ソ連に亡命してスパイ容疑がかかった岡田嘉子だから。お手伝いをしてるという大学教授が杉本良吉だったりして。

となると、小津安は意図せずに予言めいた作品を撮っていたことになり…。

始まりから終わりまでBGMもなくて、無音のホントのサイレントだ。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。